帝国戦争博物館
Imperial War Museum
みりさば初の海外見学コンテンツ
いってきましたロンドンの軍事博物館


 英国の博物館にはヤクトパンターがあるらしい。うーん、一度は見てみたいものだねぇ....と、ドイツ軍好きなら一度は夢見るお話である。でも、海外旅行にヨーロッパなんてぇのは夢のまた夢。渡航費用はともかくそんなに長い休みとるのも大変だよなぁ.....
 このレポートは、そんなことを考えていた私が仕事の都合でいきなりロンドンに行くことになり自由時間のほとんどを使って見てきた帝国戦争博物館の見学記です。無計画に見てしまったので資料的価値はまったくありませんが、このライブ感を楽しんでいただければ幸いです。

 2006年4月13日。いよいよ帝国戦争博物館に向かう。ちなみに場所はバッキンガム宮殿から徒歩で約30分弱。途中、チャーチル像のそばにイラク戦争に反対する展示があったのでそちらも見学。
※写真の右に半分だけうつっているのがチャーチル像。
 私はけっこう方向音痴なので見知らぬ外国で無事につけるかドキドキしましたが、なんとか戦争博物館に到着。博物館横の芝に第二次世界大戦のソビエト市民に対するメモリアルがあったので黙祷して博物館前へ。到着したのは開館の30分ほど前。ちなみに英国の博物館はほとんどが10時開場。
 で、これが博物館の正面なんですが....
 さすがイギリス!博物館が15インチ砲装備してますよ!博物館がばかっと割れて中から「宇宙戦艦Imperial War Museum」が発進しちゃうようなレイアウト。日本の陸奥の砲の展示も日本の船の科学館のあたりに装備してほしいねぇ。
 なお、この砲は第一次世界大戦時の15インチ砲とのことでした。

 開場5分ほど前になるとなんだかコスプレをした人がでてくる。英語が早すぎてよくわからないがたぶん「名物館長」みたいな人なんだろう。なにかいろいろとギャグをとばしているみたい。
 簡単な荷物チェックを受けていよいよ館内に入場だ。
 なんじゃこりゃー!
 上を見上げればフォッケウルフ、スピットファイア、ムスタング、そしてV1!ジェット戦闘機の He162まであるじゃありませんかーっ!
 そびえたつのはV2!そして視界にはヤクトパンター、M4シャーマン、T34/85、菱形戦車のマークV、M3グラント、野砲の数々・・・展示物がいっぱいありすぎて一言じゃ表現できないぞーっ!とにかく視界の中すべてにプラモデルや写真でしか見ることの出来なかった兵器がずらーっと並んでいる!
 写真をとりながら進んでいくと奥のほうにUボートの艦内を模した展示(写真右側)。進んでいくとアスディックをわかりやすく解説する展示(写真左、アスディックのメーターをひねると聴音の内容が変わる)なんかもある。
さらにドイツの小型潜水艦。すげぇっ!ものがありすぎてどうしていいかわかんねーっ!
 とにかくびっくりしたのがイギリスの博物館でありながら兵器の展示がイギリス主体ではないこと。ドイツ軍の兵器がばんばんあってこの辺イギリス人偉いぞーっ!
 戦車群のなかでも一番うれしかったのがT34/85があったこと。こいつがあるのは完全に想定外だったので喜びもひとしお。
 実物で見るT34/85は思ったより寸詰まりであたまでっかちでかわいい!
 さてさて、いよいよヤクトパンターとのご対面である。ああーっ!この両手に感じるデコボコがツィメリット コーティング!ひゃっほーっ!
 展示物には柵がないので自由に触れることが出来る。この辺はすごい。ただし、見学者のほうも展示物を必要以上にいじくり倒したりするようなことはない。博物館が多いだけあって見学者のモラルが高いということを感じた。
 なんとこいつ左側面がカットされているカッティングモデルで中が見れる。
 これはすごい!と思って逆側からみてみたらコブシ大の穴が開いている。どうやらこいつは右後方をぶちぬかれて撃破されたもの?それとも標的にでもされたのか?
 カットされたところから手を入れてデジカメでキューポラを撮影。噂どおり狭い視界。これでよく運転できるよなぁ・・・
 英国戦車もチャーチルとかあったのですが、印象に残ったのはこのマークV。
 菱形戦車と呼ばれる世界最初の戦車(世界初はこのシリーズのマークI)。こいつの形状が水槽を連想させるところからこいつの秘匿名称(当時は秘密兵器だったのでコードネームで呼ばれた)が水槽=TANKとなり、それが戦車の名前になったのは有名な話。
 第一印象は結構カッコイイ。ちょっと変な言い方だけど、世界初の戦車ながらちゃんと「戦車」ってイメージをしている。ふるい戦場写真などで見る彼女はもっとダサダサなイメージだったけど印象がかわった。
 マークTをはじめてみたドイツ軍の戦線はなんど幅約8km、深さ約2kmほど後退したらしい。でも、これがいきなり戦場に現れたらそりゃードイツ兵だって逃げるよねー。
 横に目が描いてあるのがちょっと笑える。恐怖心をあおるためとか勝手に思っていたけど幸運みたいなことを表すマークらしい……というのを最近聞いた。でも、正面には「DEVIL」とも書いてあるけどな(笑)。
 と、戦車をちょっと見ているだけでももう一日過ごせそうなこの博物館だが、恐ろしいことに私はまだこの博物館の1Fのしかもフロアを見ただけなのである。すごいぞ帝国戦争博物館!

 この辺でちょっとだけ冷静になってみると。地階に続くスロープを発見!よし!こっちも見に行ってみるか!
 そこは明るい1Fと違って薄暗い。ガラスで区切られた展示には戦争と国別に分けられたマネキンがWWTからどかーっ!と並べられている。これもすげーっ!
 順路ごとに見ていると展示コーナーの横に特別展示みたいのを発見!「THE TRENCH」おお!塹壕の展示か!
 そこは、当時の塹壕の雰囲気を出した原寸大ジオラマ。
 2Mくらいの深さの塹壕の中を歩いているイメージなんだけど室内がかなり暗いので雰囲気がかなり味わえます。

 しかも見学が外人ばっかりで見慣れてないから順路にいるのがマネキンなんだか見学客なんだか見分けがつかなくてすげーこええ!
 子供が入ったらトラウマになること間違いなしです!
 WWIのあとはWWII。モンティ(パイソンじゃなくてモンゴメリ元帥のほうね、さすがは英国!)のコーナーとかD−DAYのコーナーなんかを見て進む。
 その後には日本軍のコーナーもあり、その後に原爆によって戦争が終ったみたいなことが書いてある展示があり、熱風でへしゃげたビンと当時の英語新聞が飾ってあった。
 外人の少年とその母親がちょうどそこを見ていたのでここはイッパツいち日本人としてやらなければならないことをやってやろうと、
「ものすごく複雑そうな悲しみの顔でその展示をじっと見つめる日本人」  というプレイを実行!
 子供、かなり複雑な顔になってしまい、展示よりも私に大注目。
 よし!自分で自分にグッジョブ!

 WWIIの展示で戦争の展示は終了!そのあとまた1Fにあがって・・・と思われたかもしれないがそんなことはない!
 なんとコーナーはその後朝鮮戦争に続き、冷戦、ベトナム戦争、南アフリカなどなど各戦争に区切られた展示が続き、最後にPKOと湾岸戦争まで続いていくのである!
 こりゃ!すげぇ量だよ!
 とにかく軍服と小銃の展示が淡々と続いていく。この展示方法はなかなかすごい。
 さまざまな「負の歴史」がこれだけあると一つ一つが肩にどかーんと乗っかってくる感じ。
 くらっとしながらもこのすごさに圧倒されておもわずもう一周。ほえほえのふらふらになりながら再び1Fフロアに戻った。
 そんな私を1Fで迎えてくれたのは戦車と飛行機の数々!その展示が再び私をハイテンションにしてくれる!
 再びテンションがあがってきたところでいよいよ上のフロアに上がろうと階段を探す。
 2階到着。おおうっ!ハチハチだ!イギリス軍の戦車の装甲をぶちぬいた8.8センチ高射砲がこんなところにーっ!
 あと零戦の胴体だけとかけっこうここにも兵器がたくさんある。見上げるばかりだった飛行機もかなり間近で見れる。ステキー!

 あとは特設展示系ホロコーストに関する展示。駅から収容所までのアウシュビッツのジオラマがあったのだが、すべての模型が真っ白に塗られていたのが印象深い。残念ながら写真撮影禁止なのでここは写真無し。

 そのほか子供たちの戦争(だったかな?)というタイトルで当時の部屋が再現されていたり、ちょっとアート系の展示などもあり、戦争というテーマをいろいろな面から表現していてなかなか飽きない。
 フロアにある兵器は「ひとつの博物館に戦闘機が一機あっただけでもウハウハ」な人にとっては「寿司屋に行ったら全部のメニューがいきなり目の前にどかーん!とおかれたような」感じで、そりゃー飽きませんって!

 だが残念ながら、自由時間はそろそろ終ろうとしている。

 たぶん閉館までいても飽きないこの博物館。この自由時間じゃちょっと物足りない。

 でも、そろそろ帰らないといけません。

 最後にちょっとだけ戦車を見てそれでさようなら!

 とかなり後ろ髪を引かれつつ博物館を後にする。


 また、いつかこられたらいいなぁ・・・

○帝国戦争博物館(Imperial War Museum)
 開館時間 am10:00〜pm6:00
 バッキンガム宮殿より徒歩30分
 入場料無料
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