ぴよっぴのきっぽ


きっぽきっぽ



これがきっぽじゃ!
Kodak DC260


これが俺のきっぽ

Tomokoはこれを
「傷痕(きずあと)じゃない。」
と言う。
「傷痕」と言ってしまうと、
自分のものでない、何かとても生々しいものに聞こえる。

でも、これはそんな生々しいものではなくて、
俺の身体の一部になった、
ただの「きっぽ」だ。
きっぽ以外の何物でもない。


ちなみに、このきっぽ
小学生のときについた。
学校からの下校途中、鉄条網が数列に張ってあるところで、
一部、広く間の空いている部分があった。
そこを友達が飛んでくぐった。
その友達は、俺に
「恐くないから飛んでみろよ。」
と言った。
そいつが自ら飛んだ後だったから、
そいつに取って、「恐くないから...」というのは真実だったろう。

でも俺は恐かった。
飛べる訳ないと思った。
でも、そいつは悪いやつじゃないし、自分も飛んで見せているし、
ま、しょうがないか。と思って、俺も目をつぶって飛んだ。
後頭部と右手に痛みが走った。
俺は、俺が予想したとおり、鉄条網の針金に引っかかったのだ。
飛び抜けたには飛び抜けたけど、
引っかかって飛び抜けたのは、飛び抜けたうちに入らないんであって、
血を流して、泣きながら家に帰った。
家に帰って、すぐに手当てをしてもらおうと思った。

帰り道、友達は、申し分けなさそうにしていた。
でも、俺は、そいつを悪いやつだとは思わなかった。
そいつの言葉に乗せられたにせよ、
飛べる訳ないと分かっていたのに飛んだんだから、
けがをしたのは自分の責任なんだ。
俺は馬鹿だなぁと、自分で思った。
飛んだことを後悔はしなかった。
だけど、もう、飛ぶことはしないだろう。

家に帰って親に見せると、
「そんなとこ飛ぶからよ。赤チンでも塗っときなさい。」
と、全く相手にしてもらえなかった。
俺がこんなに痛い思いをして、血まで流しているというのに、
なんてひどい親だろう。手当てもしてくれない。
しかも、後頭部なんて、自分で赤チン塗れるわけないじゃろうが。
俺は、頭から血を流してるんだぞ。手の甲からも血を流してるんだぞ。
俺が出血多量で死んだらどうするんだ。
ひどい親だ。

。。。。。。。。実は、(親の言うとおり)大したけがじゃなかったらしく、
ほっといても問題なく治った。

そして、右手の甲にきっぽが残った。

傷が治ってしばらく経って、親は言った。
「成長するにつれて、皮膚が伸びる方向だから、
そのきっぽは、そのうちわからなくなるよ。よかったね。」
と。
そんなもんかなぁ。
別に、きっぽが消えなくても俺は何も問題ないような気がするんだが、
親が良かったねというのだから、消えてなくなるほうがいいんだろう。

親の言うとおり、成長するにつれて、きっぽは薄れていった。
でも、そのきっぽは、まだ俺の手の甲にある。
今となっては、薄れていくのがもったいない。
なんだか、勲章を付けてるみたいな気持ちだし、
かっこ悪いとも思わないし。
まあ、そんな(しょぼい)いきさつで出来たきっぽだから、かっこいいとも言えないが。


閑話休題、
きっぽは、傷痕なのかもしれないけれど、
傷痕と言ってしまうと、そこには、
血と直結する生々しい傷を思わせる雰囲気と、
ある種の同情を誘うニュアンスがある。
でも、俺にとっての「きっぽ」は、
もっと枯れていて、
しょぼくて、
笑い話にできる、
昔の懐かしい想い出みたいなもんだ。

じゃけえ、きっぽ は きっぽ じゃ。
きっぽは、そんな素晴らしい言葉じゃ。



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