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例)渡辺美奈子「ヴィルヘルム・ミュラーの詩における天体と瞳」2008
ヴィルヘルム・ミュラーの詩における天体と瞳 訳、記述 渡辺美奈子 ページ公開 2008年7月
ヴィルヘルム・ミュラーの詩には、同様な動機やパターンが見られ、それを解読することが詩の解釈において重要な役割を果たします。そのひとつが、天体を愛する人の目に喩えること(註:
拙著「『冬の旅』の根底にあるもの――ヴィルヘルム・ミュラーのベルリン、ブリュッセル時代――」 『ゲーテ年鑑』第48巻 日本ゲーテ協会編集・発行 2006年 94頁では「少女の目を天体に喩え」と書きましたが、「天体を眼に」の方が適切です)。この頁では、恋人の眼を一語で表すために「瞳」を使いました。ミュラーの天体と瞳に関する動機は『冬の旅』の「幻日」Die Nebensonnen
を解釈する上で非常に重要です。「幻日」以前に作られた詩を読んでから「幻日」を読むとさらに理解が深まるものと思われます。詩を読む前に、まず1815年11月13日のミュラーの日記から引用しましょう。
僕は彼女のところから帰る。明るい月夜だった。僕は再び頼みたい。愛する月の光よ。…...月はまさに僕の顔を見て、合図してくれているようだった。その時僕は月を覗き込んだ。僕には、彼女の青い両目が金色の円から見ているように思えた。ルイーゼ、きみは確かにその瞬間、上を見ていた。Wilhelm
Müller
Werke in 5 Bänden Berlin (Herausgegeben
von Maria Leistner mit einer Einleitung von Bernd Leistner, Verlag Mathias Gatza)
1994, 5. Bd., S.23. (以下LMW )
ルイーゼLuise
Hensel (1798-1876) は、画家で詩人のヴィルヘルム・ヘンゼルWilhelm
Hensel (1794-1861)
の妹。ミュラーは敬虔で文才のある美しいルイーゼに熱烈に恋をし、彼女の家族とも親しく交際しました。1815-16年の日記には、ルイーゼに対する愛と苦しみがたくさん綴られています。ルイーゼの兄は有名なフェーリクス・メンデルスゾーン
Felix Mendelssohn-Bartholdy (1809-1847) の姉ファンニー Fanny Mendelssohn-Bartholdy
(1794-1847) の夫となる人。ミュラーは、1812年にベルリンでヴィルヘルム・ヘンゼルと知り合い(1815年10月26日のミュラーの日記に、3年前に会った書かれている。LMW5-23)、翌1813年解放戦争でロシア軍に入隊してコサック人のところで彼と再会し、帰国後はともに仲間と詩集を出版。その後生涯にわたって親しく友情を保ちます。
では、ミュラーがいかに天体をルイーゼの眼に喩えてきたか、味わってみましょう。
Die zwei Sterne.
ふたつの星
(1817出版)
Der Einsame. 孤独な男 (1818)
Frühling der Liebe
愛の春
(初稿1821「ウラニア 1822」後に『旅する角笛吹きの遺稿詩集 第2巻』『ボンボンのためのスローガン』(1824)
で出版)
Die Nebensonnen 幻日 (初稿「ドイツ新聞」Deutsche Blätter für Poesie, Literatur, Kunst und Theater
1823. 後に『旅する角笛吹きの遺稿詩集
第2巻』『冬の旅』(1824) で出版)