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ランキング

  アメリカではビジネススクール(経営学部)のランク付けが盛んである。ビジネスウィーク誌などの幾つかの機関が毎年行うのだが、年によりランクが入れ替わる。70年代の中頃には、ウィスコンシン大学のビジネススクールが全米で10位にランクされたのである。

  日本では他人がランキングをすることに馴れていない。アメリカの調査機関が日本の企業まで格付けして、日本の企業が不等な評価でハンデキャップを負わさせると、日本でも問題になったことがある。アメリカでは相当以前から格付けが行われている。アメリカの場合は評価基準がきちんとしていて、明確で、公表されている。

  フランスでもミシュラン等のタイヤ会社がレストランの格付けを行っているが、一応、審査基準があるものの、秘密裏に行われるから、判断ミスや主観で決まることが多く、星だけは勝手に決めるが、審査内容などは公表してないようだ。それでもフランスのレストランは星の数に一喜一憂する。

  更に、フランスでの格付けで有名なのが、ボルドーワインの格付けであろう。2千以上のボルドーの銘柄から、1855年にグラン・クリュに分類された銘柄が62銘柄あるが、その後一度追加修正が行われただけで現在まで変わっていない。畑が荒れようが、シャトーの醸造設備が古くなろうが、ワインの味が落ちようが、グラン・クリュは変わらない。ワインの貴族のような格付けである。他のワイナリーの人達も余り文句を言わない。こうゆう競争のない格付けには問題があろう。フランス人がやっていることで、我々には直接関係のないことだが。

  日本は資格制度がすきな国民である。役所が決める資格にはあきれてしまうものが結構ある。ところが、機関や企業などはランキングに馴れていない。自分で格付けをしてくれと頼んだ訳でもないのに、勝手に格付けをしてもらっては困るという。日本でもフランスのミシュランやビゴーの真似をしてレストランの格付けを試みた料理評論家がいたが、喧々囂々たる避難を浴びる結果に終った。

  日本では評価基準や判断基準が異なるからというのが理由らしい。格付けは誰かが勝手に決めるのに対して、資格は身づから取ろうとするものだから、もっともな理由に聞こえる。格付けはアメリカの一方的なやり口ということもあろうが、アメリカ人が投資をする場合の判断基準に、金融関係ならアメリカの会社が金の貸し借りをする場合の指標にしているのだ。国際化ということは、技術・ノウハウが優れている国のスタンダードにやられてしまうことだ。一時、工業技術、特に、製造技術では日本がリードしていた時代があった。JISなどは立派な規格だった。しかし、ヨーロッパが巻き返して来た。ISO規格だ。昔からISOはあるのだが、これを本格的に押し付けて来た。戦略である。国際規格の取り決めには相関関係が働くから、力の強い国、技術の優れた国、戦略の上手な国などが、優位に立つのだ。話しが大分逸れてしまった。


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”遠い夏に想いを”- Click here(ヴィオさんの旅行ブログ) も一読ください。
ミネソタ大学留学のあと、パリ大学の夏期講座に妻が受講するためパリへ飛び、3ヶ月滞在したときの思い出を探してのブログ手記です。