講 師 前林野庁国有林野部長 福田 隆政氏(昭和47年入寮)
テーマ 「日本の森林の現状と可能性」
福田隆政氏(前 林野庁国有林野部長・昭和47年入寮)は義理人情に厚く、理にかなった生き方をしていたせいか多くの寮友が兄貴のように慕っていた。赤提灯「いこい」では手ぬぐいを鉢巻にして大信州を飲み、グラウンドでマージャンをしていた姿が目に浮かぶ。しかしながら変な兄貴であった。慕われているにもかかわらずみんなのアイドルになっていたのである。寮友は「福さんが……」と愛情をもって可愛がっていたのであり、尊敬されるアイドルであった。
老いた母ひとり子ひとりの福さんは、ときどき送られてくる仕送り500円を大事そうに「この金は飲まない。本を買う」と語っていたのをいつも思い出す。お母さんは泥絵画家で栃木の実家に泊まりに行ったとき、布団に手の出すところが付いていたので、私はこれはどてらであると言って、着て町へくり出しても笑っておられた。お母さんがなくなり身内が誰もいなくなったので、生命保険の受け取り人を君にしようと言われたとき、涙が出た。その後結婚し、生保の受け取り相手が確定した。
福さんの世界観はすばらしいものがある。社会の営みの原点に階級闘争があることと同時に、資源・エネルギー・環境・水問題があることを主張していた。戦争が市場拡大と同時に、資源・エネルギー・環境・水の権利再分割戦争であったからである。
十数年前、国有林野の資源・エネルギーの有効利用を検討する委員会を設定したとき、学者を調査したところ私の弟(敦司・昭和50年入寮)がいて、バイオマス流動層ガス化炉の企業として私が選ばれ、森林の学者として三鷹寮委員であった小池浩一郎(島根大学・生産資源学部教授・昭和45年入寮)が委員となった。昔話で毎回酒を飲んだが、「堤、小池、ちんたら仕事せずに早く森林が人々を助けるように工夫せい!」と叱られたのにはびっくりした。弟は東大生研エネルギーセンター長となり、低炭素社会に向けてさまざまの試みを政府に提言し、小池先生は森林バイオマスが流通する仕組みを考案し、プロジェクトを立ち上げ、私はバイオマスガス化ガスタービン発電機を開発し、動かしている。また、風力発電の平滑化電池も開発し、森林の小水力発電も会社で開発した。
福さんは世のため人のためには命をかける、時代遅れの役人である。事象に対して「自分の立場、利益に良いものか悪いものか」を判断するのがサラリーマンであるにもかかわらず、「社会、人間、自然に良いものか悪いものか?」で動いてしまうのである。明治政府発足以来初めて「森林行政をどう考えている?」と、大蔵省に殴りこんだ役人だと聞いている。三鷹寮寮友には機会あれば彼を守ってくださるようお願いしたい。
堤 香津雄(昭和50年入寮、川崎重工葛Z術開発本部ギガセルプロジェクトグループ参与)
記
日 時:平成21年11月30日(月)18時30分〜21時
場 所:学士会館本館203号室(千代田区神田錦町3−28 Tel 03-3292-5931)
講 師:福田隆政氏(<独>森林総合研究所理事・前林野庁国有林野部長・昭和47年入寮)
テーマ:「日本の森林の現状と可能性」
会 費:5000円(夕食・飲物付き)
定 員 70
名(先着順)
申込先 平賀・干場 Fax 03-5689-8192 電話
03-5689-8182
有限会社ティエフネットワーク Email:tfn-hoshiba@blue.ocn.ne.jp