-船の科学館-
さよなら二式大艇
二式大艇移転の思い出話



 二式大艇が年明けには移転してしまう。そんなことをきいたのは2003年の師走のころだった。
 なんでも、ここでは今の状態を維持するのが難しく、整備が万全に出来る鹿屋航空基地に移動するらしい。
 また、船専門の船の科学館では飛行「艇」とはいえやっぱ船ではない飛行機には予算を多くかけられないという大人の事情もあったとかなかったなんて話も聞きましたが実際はどうだったのかはよくわからない。

 はっきりしているのは今まで電車で1時間足らずのところにあったこいつがいなくなっちゃうってことである。なんだか10年くらいの飲み友達が転勤で鹿児島にいっちまうって気持ちだ。
 あーあ、じゃぁ二式大艇にあえるのは今度の冬コミが最後なのか....オタクなおいらはおもわずこうおもってしまった。オタクなあなたには説明不要であるが夏と冬に行われる日本最大の同人誌即売会「コミックマーケット(通称コミケ)」はもうだいぶ前から有明で開催されている。新橋からゆりかもめを利用すれば「船の科学館駅」でこいつを必ず見ることができたのだ。まぁそれ以外にもお台場には展示会だとか結構でかけているので私の中で二式大艇は一番見ている第二次世界大戦機ってことになるな。
 そういえばこいつをはじめてみたのはいつだったかな?
 ちょっとミリタリーに興味を持ち始めたころ、こいつが船の科学館にあるときいて見に行ったのが最初だったとおもう。お台場が今みたいに有名になる前の話だ。
 それまで船の科学館なんて「宇宙博(古くてすまんね)を開催した博物館」ってくらいしか記憶になく、そんなところに日本海軍の飛行艇があるなんてとびっくりして見に行った。
 はじめてみた二式大艇はおもっていたよりもずっとスマートでかっこよかった。場所がわりあい近くだったこと、屋外で写真をとりやすかったことからカメラを買い換えたときはなんとなくこいつをとりにいっていた。
 二式はいつもじっとしてくれていたのでカメラのためし撮りにはすごく都合がよかったなぁ……なんて思い出に浸りながら年末はゆりかもめの上からこいつをみた。

 年が明けて2月のはじめ、移動のための解体作業をしているのでまだ二式大艇が有明にいることを知った。じゃぁ最後に二式を見に行こう。そう思いたってデジカメを鞄に入れて家を出た。

 船の科学館駅で降りるとそいつはいた。周りに足場をくまれてそいつはいた。もう翼なんか解体しているかとおもったけど表面的にはあまり変わらない状態だった。なんだか転勤しちゃう友人の家にいったらダンボールに荷物を詰めている友人がいたみたいな感覚。
 ぐるりと回って写真を何枚か撮った。移転を記念して開催されていた二式大艇の展示もみた。ふぅ...もうこれでこのスマートな大きい飛行艇とはお別れか。おーい!向こうに行っても元気でくらせよーッ!


 これが自分の二式大艇の思い出話です。夏になってコミケの話が出てきたときにまた思い出してこんなコンテンツにしてしまいました。


 今では船の科学館の前はレイアウトが変更され、ここに二式大艇があったということがわからなくなってしまっています。でも、その昔、ここには日本が誇る飛行艇が羽を休めていたのです。

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