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インター・ステート94

  セントポールから東へ15キロほど走ると、セント・クロイクス川に至り、ここを渡るとウィスコンシン州のハドソンという街を通る。エンジン・ルームの方から振動が伝わってくる。アクセルを踏み込むと、細かくガタガタと振動がする。しばらく走って、ウッドヴィルという所で、ガソリンスタンドに入って、ガソリンを補給すると同時に、振動について調べてもらったが、エンジンには異常なく振動の原因は解らない。諦らめて、そのまま、だましだまし走り続けることにする。

  セントポール〜シカゴ間の大きな都市は、ウィスコンシン州の州都のマディソンとミルウオーキーしかない。ウィスコンシン州を横断するのには600キロ近くある。だっから、ひたすらウィスコンシン州を走る。ウィスコンシンは乳製品が有名なところだ。ウィスコンシン・チーズは美味いと言うけれど、当時は、市場に出回るのは殆どがプロセスチーズだから、ヨーロッパ・チーズのように美味いと言うほどではない。

  ウィスコンシンはミネソタよりも起伏があり、同じく山らしい山がなくとも、自然が変化に富んでいる。ハイウェーにもかなりのアップ・ダウンがある。緊張しているのと、車の調子が悪いので、前日の睡眠不足も余り苦にならない。助手席では、ノッコがブリムホール小学校の子供たちに色紙で折鶴を折っている。ブリムホールスクールで最後のアジア文化紹介の授業で、テスター先生から頼まれてノッコが折り紙をクラスの子供達に教えた。新聞紙で兜の作り方を教えて、子供たちが同じように作れたので、帰りのスクールバスに子供たちが全員兜をかぶって乗り込んだ。子供たちが全員で大きな紙に感謝状を書いて典子にくれたのだ。ノッコは感激して一人一人に折り鶴を折ってあげるのだという。

  朝の7時に出て、殆ど休憩なしで500キロ走ってマディソンに到着した。時間は1時半頃だった。マディソンには目的があった。ミネソタ大学に留学する時に、ウィスコンシン大学にも願書を提出していて、大学から入学許可の通知が来たのだが、学費がミネソタ大学の倍であったので諦らめた経緯がある。日本では国立大学の学費は何処でも大して変わらないが、アメリカでは州立だから、州によってみな違う。大学運営の仕方の違い、州政府の予算の配分によって異なるのだ。


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”遠い夏に想いを”- Click here(ヴィオさんの旅行ブログ) も一読ください。
ミネソタ大学留学のあと、パリ大学の夏期講座に妻が受講するためパリへ飛び、3ヶ月滞在したときの思い出を探してのブログ手記です。