ボクはだめなの?


「虹の橋にいって幸せになるんだよ」

さっきおじさんが言ってた 虹の橋って
何のことなんだろう
ボク達 これから そこに行くの?

おうちに帰りたい
でも もうボクのおうちには
ボクのお茶碗は無いんだ

暑かったなぁ ボクのお家は
お庭の隅で とっても日差しが強くて

暑いよって言うと
「うるさい だまれ」って
よく怒られた

お腹が空いたって
のどがかわいたって
言うと とっても怒られたんだ


ママやパパに言っても
駄目なんだと思って
お隣のおばさんや
学校がえりのお姉さんに
お腹空いたよ
のどがかわいたよって
言ったけど
誰も助けてくれなかった


ある日ボクは初めてパパに車に乗せられて
ドライブに連れていってもらったの

川がながれてて
小さな虫もいっぱいいて
うれしくてそれを見つめてた

振り向いたら
パパがいなくなってた


ボク一所懸命歩いたよ
一生懸命
川も渡ったし
たくさん車が通る道だって
ちゃんと渡って
帰ってきたよ

2週間もかかっちゃったけど
ちゃんとちゃんと帰ってきたよ


でも お家には真っ白くて
小さな子犬がいて
皆に可愛がられてた

ボクの大事なご飯の茶碗もなかった


ただいまって
帰ってきたよって
言ったけど


知らないおじさんたちが来て
また 車に乗せられたんだ


扉が開き始めた
もうすぐ行くんだね
虹の橋ってところに


でもボク・・・
どうしても行かなくちゃいけないの?
お腹が空いてても
オシッコ我慢しててもいい

ママとパパの側にいちゃ
いけないの?


だんだん暗くなってきた
おじさんたちが車で連れに来たときに
虹は消えちゃったんだね



これは実際に起きた話です。
救えなかった命に哀悼を込めてここに記します。