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ミルウォーキー
マディソンの北西90マイルくらいのところで94号線と90号線が重複している。そして、このマディソンから、再び94号線と90号線が別れる。シカゴに行くには90号線の方が便利だろう。だが、ミルウオーキーには94号線でしか行けない。
ミルウオーキー市内に入った。コーヒーを飲みに、ファーストフードの店でなく喫茶店に入った。ツインシティでも喫茶店がないわけではない。例えば、セントポール市のワーバシャ通りの奥まったところに、少々暗いが、洒落た店がある。車を駐車場にとめて店に入った。日本の古い喫茶店みたいに、ダークウッドと白壁の店だ。コーヒーも紙コップなどでなく、ちゃんと陶器の食器で運んでくれる。久し振りに、美味しいコーヒーだ。一緒に頼んだサンドイッチも美味しい。車を置いたまま、短い時間だが、街を歩いてみた。メインストリートは遥かにミネアポリスよりも活気ある。人通りもあり賑やかである。
だが、黒人が多いのに驚いた。シカゴが近いせいだろう。当時、ツインシティーでは黒人の人口は多くなかった。セントポールでは3.5%くらい。ミルウオーキーは15%くらいあったから、驚いたのだが、逆に、セントポールが異常に少ないのだ。セントポールよりも大きな街で、黒人の比率がセントポールよりも少ないところは、全米でホノルルとかエルパソくらいしかない。ホノルルやエルパソには、黒人が少なく、東洋人やメキシコ人が多い。60年代後半は公民権運動が盛んだったこともあり、北部の州でも、デトロイトなどで46%、ワシントンDCなどは72%が黒人であった。仕事につくのに差別はない建前だったから、それが徹底していた首都ワシントンDCにどっと集まって来たのだ。ミルウオーキーの街にも様々な人種の人達が歩いている。ノッコはキュロットスカートに半袖のTシャツ姿だが、街を歩く黒人のご婦人はドレスにコート姿である。いくらお洒落をしてきちんとするにしても、これでは暑くてたまらないだろう。
4時頃になっていた。夕方が近づくと、急にミシガン湖から冷たい風が吹きだした。『ミュンヘン、サッポロ、ミルウオーキー』とビール会社の当時のコマーシャルではなけれど、下戸の私でもビールを飲まずに立ち去るのは心残りである。本当に、ミルオウーキーにはビール会社が多い。現在は、ナショナルブランドは寡占状態だが、それでも、日本に比べたらローカルのビールが無数にある。ミルウオーキーだけでも20や30のローカルブランドのビール会社があるのだ。