ゲーム屋裏方稼業

第2回 分かっちゃいるけど…?

 コンサルティング会社というからには、ソフトの発注提案の依頼をしてくるお店というのは大体二通りです。
 よほどやる気のあるお店か、よほど知識がないか。

 それにしたって、現場のお店の人間があまりにゲームについて知らないことに嫌気が差すことがあります。
 何か1タイトルでも受注がある度に電話をかけてくるお店が2つありました。
 A店の責任者の方は、もはや発注案内のFAXを自動的にこちらに転送してくるので、効率悪いからまとめてやらせてくれーっ!と泣かされましたが、うちの見解を参考にしつつも自店のビジョンはしっかり持っていました。しばしば独自の判断で「勝負」に出て、それが当たることも外れることもありましたが、自分の店の傾向をはっきり把握しているからこそ積極的な発注ができるのです。ゲーム業界が下降気味の中でも、このお店では前年比120〜180%の成長を遂げたと聞きました。
 B店は、やはり事あるごとに提案を聞かれるのですが、提案の材料として、客層の傾向や過去の同系タイトルの売れた数、シリーズ物の前作実績を尋ねても答えられないのです。それでは具体的な数を算出しにくいのに、そのくせはっきりとした本数を聞きたがるし、大体、ソフトの内容を把握していないから、要る物と要らない物の判断がつきゃしない。自分の店だろうがーっっ! まあ、それまで問屋の言うままの数を入れて、在庫過多に困って提案を依頼してきたらしいけど…。

 さて、前置きが長くなりましたが、お店の売れる、売れないという判断とは別に、望まずして店のキャパシティ以上に仕入れざるを得ない場合があります。昔は抱き合わせが有名でしたが、今は表だってやるのは二次問屋くらいかな(PSでも二次問屋は存在しているんですから)。任天堂の分納対策のため、値崩れ承知か掛け高かの選択になるのが一番多いケースでしょうが、これは長くなるので置いといて(用語が解らない人、気にしないでおくか他のHPを見てね)。

 最近、危惧していたのが某E社のケース。
 Aという超ビッグタイトルをエサにして、Bというソフトをいっぱい入れてくれれば、その4倍の数のAのソフトを回してやる…と釣ったという話を聞きました。E社の営業が皆そう言ったかは知りませんが。
 そのため、Bだってそれなりに前評判もあれば、期待しているユーザーもちゃんと付いている良作なのに、あるお店では、最初から2.980円程度で捨て売りするつもりでBを過剰に入れたと話していたそうです。
 そのBというソフトの存在意義って一体!?
 元々ちゃんとアピールすれば売れるだけの魅力はあるはずなのに、店側に売ろうって気概もない訳かって!

 で、こうなるとBが前人気の高さで最初から勢いよく売れてくれない限り、暴落するのは避けられない。
 ……一般のユーザーは、値崩れして安ければうれしいだろうけど。
 結局、通常以上に割引された価格で予約を取る店も何件か見受けられたり、どこでも初めからだいぶ割引されていたので、やはり相当在庫を抱えていた店は多かったようですが、実際のところ店側の見込んだ以上にB作は人気があったというもので、そう値を崩さずに済んだ模様。と言うよりも、必要以上に最初から値引きせざるを得なくて店側が痛かったくらいか。初日完売のお店もあったし。それにしたって初回80万本はないって…。
 おまけに、年末に出るはずのAは延期で、年末商戦はずしたらAの仕入れ数も変わってくる訳で、件の店では話が違うと怒っていたとか。ここまで言うと頭文字にしていなくたってバレバレですね。

 暴言ながら、私は、返品制度がないのをいいことに、仕入れさせれば後は知らない、売るのは店の仕事というようなメーカーも、販売努力もしないで、ソフトは置いておけば売れる物、売れないのはそのタイトル・メーカーの力不足と思っているようなショップも潰れちまえと思っていますから。
 こんな風に言えるのは外野だから?

(2000年2月)