みら's REVIEW

サイキックフォース
ジャンル:3D対戦アクション/タイトー

 あー、一番心中複雑なタイトルが。いや、フクザツなのはゲーム自体なんじゃなくて、その周りの環境なんですけど…。

 ジャンル的には3D格闘に分類されるかと思いますが、格闘というと語弊があるような。3Dと言うのも違うかも。ポリゴンキャラによる360度に移動しての空中戦です。
 96年3月に発売された後、バージョンアップ版の「EX」が8月に登場。

 格闘ゲームに、超能力者という設定のキャラクターは今までも居たと思いますが、このゲームはなにしろ超能力者“サイキッカー”同士の戦い。結界に囲まれた空間を自由に飛び回り、それぞれの属性の超能力技を撃つというゲーム性は、超能力者という設定ならではこその斬新なものです。
 操作も非常に独特で、レバー+ガード・弱・強の攻撃の3ボタンながら、レバーを使わない攻撃ボタンの同時押しで相手に向かってダッシュ、レバーを入れながら同時押しでその方向にダッシュとなり、ガードも特殊でガードボタンだけでは超能力技は防げず、レバー一回転+ガードでバリアを張るなど、かつてない操作系で慣れが必要な一方、今までの格闘ゲームの初心者と上級者との差をなくしていたと思います。360度展開なので、コマンド入力の向きが関係ないのもありがたいところ。
 また、特徴的なのがサイコゲージの存在。超能力技やバリアガードを使う際にはゲージを消費し、そのチャージ中は無防備になるため、超能力技を使う配分や間合いの取り方のかけひきが面白く、また、超能力技自体がも画面全体に突風を吹かせたり、時間を止めたり、疑似ブラックホールを発生させたりと派手で個性的なので、その戦略性と併せて楽しめます。
 対人戦では、時間内に勝負がつかないと優勢勝ちはなく、サイコゲージゼロで結界も狭まるサドンデス戦に入るため、対戦の緊迫感はかなりのもの。
 それと、ポリゴン格闘の中でも異色なのが、キャラ選択画面はアニメ絵だったり、綿密な世界設定やストーリーがあったりと、わりとアニメっぽさを意識したものだということ。それは元々、超能力アニメの世界を再現したようなゲームというのがコンセプトだったようです(資料がいま手元にないのですが確かそう聞いたはず…)。ただ、いかにもEDがどうなるか期待させるようなドラマチックな設定なのに、この時期のポリゴン格闘の倣いでEDがないっていうのは詐欺でしょう。
 ZUNTATAサウンドも格好良いです。キャラセレクト画面とエミリオステージの曲がお気に入り。

 EXでは、以前は吹っ飛ばされると無防備だったのが、飛ばされ中に連続技を防ぐ回避バリアを張れるようになり、万能すぎのバリアガードはゲージ消費が増し、隙もできたため、前ver.で可能だったバリアで弾いての無限段連続技(通称・弱バリア。ウォンが凶悪。弱・弱・弱・バリア・弱…とつながってしまう)は不可能に。あとはカラーが4色になったっけ。EDも一枚絵が入りましたけど、余計に謎…。
 家庭用には、「EX」をベースにPS版に移植され、音声入りのストーリーデモやEDも追加。ファンはPS本体ごとでも買うだろうとは思いましたが、この週のオリコン1位を取ったのはさすがに驚いた

 しかし、まあ別に悪い事じゃないんでしょうけど、私としては気になったのは、キャラクター人気が先行するような人気の出方をしたこと。だから後に「パズル大戦」なんてものまで…。いやニーズがあるならいいけど。
 このゲームのユーザー層というのは、今までの格闘ゲームはまったくやらなかった女性、主にアニメファン層が結構多いそうです。前述したように、あまりに特殊な操作系は初心者にもハンデがなく、入りやすかったようで、それ自体は良かったのですが。

 個人的には…あまり突っ込んだ話をする気にはなれないのですが、確かに同人系でウケるのも解りますけど、いわゆる「サイキッカー」と呼ばれた熱狂的ファンの集団って、やっぱり異様だよ…と。
 私はあまり関わり合いにならなかったけど、同人系の派閥争い的なことも目の当たりにしたし、まして、同人活動に理解を示してくれる関係者の方々の気持ちをあだで返すような真似をしては、このゲームのファンとは名乗りたくなくなるというもの。自分に状況を変えられる力がないから逃げたと言えばそれまで。
 別に同人に限った話でもなく、都心のタイトー直営店では、続編「2012」の発売間近まで対戦が盛り上がっていましたが、その対戦台を取り巻く様は、一般のお客さんへの配慮が欠けたものだったとか…。「2012」のロケテスト時も、都心部の店では内輪で台を占めてしまって、他の客はろくにプレイできない状態だったと他のプレイヤーから聞きましたが、後からその店に行ってノートを見たところ、ネットで情報が流れてしまったため遠くからも人が集まり、店としてはロケテストの意味をなさないし迷惑したとの話が。普通、客商売であるお店は、よほどの事でないとそう表立った苦情なんて言わないのに。
 行き過ぎたファンは、作品の責任ではないんですけどね。

 ついでに、このゲームで私の対戦スタイルが完全に大道芸に走ったのですが(対戦では投げのみで戦う)…それには理由や言い分があるけど、長くなったのでもういいや。CPU戦でも、レバーを使わないボタンのみのクリア、しかもボタンを左手で操作などの大道芸をやっていましたが、これは単に面白がって挑戦してみただけ。

システム・・・・★★★★☆ シンプルかつ斬新な操作系と、超能力技の駆け引きが◎。CPU戦は単調かも。
グラフィック・・★★★☆☆ ポリゴンキャラのアップがちょっとキツイかな〜。技の見せ方や演出は格好良いです。
キャラクター・・★★★★☆ 個人的には、特にキャラクターが好きではないですが、個性は出ています。