JAC


光を発射するモデルガン

 モデルガンは弾が出ない。これにあたり判定をつけてシューティングが出来るようにしたら...きっとエキサイティングな遊びが出来る。この課題に果敢にもチャレンジしたメーカーがあったそのメーカーはMGCのシューターワン(※1)とJACのスナイパーF1である。今回は幻のモデル、JACのスナイパーF1を追いかけてみよう。
 「スナイパーF1」はバトルマスターシリーズを初めとするBV式フルオートで有名なJACが1983年に開発したモデルガンシューティングシステムである(開発はアサヒファイアーアームズ)。

F1のカートリッジ断面図


 スナイパーF1はコクサイのM66、M19をベースにしたシステムで弾のかわりに写真用のフラッシュバルブを使用し、ターゲットはその光を検知する。
 大まかに説明するとモデルガンのカートリッジの末端にモデルガン用のキャップ火薬をセットし、先端には使い捨てのフラッシュバルブを分解した物をセットする。これで弾が完成する。それをスナイパーF1用に加工したモデルガンにセットして撃つ!通常通りキャップ火薬が発火し、発射音とともに大量のガスを発生させる(ガスの流れは図の黄緑の部分)。ガスはそのままメカニカル・プライマー(図の赤部)と呼ばれる物を作動させ、フラッシュバルブを発光させる。
 発光した光はバレルのインサート(モデルガンの改造防止用にバレルの中に入っている鉄板)の隙間を通り銃口から発射される。発射された光はJACの開発したターゲット(ヒット・インジケーター)に向かってすすむ。ターゲットは光を感知したら反応してブザーが鳴る...という仕組みだ。
 機構的には競技用のビームターゲットとモデルガンを合体させたすばらしいシステムで命中精度も非常にシビアなものであった...が、この銃は弾の装填は自分でカメラ用フラッシュバルブを分解してセットしなければならないという致命的な欠点があった(すっげーめんどくさい)。その上使用する銃はスナイパーF1対応に改造しなければならない。ランニングコストもフラッシュバルブ+キャップ火薬代と結構高価である。結局このシステムは若干遅れて出てきたたMGCのシューターワンにあっという間に負けてしまった...スナイパーF1はモデルガンの変革期に出てきて消えていった幻のシステムであった。
★参考文献コンバットマガジン1983年8月号他
※1)シューターワン
モデルガンの発火に反応するターゲット、MGCが開発した。使用する銃は対応した銃にシューターワン対応の火薬を使用するか、ダブルキャップなどに加工して銃口から火がでるように加工するか、専用のビームを発射するエースポイントを取り付ける。ダブルキャップなどではシューターワンが誤作動して隣のターゲットも作動する事などもあった。