ゲーム屋裏方稼業

第7回 中古市場のネットVSゲーム屋

 今回はゲーム屋バイト日記からの再録コラムです。裏方会社での話ではないのですが、デキゴトロジーに載せる話とは違いますし。



 最近、中古店で見つからない本やゲームソフトやネットオークションで探してみると、これが結構見つかるものです。しかし、随分暴利だと思って手を出さないことも多いのですが。まあ、ネットオークションは出品者が高く売ろうと思って出してくるからそれは無理からぬこと。それで今更ながら思い至ったのですが…

 オークションを見ていると、ゲームソフトの値段は概ね中古ソフトの相場と大差ない程度。
 言うまでもなく、2000円で買い取ったものを3000円で売って差額の1000円を粗利として得るというのが中古屋の仕組みです。が、店を通さず売り手と買い手が直接やりとりすることで、売り手は中古屋に売れば2000円のところを3000円で売りに出せるのですし、買い手にしてみれば、相場程度で店で買っても金額的に変わらないなら選択肢として等価、それより安ければ言うことなしでしょう。
 それと現在、中古ショップに対して警察の指導が厳しく、18歳未満は結構ソフトを売りにくい体制ですし、ネットオークションでは特に年齢による規制がない(主催によりですね)のもメリットのはず。
 また、買い手にとっては目当ての品物を探すことに向いているシステムといえます。自分の行動範囲の店を一軒一軒見て回っても目的の品があるとは限らないのに対しネットでは出品があれば検索で瞬時に見つかり、全国的な繋がりによって発見率もかなりのもの。どうしても出てこないような物は、どっちみち店にも出てきやしませんって。 
 勿論、ネットが万人のものでないことに加えて、オークションというシステムの特異性──買い手が付かない、また競り合いによる価格高騰、手続きの煩雑さ等──を無視できませんが、今やショップ以上に中古利用者のニーズに合ったものになっていえるでしょう。

 2、3年前からゲーム専門店に、将来的にゲームがオンラインによりノンパッケージ販売されるであろうことを脅威とする論調がありましたが(最近ちょっと落ち着いた模様)、私個人としてはそれはさほど問題ではないと考えてきました。確かに淘汰される店も出てくるでしょうが、実際に現物を見て購入することへの需要は確実にありますから。そのためゲーム専門店はなおさら専門性を特化させない限り生き残れないと考えているのですが──これについてはまた別の機会に語るとして、むしろネットの普及によってゲーム屋が脅かされるとしたらそれは中古市場の方なのではないか、と思えてきたのですよ。

 ただ、それは最初から目当ての物がある“目的買い”の場合。検索で目的物を探しやすいのがネット購入の利点とすると、不特定に安いものを探すにはやはり店頭で見ることが向いています。1500円シリーズなどの廉価ソフトが「安いから試しに買ってみるか」という“ついで買い”を狙ったように、ライト層は「何か安くて面白そうなもの」を求めるのが傾向のひとつ。見た目の印象で購入を決める“ジャケット買い”も店頭ならではですよね。

 売り手側についても考えますと、先日、店で「テンバイヤーは果たして割に合っているのかアレは…? 売るならネットオークションの方がまだ高く売れそうなのだけど」と考えたものの、とにかく値下げしてある処分タイトルを仕入れていく彼らのこと。あまり魅力のないソフトをオークション出品したところで買い手がつかない可能性があり、その点、中古店ならば値を付けないと云うことはありませんから、買取価格が購入価格を下回らない限りは確実…なのかも。いや、山のようにいますけどね、ネットテンバイヤー。

 中古市場にしても、実際のお店とネットオークションそれぞれに利点があることで、即座に取って代わる…という性質の問題ではないですが、ネットオークションは特にコアユーザーにとっては利点が多いと言えそうで、今後棲み分けが進むというところでしょうか。

(2001/2/11)

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