蘭式 小銃操作方法 銃は先込め式のエンピール銃のものです。また、コレはオランダ式(蘭式)の取り回し方法です。 銃の取り回し方法は他にフランス式、イギリス式があり、国によって若干方法が異なっています。 日本では銃の取り回しを教育した国が複数あるため、幕府側はフランス式、官軍は藩によっては蘭式、英式だったりと異なっています。 こういった資料を見てみると幕末に優れていたのは銃だけではなく、軍隊としての集団運用という点もあったということや、この長い銃を集団で運用することにかなり配慮がされていたことがわかります。 ※当時の戦闘方式では密集体系から一斉射撃を行う また「銃を下に向けると弾が落ちてしまうのではないか」といった疑問も「射撃時以外は銃を上に向けて運用する」という方法をとっているので、実際はそのようなことはあまり考えられないということがわかります。近代の銃とは扱い方がかなり異なるのですね。 なお、この資料に関しては幕末官軍大好きな皆さんの協力を得て作成されています。添削された皆さん。特に秋葉原の武器屋なども運営されている「ヴァイスブラウレジデンツ」様、モデルおよびアドバイザーのイケシビリ様、ご協力感謝いたします。
蘭式 ※文章中の「銃」はすべて「つつ」と読みます ![]() 練習時は12段階に動作を分けた「十二段込め手銃」という練習方法で号令をかけながら練習を行いますが、実戦の時は装填の号令のみでこの十二段の動作を行います。 ![]() (じゅうにだんこめつつ) この号令で銃を左のつま先の前に置きます。銃の向きはトリガーが自分の方を向くように置きます。写真は銃をおろしている最中です。 ![]() (とれはやごう) 肩掛けで後ろにかけているマガジンポーチから弾薬をとります。 この頃の弾薬は「早合」と呼ばれるもので、弾、火薬を紙で包んだものをマガジンポーチに収めてあります。 ![]() (ひらけはやごう) 弾薬を包んでいる紙を切り開きます。アメリカの映画などでは口で切り開く装填を行っているシーンがよく見られますが、日本の装填方法は手で切り開くように教えられています。 ![]() (はやごうこめ) 火薬を銃口から入れ、早合を逆さにして(弾が逆向きに入っているので)弾のみを銃口から入れます。紙は銃身に入れません。 ![]() (ぬけこめや) 銃身の下にある朔杖(弾込め用の棒)を抜いて銃口にあてがいます。 ![]() (つきつけ) 朔杖で火薬と弾を突き固めます。がんがんと付き固めるのではなく、数回程度押し込む感覚です。 ![]() (おさめこめや) 朔杖をしまいます。 ![]() ![]() ![]() (あげうちかね) 『鶏頭』は撃鉄のことです。撃鉄をハーフコックにします。 まずは、銃を斜めに構え、射撃姿勢になります。 射撃姿勢は前列の兵士は足はT字型に組みます。これは足をT字に組むことで銃の反動に耐える構え方です。 後列は足を開き、隣の人のかかとに右足をおきます。 これによって後列が半分だけ横にずれるので後列の人は前列の隙間から射撃ができるようになります。 ![]() ![]() ![]() ![]() (かんつけ) 雷管ポーチから雷管を出して装填します。 ![]() ![]() (おろせうちがね) 撃鉄をゆっくりおろして射撃準備完了。 撃鉄をおろすことでセーフティと雷管の保護が行えます。 実戦時にはここまでの動作を行って次の命令を待ちます。 ここから「肩へ銃」で、装填した状態の銃をもったまま戦場を移動するしたり戦列展開をする場合もあります。 ![]() (かまえ) 射撃の場合はこの号令が出ます。 撃鉄をフルコックにして待機します。 ![]() (ねらえ) 銃を構えます。 ![]() (うて) 戦列は一斉射撃を行います。号令によっては前列のみの射撃などのいくつかの方法がありますが、基本的には一斉射撃での攻撃を行います。 この頃もっとも近代的な方法でした。 ![]() |