このレポートは漣さんという方が当時参加されていた同人誌用の原稿で、このコンテンツを見て彼が当時の原稿を送ってくれたものだ。
 日本ではじめての実践的なガスフルオートガンをこれまははじめて見た人の貴重なレポートなのである。



バトルマスター
(の、ほんとに表面的な、試射の感想と私の愚見)

今後のサバイバルゲームは元より、MG界、
おもちゃ界に大きな波紋を与えるか?!

 それは寒風吹きすさぶ1月某日の事であった。私は戦友のケンシロウ(仮名)氏と共に(事実、彼はケンシロウに顔も雰囲気も恐ろしいほどそっくりである)「軍装品店巡回作戦(オペレーション・サープラスショップ・ラウンド)」を敢行中、カスタムで名なJA○さんに強行入店した。その時に我々は問題の「バトルマスター(以下BMと略)」を視認した。
 この時我々はさしてBMを気にもとめなかったが、やはり周りの人間が「タタタ」と試射していれば、自分も試射してみたいという欲求に駆り立てられるのが、人情である。そこでまずケンシロウ氏が試射。「なかなか反動があるね」※1と言って私に渡してくれた。それを腰の所にかまえてトリガーを引く。かなり重く※2、どこまで引けばいいのかなと考えつつ、さらにゆっくりと引いていく。と、突然の「タタタ」という音と反動にびっくりした私は思わずトリガーをはなしてしまった。もう一回試射しようと思ったが、お店の人に悪いと思ったので、BMを、その取り扱いを説明してくれた某会の会長さん(会長さん、あの時はたのしいお話をありがとうございました)に渡し、会長さんと、ケンシロウ氏と私の3人で弾を回収(ったく!自分で撃ったら自分で拾う位の甲斐性を持て!我々の前後に試射した連中よ!!)、その際、BMに関する色々なお話をしていただきました。  何でも(これは記憶で書いているので間違っている所があるかもしれません)BMの設計は1ヶ月間で完了し、完成したプロトタイプはかなり強力だったそうで、今の量産型は弾の速度を60m/sec以下の規制速度まで落とした(それでも連射だとかなり速いイメージがあった)とのこと。前出のトリガーは、それ自身をセフティとするため、必要以上に重くしてあるそうです。問題点はチューブ状マガジンの交換がスムーズに出来ない、冬場の連続使用が難しい、どうしてもコストが高くなってしまう等であるとのこと。
 このBMの出現によりSG(サバイバル・ゲーム)は今後大きな変化を示すだろうと思われる。
 つまり「火力(?)の不均衡」が問題となり、SGのルールや作戦行動が変化しなければならないだろう。 又、BMに刺激されエアソフトガンメーカーは元より、モデルガン、おもちゃ両メーカーもBMに類似した物を造ると思うのは私一人ではないはずである(もっともパテントは申請中との話)。
 とにかくこのBM、今後とも大きな話題を呼ぶことは間違いないでしょう。以上、報告終わり。

(1月12日、AM3時4分記) (昭和60年1月27日発行の某同人誌に掲載)

※1JAC&アサヒ系のガスガンはバレルが前後して弾が出るので結構気持ちいい反動が手に残る。
※2トリガーは結構ぬめっとした重さだった。

 このレポートが示すとおり、当時まだモデルガンメーカーであったMGCやWA、エアガンの老舗マルゼンなどがこのあと続々とフルオートガスガンを開発していった(MGCは結局アサヒファイアーアームズからパテントを借りることになった)。フルオートによる火力の不均衡は各社が安価なガスガンを発売することでほとんどのプレイヤーがガスガンを待ち、一部のライフルはガスガン以上の命中精度とパワーを付けることで優位を保とうとした。そして、ガスフルオートが当たり前となったとき、東京マルイが電動ガンを発売し、安定した性能とホースレスという手軽さの前にこんどはフルオートガスガンが姿を消すことになった。
 
 余談であるが、レポート中に出てくる会長は私も知っている方であった。なんだか当時のJACを思い出して笑ってしまいました。