経理処理の重要性


会社経営にとって、会社が今現在どのような状態、つまり儲かっているのか損し
ているのかの「経営成績」、会社財産が増えているか減っているかの「財政状態」
を判断するためには、経理処理を欠かすことはできません。この「経営成績」及
び「財政状態」を知ることにより、将来への対策を検討しなければ、会社は改善
されていきません。税理士を頼んでいれば経理処理は大丈夫で、任せておけば安
心と思っている方がいますが、税理士ができることには限界があるのです。 税理
士は税務、会計の顧問の他、記帳代行を請け負うこともありますが、それは、出来
上った入金、出金及び振替伝票をチェックして毎月の試算表作成と元帳作成までです。
原始記録から、入金、出金及び伝票作成、現金出納帳、売掛買掛帳、固定資産台帳
等の補助簿作成までは、会社で作成しなければなりません。もし、その事務を税理
士に頼むには、相当高額な報酬を払わなくてはなりません。伝票作成、会計処理、
帳簿のつけ方等については、逐次会社に指導することはできます。

経理処理がきちんとした会社が儲かっている会社とは限りません。しかし、儲か
っていないときでも、きちんと経理処理された「試算表」により、経費節減等の
対策を講じ会社は生き延びていくことができています。逆に、儲かっていれば、
どのくらい税金の負担があるかを早期に予測することができ、早くから節税対策
をたてることもできます。売掛金、買掛金等も正確に補助簿を作成していれば、
もらい漏れで損することや支払い漏れで信用を無くすこともありません。きちん
とした財務諸表を作成することにより、銀行、信用調査会社等に対しても評価が
高くなり、融資にも支障がないでしょう。税務調査も短期間に終わるでしょう。

それに対し、経理処理がしっかりしていない会社では、どれくらい儲かっている
のか検討がつかなく、節税対策も考えにくいし、それと恐いのは横領、横流し等です。
きちんとしていないため、多少お金、商品がなくなっても誰も気付かなくなり、
そのうちに多額の持ち逃げが発生します。又、売掛金のもらい漏れで損をして、
買掛金の支払い漏れで信用を無くすことにもなりかねません。景気が悪くなって
来ても、どのくらい損失が出てるかはっきりせず、経費節減の検討もつきません。
資金繰りをどのようにするかもはっきりしません。いい加減な財務諸表しかできな
く、銀行、信用調査会社の評価も低くなり、融資も思うように受けられなくなりま
す。又、税務調査で厳しく指摘され、解明するため長期間の日数をようし、多額な
税金を追徴されることになるかもしれません。

経営者によっては、経理は後回しでとにかく営業第一という方や、製造や開発で
めいっぱいで、経理に人を雇う金はないといった方が多いように思います。経理
という仕事は営業、製造等と違って、やらなくともやらないなりに、会社は動く
ことはできます(だからなおざりになりやすいのですが)。しかし、本来、経理
が会社の中枢でなくてはならないのです。会社は生き物ですから、何時どのよう
なことがおきて「死」を迎えないとも限りません。自分自身を正確に見つめ直す
には、経理処理をきちんとして、正確な情報を得て対策を講じるしかありません。
できる限り伝票、帳簿作成は会社自身でやることです。というのは、現金、売掛
金、買掛金、材料、商品製品、固定資産等といった資産、債権債務の管理保全は
帳簿なくしては不可能であるからです。帳簿がなければ、何がどれだけあるか判
らず、盗難紛失があっても防ぐことができません。又、得意先別の売掛台帳、仕
入先別の買掛台帳をつけていなければ、もらい漏れ、支払い漏れ等が発生しやす
くなります。材料、品等でも在庫がはっきりしなければ、仕入れ過ぎて在庫過剰
になったり、逆に足りなくなったりします。


経営実務

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