東京マルイ


遅すぎた迷銃


 フルオートガスガンが全盛期を迎えようとしていた時代。価格でJAC、性能でアサヒが市場を形成しはじめていた。そのほかのメーカーはそれぞれ独自の設計と思想で新製品を出していた。アクションに徹した物、燃費がいい物。出始めのガスフルオートはその可能性を模索して様々な製品が市場をにぎわしていたのだ。

 東京マルイはこのとき画期的なガスガンを発表した。「ライブカートリッジ式だが発射機構は別」というフルオートガスガンである。
 このライブカートリッジフルオートガスガンはこのコーナーにも載っているマルシンのUZIがあったがそれとは全く別の思想の物であった。
 マルシンはカートリッジにはBB弾を詰め、実銃のようにボルト(カートリッジを運んで排莢させる部品)を動かし、弾を発射していた。銃のほとんどが排莢のための部品でガスのほとんどが排莢するために使用されていた。肝心なBB弾の発射性能は全くダメだった。
 しかし、マルイの物はカートリッジとBB弾は別々に駆動する方式で、どちらかというとBB弾の発射性能の方に重点をおいていた。ボルトといった大きな部品はなく、かわりにエジェクションポート内にちいさなレバーのような物がついていてこれが動くことによってカートリッジを排莢させるという機構だった。マルシンの機構と違い、排莢するための部品が小さいのでマルシンのように「銃の大部分を排莢機構にとられてしまってBB弾を発射する機構がほとんどとれない」ということがない。また、排莢機構と発射機構が分離しているということは薬莢だけ装填して排莢アクションを楽しんだりBB弾だけ詰めてサバイバルゲームで実践的につかったりできるということだ。
 この画期的だったガスガンはおもちゃショーで発表された。当時雑誌をみて我々は
「これならサバゲーにも遊びにも使える!」と喜んでいた。
 しかし、なぜかこの銃が実際に発売されたのはものすごく後で、すでにガスガン市場が成熟した後で新製品なのに手にとって「なつかしい」といわれてしまう始末だった。我々もこの銃が発売されたときにはすっかり興味を失っていて誰も購入しなかった。

 今回、ふとしたことで手に入れたこのガスガンだったが、排莢機構の方はボルトがないため反動がほとんどない。BB弾の発射の方はマルシンの物ほどひどくはないが、一般的なガスフルオートに比べるとあまりぱっとせず、きゃしゃで耐久性に不安が残る銃だった。この辺も不人気の原因だろう。
 この当時、マルイはブローバックガスガン(排莢なし)を手がけたり、固定スライドのガスガンを発売していたが、正直なところ耐久性はあまりなく、マルイのガスガンはあまり持たなかった。この銃もそんな感じの銃だった。
 1980円のという安価でありながら画期的な命中精度の高性能コッキングハンドガンを発売していたマルイであったが、このころのガスガンの技術力はそれほど高い物ではなかったのだ。
 この後、東京マルイが電動ガンを発売し、市場を一気にひっくり返してしまうのはまだまだ先のことだ。
 そして、このあと東京マルイが耐久性の高いブローバックのガスガンを発売するのはデザートイーグル以降のことなのである。