みら's REVIEW

サイバーボッツ
ジャンル:格闘アクション/カプコン

 「ヴァンパイアハンター」の陰に隠れてしまったのと、やはりメカ物ゆえに取っつきにくかったのか、マイナーというか不遇な作品だと思いますが、固定ファンがやたらしっかりついているのもこの作品の独特の傾向。ええ、そりゃもう私も思い入れは非常〜〜に強いです。
 自機の装備を組み合わせられるというのにまずひかれ、主人公ごとのストーリーも気になり、キャラデザインも西村キヌさんだしと、AOUで注目していたのですが出展台数少なくてプレイできず。しかも、この時カプコンで配布するビニールバッグの絵柄がボッツだったのですが、名刺がなくて貰えなかったのがくやしい。

 数少ないロボットものの対戦格闘で、「パワードギア」の続編にはなりますが、共通しているのは自機のVA(ヴァリアントアーマー)やパーツ変更だけで、キャラや世界観は別物です。VAのサイズが完全に違っているので世界が違うはず。本来はパワードギア同様、ベース機体を選んで3箇所のパーツを自由に組み合わせられる予定だったらしいのですが、さすがに実現せず。まず4つのベース機体を選んで、その中で装備の異なる3タイプが用意されている、計12体から選ぶものになりました。ボス機体もコマンドで使えます。反則的な強さのワーロックも…。
 機体とは別にパイロットを6人から選び、選んだキャラによってそれぞれのストーリーが展開。ストーリーデモが各戦闘の前後に入るというドラマ性重視の構成も大きな特徴で、こうゲーム中でしっかりシナリオが語られる格ゲーはそれまでなかったのでは? キャラによって展開がまったく違うだけでなく、対戦するキャラや、対戦相手の搭乗する機体も違うものになります。ついでに、主人公のはずのジン・サオトメだけ他とストーリーの大筋が別物……ヤツは親父の仇のことしか考えてない
 操作系は、カプコン伝統の6ボタンでなく、攻撃1、2(弱・強)とブースト、ウェポンの4ボタン。ボタンの用途がはっきりしているのだから解りにくくはないはずと思うのですが、そこは慣れないせいか、ユーザーが手を出しにくい要因となっていた模様。しかし、ブーストボタンでゲージ残量がある限り自由かつ微妙な空中移動ができたり、ウェポンを方向指定して撃ち分けたり、画期的な自由度の高さの操作システムだっただけに残念。使いこなせるようになってくると対戦がすごく面白い!
 また、サウンドの演出も独特で、連続技が決まると「〜HIT COMBO!!」とカッコイイ実況が入るのが気持ちいい! メカのガシガシぶつかり合う音も迫力があるし。ハードロックっぽい曲もかっこいい。1曲すごいのがありますけど。演歌なメタルのスーパー8の曲。素敵です。

 このゲームで、一部で人気爆発な看板キャラがデビロット姫一行なんですが…。ドラクエのアリーナ姫一行、あるいはドロンジョ一味のような悪玉3人組なんですけど、ボッツの世界のキャラじゃないと思うんですよ。キャラクター的には私も好きなんですけど、唐突すぎてイメージ崩すので…。
 とはいえ、硬派に統一されているパワードギアと違って、ボッツの世界観はわりといいかげん、と言おうかなんでもアリ。なぜか修験者風のレジスタンスとか、野生児のバオ&マオとか(異星人?)。ジンも初期設定では“右翼小僧”なんてなっていたし。「マーヴルVSカプコン」に出演した時のジンのキレっぷりはすごかったですけど、本編のボッツではそれなりにまともです…。

 家庭用ではSSとPSに移植。SS版は、内容が豪華でお薦めながらも市場に余り気味で値が下がっている超限定版があります。4MRAMカートリッジ対応ですが、なくてもパターン落ちるだけで遊べます。しかしロードが長いっっ! 読み込み多すぎて、デモ部分とバトルのつなぎ悪くてダレるだけでなく、デモ中の場面転換の度に曲が切れて雰囲気ぶちこわし。また、デモが音声入りになっていて、キャストは豪華なんですけど、声質がアーケード版とかなり違うので抵抗ある人もいそう。姫…ヘタすぎ。デモ自体をオフにすることはできますが。あー、あと豪鬼ロボこと「零豪鬼」が追加されていて、豪鬼そのままの技が結構笑えます。PS版はSS版の移植。

システム・・・・★★★★☆ 一般受けはしにくいけど、ロボットならではの操作感が良。
グラフィック・・★★★★☆ ドット絵の描き込みは質感たっぷり。ステージによっては背景がうるさいけど。
ストーリー・・・★★★★☆ シナリオ内容は好きずきとして、ドラマ性のある戦闘の演出が画期的。