みら's REVIEW

蒼穹紅蓮隊
ジャンル:シューティング/ライジング/エイティング

 明朝体の漢字がバンッと入る激カッコイイ演出に、主人公達が民間企業の社員という特異な設定に一目惚れなゲームです。「エヴァ」っぽいと噂されますが、シューティングゲームのメッセージ表示は英字という定石を打破するのが狙いで、別に「エヴァ」を意識したのではないと言うんだし、実際、その演出は成功しているんだからいいんじゃないかと。

 「魔法大作戦」「バトルガレッガ」のライジングの縦スクロールシューティング。システムはかなり独特で、「死角無し!」というキャッチコピーが語る大きな特徴が“ウェブ”と“追尾レーザー”
 追尾レーザーというと「レイフォース」シリーズに代表されるようなロックオン方式が一般的だと思いますが、このゲーム独自の方式が“ウェブ”を使用したもの。ショットボタンを押し続けると自機から立体的なワイヤーフレームのフィールドが展開されてゆき、その範囲に入った敵が照準され、ウェブを解除すると照準した敵に向かって追尾レーザーが発射されます。照準できる数は3つの機体によって違い、6〜8体。また、ウェブは、広範囲を覆うが威力は劣る「拡散型」と、捕捉範囲は狭いが強力なレーザーを放つ「集中型」の種類を切り替えられます。高度の違う敵はこのウェブで捕捉してレーザーで倒すことになるし、同時に多くの敵を照準して撃つほどスコアも上がるので、あまり通常のショットを撃つ場面がないのが実際のところ。ただし、ウェブ内に照準するのが1、2体だと、スコアが1/2倍とかえって減点されるので、ウェブを使っちゃいけない場合もあるんですが。
 それと、スコアのシステムでもう一点挙げておくと、ステージクリア時に撃破率に応じてボーナスが入り、全機破壊で特別ボーナスが入ります。これが本当に「賞与支給」なんですけど、成績がそのまま給料につながるサラリーマンって訳で(笑)
 それから、舞台設定を説明すると、舞台は2050年代の企業集合都市「東京府」。「蒼穹紅蓮隊」とは、衛星打ち上げ企業「(株)尽星」の私設自衛隊「JDF」の通称。パイロットは、軌道事業部 防衛2課の課長・八指多薫、防衛2課の新人(実は会長の隠し子)・朏良太、関連会社に出向中の豊の海防衛部 主任補・国村リカの3名。各ステージには、企業間の武力対立のバックストーリーがしっかり設定されています。ステージの前後やボスの登場シーンには、これでもかとばかりに画面全面に作戦内容、最優先攻撃目標(つまりボスの名前)、敵残存兵力などが明朝体で表示されるのが印象的。EDでは、各ステージの事件はこう報道されたとのカバーストーリーを表す新聞記事がバックに流れて芸が細かい。
 サウンドは「オウガバトル」や「レイディアント シルバーガン」の崎元仁氏。重厚で格好良いです。
 難易度は…弾が多い割に、機体の当たり判定があまり小さくはないので、ちゃんと弾避けしないといけないので厳しいかも。弾のスピードはそう速くはないのですが、4面あたりから詰まる人が多いみたい。

 家庭用にはSSとPSに移植。アーケード版がSSと互換性のあるST-V基板ですから、SS版の移植度は問題なし。オプション設定が細かく、累積スコアによって特別設定の項目が増えていきます。スコアアタックモードやデータベースなども収録され、「魔法大作戦」等の曲も視聴できる上、「バトルガレッガ」体験版付きの廉価版「御徳用」も発売されていて本当にお得!
 PS版には、オリジナル機体「黄武」と新キャラが追加されていますが、ゲームショウでプレイした限りは1面から処理落ちがひどかったし、あまいい評判は聞かないので不安が。

 ゲームショウといえぱ、97年秋の時、エレクトロニック・アーツ・ビクターのブースにアーケード版も出展されていて、息抜きにプレイしていたところ(何より座りたかったんだもの)、後ろでスーツの兄ちゃん2人が見ている気配。EAVの人かな〜なんて思っていたのですが、1面で「全機破壊」達成したら兄ちゃん達に笑われてしまった? ビジネスデーだったし、そこまでやりこんでる奴がわざわざゲームショウまで来てやるかぁ?ってことなんだろうなあ…と解釈しましたが。とほほ。

システム・・・・★★★★☆ ウェブの使い方が面白いし、初心者にも扱いやすいはず。
グラフィック・・★★★★☆ 漢字やワイヤーフレームの表示がシンプルかつ渋くて格好良い!
世界観・・・・・★★★★★ 徹底した企業の設定が斬新だし、随所の演出に設定が活きています。