一太郎9で HTML を生成

1998/9/25 午後四時頃、一太郎9をゲット。何でも今度のバージョンは HTML の生成に自信があるとか。HTML4.0対応! で、聞くところによると、フォントサイズなんかを忠実に反映するとか。

なんかどういうソースを吐き出すのか想像がつきそうですが……。さっそくやってみました。

適当に作成

適当にちょろちょろと文書を打ち込んで HTML に。で、ソースを確認……。

ヘッダ

まずヘッダを見てみましょう。

<HTML>
<HEAD>
<TITLE></TITLE>
<META HTTP-EQUIV="Content-Type" CONTENT="text/html; charset=x-sjis">
<META NAME="GENERATOR" CONTENT="JUSTSYSTEM Ichitaro9">
<META NAME="CREATIM" CONTENT="16:5:0">
<META NAME="BUILD" CONTENT="1998/9/25">
<META NAME="KEYWORDS" CONTENT="">
<META NAME="JS_PaperWidth" CONTENT="21000">
<META NAME="JS_PaperHeight" CONTENT="29700">
<META NAME="JS_Place" CONTENT="0">
<META NAME="JS_UpperMargin" CONTENT="3000">
<META NAME="JS_LowerMargin" CONTENT="3000">
<META NAME="JS_LeftMargin" CONTENT="3000">
<META NAME="JS_RightMargin" CONTENT="3000">
<META NAME="JS_Japanease" CONTENT="MS 明朝">
<META NAME="JS_English" CONTENT="Times New Roman">
<META NAME="JS_Number" CONTENT="1">
<META NAME="JS_CharSize" CONTENT="370">
<META NAME="JS_ColumnType" CONTENT="0">
<META NAME="JS_CharCount" CONTENT="80">
<META NAME="JS_LineCount" CONTENT="40">
<META NAME="JS_InterCharSize" CONTENT="14">
<META NAME="JS_InterCharUnit" CONTENT="0">
<META NAME="JS_InterLineSize" CONTENT="600">
<META NAME="JS_InterLineUnit" CONTENT="0">
<META NAME="JS_CheckSum" CONTENT="186727">
<META NAME="JS_MarginGroupUnit" CONTENT="0">
<META NAME="JS_CharSizeGroupUnit" CONTENT="2">
<META NAME="JS_InterCharGroupUnit" CONTENT="4">
<BASEFONT STYLE="font-size:3.70mm">
</HEAD>

はい、期待通り、DOCTYPE 宣言がどこにもありません。charset は IANA に登録されている Shift_JIS ではなく x-sjis になってます。

style 属性を使ってるのに CONTENT-STYLE-TYPE の指定がないのも問題ありです。

それから META の嵐! これは HTML を一太郎文書に変換するときに使う情報でしょう。

それはいいとして(よくないけど)、注目すべきはヘッダの末尾。BASEFONT を HEAD の中で使ってやがります(文法違反)。しかも style 属性でフォントサイズ指定……って、なんかものすごく間違ってるような気がするんですけど(こーゆーのは BODY 要素に指定するんだよフツーはさ)。第一、BASEFONT 要素に style 属性なんか存在しません。というわけで、これは文法違反の二乗なのでした。

仮に BASEFONT に style 属性が存在したとしても、BASEFONT なんて空要素ですから、style が文書全体に継承されるはずがありません。けれども、IE4 はこれを変な風に実装しているみたいで、全体に style が影響してしまうようです。

しかも mm で絶対指定してる。鬼ですね。

BODY

で、本体に行ってみましょう。

<BODY>
<DIV>どうしようもないのだけれども。
</DIV>
<DIV> 
</DIV>
<BLOCKQUOTE STYLE="margin:0.00mm"><BLOCKQUOTE STYLE="margin:0.00mm">
<DIV STYLE="margin:0.00mm 20.57mm 0.00mm 22.44mm">HTML編集ができるって?
</DIV>
<DIV STYLE="margin:0.00mm 20.57mm 0.00mm 22.44mm">ははは。
</DIV>
</BLOCKQUOTE></BLOCKQUOTE>
<FORM method="GET">
<DIV>
<INPUT TYPE="IMAGE" NAME="I1"
 src="A_DANCE.GIF" ALIGN="TOP"
  width="159" height="97">
<INPUT TYPE="TEXT"
 NAME="T1" size="20">
</DIV>
</FORM>
</BODY>
</HTML>

はい、予想通り style 属性の嵐ですね。しかも mm 単位固定。

……P とか Hn とかないの? ぜんぶ DIV なの? と思ったら、「P の代わりに DIV を使う」というすさまじいオプションがあるようです。Hn は段落スタイルの設定で実現できるみたいです。

あっ、BLOCKQUOTE がある! ……っておいおい。インデントに BLOCKQUOTE なんか使うな! しかも入れ子にしてやがる。なんのための style 属性なんだ?

あと、INPUT などを FORM の外に設置することができません。設置しようとすると「FORM の中に設置しろ」と文句を言われてしまいます。

たしかに HTML 2.0 Level 2 の文法では INPUT などが FORM の中にしか書けないのですが、HTML3.2 以降では FORM 外に INPUT などを設置できるようになっています。一太郎9が HTML4.0 対応を名乗っちゃってる以上、これができないとまずいと思うんですが。

フレーム作成

フレーム分割文書も作れます。

などに目をつぶればまあ許容できます。あまり目をつぶれないような気もしますが。

一太郎で既存のHTML文書を編集

一太郎9では既存のHTML文書を編集する事も可能です。が……ISO-2022-JP でエンコードされた文書を読もうとすると化け化けになってしまいます。と思ったんですが、読み込み時に詳細オプションで文字コード判別方法が指定できるようになってました。自動判別にすると読めます。

けど、右クリックメニューやドラッグアンドドロップで送ると常にシフトJIS と見なします。何考えてるんだか……。

で、ためしにいろんな文書を読み込んで、なにも編集せずにそのまま HTML形式で保存してみました(保存時に「スタイルシート使用」と「ページ幅固定」をオン)。すると以下のような現象が起きました。

とまあ、なにがなんだかわかりません。リスト関係の文法違反は致命的ですね。

それから、もっとすさまじいのは TABLE です。

いやはや、もうめちゃくちゃです。泣きそうです。特に、TD の中にいちいち BASEFONT を入れてくれちゃうので、巨大なテーブルを持つ文書はサイズが倍加します。

もういやんなっちまうなぁ。

結論。

吐き出すソースは想像以上でした。特に致命的なのはリスト関係の構文のでたらめさ加減で、HTML4.0 どころか HTML 2.0 Level 1 にもきちんと対応できていません。しかも BASEFONT に style 属性を指定するという馬鹿なことを平気でやります。文法違反だらけです。

スタイルシート対応、とか言っていますが、その実体は style 属性をごりごり吐き出すだけ。でもってヘルプの中では

スタイルシートを使用すると、複数の文書間でスタイルの統一が簡単になったり、スタイルを変更する際にも修正個所が少なくてすむという利点があります。

なんて言ってくれちゃってます。ここで言っているのは LINK 要素で外部スタイルシートを使用するときのメリットで、一太郎では全く生かされていないものばかりです。

くれぐれも一太郎で HTML を作ろうなどと考えないようにしてください。いや、作ってもいいのですが、それをインターネット上で公開するのだけはやめてください。WWW の美観と発展を著しく損ねます。迷惑です

もっとも、ワープロソフトとしての一太郎9は悪くないと思います。というか、かなり良い感じになってます。ATOK12 の使い勝手も上々です。ただ、HTML 作成機能だけはカスなので、使ってはいけません。


鳩丸ご意見番

HTML鳩丸倶楽部

水無月ばけら, MINAZUKI Bakera
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