赤い猫の秘密



 三毛猫スオミ・しろっぽい猫アイノ・ブラックな銀猫こゆめと、期せずしてカラフルに揃った素晴らしい森の仲間たち(?)と暮らす我々は、かつてない幸福の中にいました。

 人間関係ならぬ猫間関係もまぁまぁ円滑で、いっしょに寝たり遊んだりして適当にマイペースに暮らしている猫ズの姿は微笑ましいものでしたし、なにより部屋の中にさんびきもの猫があっちにころん、こっちにころんと転がっているさまはまさに天国でした。
 そのあまりのシアワセさに、我々は

 やっぱり猫の数は多ければ多いほど良い!

 ・・・という恐るべき勘違いに至ってしまったのです。今思えばなんと短絡的だったのでしょうか。「映像の世紀(by NHK)」を見てもわかるとおり、ニンゲンとは愚かにもアヤマチを繰り返す悲しいイキモノなのでありますね。(・・・・・)


 そもそもワタシには、ひとつの野望がありました。
 それは「赤い毛色の男の子がほしい!」というものだったのです。

 最初に「猫の赤い毛はキレイだなぁ」と思ったのは、なんとスオミのおかげでした。

 スオミは三毛猫ですから、毛並みの中に赤い部分もしっかり持っています。以前東側の部屋で寝ていたとき、明け方に甘えにやってきたスオミの毛並みを見て「おおっ」と感動(?)したのがそもそものはじまりでした。
 なんというか、朝の光に照らされた赤い毛の部分が、オレンジがかったなんともいえない明るい色にぼぉっと輝いてみえるような感じで、ものすごくきれいだったのです。一部分だけでもこんなにキレイなんだから、ぜんぶ赤だったらどんなにステキだろうか!・・・とアブナイ考えになってしまったとしても無理もないと思いませんか。え、思わない?思わないの、ホントに?・・・・しーん。気のせい気のせい。

 その後、他の猫飼いさんのホームページや写真で見るにつけても、レッド系・すなわち「茶トラ」の毛色は華やかで暖かみがあってとっても魅力的だったので、「赤はいいなぁ」としみじみ思う毎日でした。

 そんな野望を胸に秘めていたワタシに、ある日アクマが囁いたのです。
 アクマはブリーダーさんでした。

 赤くて、シマがない猫がいるんだけど。

 シマがない、というと語弊があります。ここで紹介されたのは、縞があることはあるんだけど、縞はシマでも「ティッキング」という模様の猫だったのです。ティッキング、すなわちアビシニアンとかソマリみたいなアレです。詳しく言うと、要するに毛の一本一本が濃淡で染め分けられていて、見た目にはいわゆるシマシマ模様はない。だけど毛には濃淡がついているために、動きにつれて微妙に色合いを変えるような味わいのある、とってもきれいな毛色なんですね。まぁ、アビシニアンの背中を想像していただければ早いかと。(笑)

 コレを聞いたワタシは色めきたちました。

 なにぃ!?!?!?
 赤くてシマなしだとぉ!?

 話せば長いことなので(?)原理はおいといて、普通の(ティックじゃない)猫の赤い毛の部分にはどうしてもシマシマが出ちゃうものなのです。だから、縞模様がない赤い毛色のノルウェージャンと聞いたワタシの目が瞬時にしてハート型になってしまったことはいうまでもありません。

 そんな子、ほしいに決まってるじゃん!!(←単純バカ)

 しかも、その子のお父さんはすさまじくかっこいい美猫でした。もう、これぞハンサム!ってかんじで、ワタシはひとめでトリコになってしまったのです。

 こんなステキなお父様をお持ちになられるところの王子様を我が家にお迎えできるとは、なんという光栄でありましょうか。(←敬語がヘン)
 一も二もない、とはこのことです。よっしゃあ、今すぐその赤い猫つれてこーい!(・・・・・)

 しかし王子様にはひとつだけ大きな問題がありました。
 王子様は魔女・・・じゃなくって!

 王子様はガイジンだったのです!!

       

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