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家具の調達

  さて、一夜明けて引越しの日だ。引っ越す先は『Unfurnished』だから、当然ベッドもなければソファーもない。全自動洗濯機が2台設置してあって、棟内共用で使用できる。冷蔵庫も各部屋についているが、食事をするテーブルも無ければ椅子も無い。まずベッドを手に入れなければならない。リックに相談すると、『グッドウィル』へ行ってみようと言う。大学からミネアポリスの街へ行くワシントン通りの途中に『グッドウィル』はある。白い大きなフレームにガラスが入ったその店は中古の家具店だった。ベッドといてもちゃんとしたものは無理だ。ところがフレームだけが売っている。椅子もソファーもベッドも造りが日本と違う。畳の生活を何百年もしてきた日本人と、ベッドと椅子の生活を何百年もしてきた欧米人とは、こうゆう物に対する感覚が異なる。というか、洋家具に関して日本人は『こんなもので良かろう』と安易に考えてしまうが、欧米では長い生活の知恵で『よい生活をするには、基本的にこうあらねばならない』という風に考える。だから、ベッドもフレームにスプリングを入れて、その上にスプリング入りのマットを敷くという風になる。日本ではマットにクッションがあればフレームはだだのフレームでよろしい。だから、日本式に考えて、フレームにスプリングが入っていれば、それがマット代わりになるから、フレームだけでも生活して行ける。ところが、このフレームセミダブルで高さも50センチ以上あるから、普通の車で運べない。ベッドのフレーム代12ドル50セントを払って、後で取りに来ることにする。
  さて、いよいよ引越しだが、リックがUホールのレンタカーを借りて来た。ピックアップ型だが、結構、荷物も人間も乗れる。チャオを膝に乗せ、3人がけで運転席に乗り込み、例のグッドウィルに行き、フレームを後ろに乗せた。次は、チャーリーの宝物のありかに行く。そこにはチャーリーからのプレゼントがあるらしい。小さな薄暗い小屋のような建物の中には、ガラクタの家具類が乱雑に置かれている。留学生が帰国の際に、残していったもので、何代にも渡って使われてきたのだ。まさに、我々にとっては宝の山だ。この中から、チャオ用に少し小さいがベビーベッド、ロッキング・チェアー(これは日本に持って帰りたいくらい立派なものだった)、食卓用に白木のテーブル、色も形も異なるが木製の食卓椅子を3脚。これだけをトラックに積んで、コモンウエルズ・テラスに直行した。
  引っ越して間もなく、近くの廃品置き場に、折り畳み式のソファー・ベットが置いてあった。ものすごく頑丈な出来で、重くて1人で運べない代物だったが、ノッコに手伝わせて何とか運び込んだ。これはソファーにもなるし、広げればベッドにもなり、大変に助かった。
  その後も、キャシーとチャーリーの奥さんにと何かと接触があり世話になったが、チャーリーとリックには言葉で言い尽くせないほどの世話になった。翌年の夏休みに、世話になったスチューデント・ハウスを手伝おうと思ってオーク通りへ行って見たが、そこにはインターナショナル・スチューデント・ハウスはなく、一般の住宅になっていた。


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”遠い夏に想いを”- Click here(ヴィオさんの旅行ブログ) も一読ください。
ミネソタ大学留学のあと、パリ大学の夏期講座に妻が受講するためパリへ飛び、3ヶ月滞在したときの思い出を探してのブログ手記です。