東大三鷹クラブ第82回定例懇談会

 講 師 中前国際経済研究所代表 中前 忠氏(昭和33年入寮)
 テーマ 「世界不況と日本経済の行方」

  中前君、(我々の間では忠さん)と私とは広島大付属中・高時代から三鷹寮と同窓、1970年代には3年間オーバーラップしてロンドンに駐在した。忠さんは大和証券で欧州の経済情勢の調査分析、私は三井物産で新技術調査と導出入が担当で、二人とも東京本社からの直轄駐在員であり思う存分自分のやりたい仕事が出来る環境も似ていた。

 株式会社中前国際経済研究所を設立後の彼のご活躍は皆様ご存じの通りである。

  バブル崩壊時の忠さんの提言は「不良債権の規模は不明で、しかも不況の深刻化、地価の下落で一段と大きくなるだろう。100兆円を超えるかも知れない。よって不良債権を分離することが優先されるべきだ。先ず銀行を完全国有化し優良資産から不良債権を切り離し不良債権は国の管理下で時間をかけて処理する。優良資産のみの銀行を短期間で再上場すれば、そのキャピタルゲインで不良債権処理の費用は回収できる筈。」というものだった。

 中前案では銀行株主は全てを失う。これは後に野党の全面国有化案となって一度は金融国会で小渕首相も丸呑みを決意したものの、銀行などの圧力で宮沢蔵相が逆に銀行の株主保護を優先、部分国有化に倭小化した結果、銀行危機は2003年のりそなへの公的資金投入まで続いてしまい、結局、日本は失われた10年へと突入してしまった。今回の米欧もその意味では日本と同じ過ちを繰り返そうとしている、と忠さんは思っている等だ。

 四半期毎に忠さんが送ってくれる世界経済の現状と見通し分析レポートは、各国公的機関の統計数字などの裏を読み綿密に分析したものである。丹念に読むだけで世界の流れが正確に把握できる。読者は今回の金融危機についても十分予測出来た筈である。

 全世界を巻き込んだ金融危機問題の重大性に鑑み、三鷹クラブ講演会としては初の試みとして二回目の講演を急遽、中前忠さんにお願いすることとし快諾を得た。前回1998年9月16日の「日本経済はどうすべきか〜ヨーロッパからの視点を加味した世界経済分析〜」に次いで、今回は「世界不況と日本経済の行方」と題し、中前さんの論理的且つ明快な予測と解説を三鷹クラブ諸兄と今、共有出来るのは大変有り難く且つ興味深いと思っている。(昭和33年入寮 林 利蔵 記)






                  記

 日 時:平成21年1月29日(木) 18時30分〜21時
 場 所:学士会館本館203号室(千代田区神田錦町3−28  Tel 03-3292-5931)
 講 師:中前 忠 中前国際経済研究所代表(昭和33年入寮)
 テーマ: 「世界不況と日本経済の行方」
 会 費:5000円(夕食・飲物付き)
 定 員 70 名(先着順)
 申込先 平賀・干場 Fax 03-5689-8192 電話 03-5689-8182
  有限会社ティエフネットワーク Email:tfn-hoshiba@blue.ocn.ne.jp