労働組合


税務の職場には、現在二つの労働組合があります。国税労組と全国税です。前者は当局の御
用組合で、後者は共産党系の組合です。税務職員は上席調査官以下の9割程度は組合に入っ
ていますが、このうち9割は国税労組に加入しています。全国税に入っている人は少数です。
戦後まもないころは、全国税が唯一の税務職員の労働組合であったのですが、当局が国税労
組をつくり、全国税を潰し始めたため、今では圧倒的に国税労組の組合員が増えたのです。

全国税の組合員であると、勤務評定がどんなに優秀で仕事が出来たとしてもD評価(最低の
評価)になり、昇進が同期で一番最後になります。そして、上席調査官までは昇進させますが
統括国税調査官にはさせません。今まで、全国税の組合員で統括官になった人は一人もいま
せん。この点につき、全国税では大蔵省、国税庁に対して、組合差別ではないかと抗議をして
いますが、答はいつも「適正かつ公平に人事を行っており、組合による差別は全く行っていな
い。」です。一方、国税労組の委員長とかに専従して、税務の職場を休職しても、戻ってくれば、
かなりのポストに就くことが出来ます。当局が組合差別をしていないといっても、税務職員は
そんなことは百も承知の事実であります。

全国税の組合員に共通しているのは、積極的な仕事はしないことや(例外はあります)、残業
はやらないことです。しかし、勤務時間中は他の職員とも協調し、真面目に取り組んでいます。
毎日のように税務署の玄関で、全国税の組合紙やビラ等を出勤する職員に配っています。
内容はだいたい〇〇署の××上席を統括官にせよとか、8級(給与の等級で下は1級から
上は11級まである)に昇級させよとかです。

全国税の組合員であるという理由だけで、上席から先は全く出世せず、定年前に薄紙の特別
調査官になるようです。その所以か、若い人は血気盛んですが、年配者は悟りきっている人や
趣味の人生を送っている人等仕事以外の人生を楽しんでいるようです。

国税労組に入ると、毎月給料日に4〜5千円ぐらい(給料額にスライドしている)の高い組合
費を払わなければなりませんが、この使い道はほとんどが、休職して組合に専従している委員
の給料に当てられるのです。殆どの組合員はこの組合に何か期待するとかではなく、保険料を
を払っているつもりでしょう。その他の使い道は、夏のビアパーティ、納涼会、正月の新年会
スキー、スケート旅行等に使っています。

今から、27〜8年前に、国税専門官試験ができ大卒者を税務職員として採用することにな
った時、この国税労組は猛反対した経緯があります。現在では、この国税専門官も毎年全国
で600〜800名(年によって変動する)も採用される時代となり、国税労組にもすっかり溶け
込んでいます。大学進学率の上昇によって、高卒者では優秀な人材を確保することが困難と
なったためこの国税専門官試験ができました。


税務署に詳しくなる話

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