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シカゴへの旅

  5月最後の月曜日はメモリアルデイで、3連休になる。メモリアルデイは国の祝日で、移動祝祭日だから日は決まっていない。アメリカの祝日は年間10日ほどあるが、日本人には意味の解らないものもある。サンクスギビングデイとベテランズデイとメモリアルデイが代表格だ。メモリアルデイは南北戦争以降の戦死者を追悼する日、即ち、戦没将兵記念日なのである。

  ミネソタに来てから、家族で州外に旅行したことがない。お金がないから、車で移動できるところがいい。一番近い大都会はシカゴである。ジュニアー・リーグで知り合いになったマクタビッシュ一家が、ミネアポリスからシカゴに引越していた。ご主人は弁護士で企業の専属顧問をしていた。奥さんは明るく軽快な人で、大型のワゴン車に乗ってあちこちと気軽に訪問したり、パーティを開いたりの社交家である。シカゴに来たら、一度、寄りなさいと手紙が来ていた。日本に帰る前に、シカゴに行くことに決めた。

  3連休の始まる土曜日の明け方、ノッコとチャオを乗せて出発した。5月の下旬にしては暖かく、空は晴れ上がり、旅立ちの日としては最高だ。しかし、前夜は全く眠れなかった。興奮しているわけでもないし、運転や車のことが心配でもないのだが、どうしてか一睡も出来なかった。10時間以上一人で運転するから、緊張していたのかもしれない。ノッコも眠れないと、さかんに寝返りをする。ダルブルベットに寝ているから、一方が眠れないと、片方も眠れない。ノッコは明け方少し眠ったようだが、私は、結局、一睡もしなかた。

  スネリング・アベニューを南に行き、インターステート94号線に入る。後は、何処までも東に進めばよい。だが、一睡していない以外は、全てが快調のように思えたが、一つ不安なことが出て来た。高速道路で60マイル(100キロ弱)を越えると、車がかすかに振動し始める。60マイルまでしか速度を上げられない。オイルショックの前だから、94号線では65マイルがスピードリミットだ。制限速度以下で走らなければならない。セントポールとシカゴ間の道程は400マイル(640キロ)ほどある。時速100キロで走ると6時間半で行く計算だが、市街地を抜けて行くので、その時間では着かない。急いでも8時間はかかる。我々の車は90キロも出せないのだから、1時間以上余計にかかる。94号線Westは休みを田舎で過ごすのか、大渋滞を起こしている。皮肉なことに、95Eastはガラガラなのに、こちらは車の調子が悪くて思い通りに先に進めない。


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”遠い夏に想いを”- Click here(ヴィオさんの旅行ブログ) も一読ください。
ミネソタ大学留学のあと、パリ大学の夏期講座に妻が受講するためパリへ飛び、3ヶ月滞在したときの思い出を探してのブログ手記です。