法人税の調査


初日の午前中は、会社の概況を聞きます。そして、午後に入り帳簿を見て行きます。
最初はまず、最終事業年度の期末及び翌期首の売上及び仕入を検討して行きます。
これは「期間損益」といって、当期の売上を翌期首に繰り延べていないか、又は
翌期の仕入を当期に繰り上げていないかを調べます。卸売業などは棚卸が多いので、
売上、仕入にからめて棚卸を重点的に調べます。ここの所は、一番会社が期末にな
って慌てて利益調整をすることが多いからです。売上及び仕入については、納品書(控)、
請求書(控)、領収書(控)と売上帳(売掛帳)及び仕入帳(買掛帳)とを突合させます。
そして、売上については持って来た資料せんと突合させます。それが終われば、今度は
外注費、給料等について調べます。

現金取引の外注費は特に重点をおいていますので、請求書及び領収書で不審なものに
ついては書き取ったり、コピーし、税務署に戻ってから相手先の申告状況をチェック
します。給料については、給与台帳、履歴書、扶養控除等等申告書、タイムカード等
を調べて、架空や水増しがないか調べます。特に、社会保険に入っていない、通勤手当
がない、毎月残業手当がなく同じ金額の人については、リストアップして住所、名前、
生年月日等を書き取っておきます。そして、これらの人を区役所に照会文書を出して、
実在して正しく申告しているかをチェックします。 それから、他科目交際費(交際費
以外の科目になっているが本当は交際費となるもの)も調べます。福利厚生費、旅費
交通費、会議費等も元帳から交際費となるものを拾い出します。小規模な会社では家事
関連費(会社の費用ではなく個人の生活費)がこれらに混じっていないかも、請求書や
領収書から調べます。準備調査でピックアップした事項や重要資料せん(特に不正な
取引が想定される資料せん)についても関係書類を提出させ、社長さんの説明を求めます。


税務調査の仕方

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