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 ミクロコスモス総合版2004年9月28日「世の中の速度」
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             発行 ミクロコスモス出版

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  今日の言葉 「世の中の進む速さ」
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【インタビューのアナウンサー】
 なんだか、どんどん新しくなるばかり。いったい、世の中の進むちょうど良い速さってどの位なんだろうと思います。徳三さんは、どの位の速さで世の中が動いたら良いと思いますか ?

【徳三】  のこぎりを目立てする速さ位かな。


【解説】

 世の中の進歩の速度は、あなたにとって速すぎると思いますか、それとも遅いとおもいますか。なんだか使い切らないうちに、コンピューターやら携帯電話やらの新製品が出て、「ちょっと速すぎるんでない・・」と思う人もいるでしょう。「ちっとも世の中良くならない」とか感じる人は、なにもかも遅いと思うのかも知れません。

 人には、人にみあった速度があると言いますが、その速度は、みんな何を基準に考えるのでしょうか。目立て職人の徳三は、その速さを自分の仕事の速度で示しました。

 目立てって、のこぎりの歯のひとつひとつを、精密に研いでいく作業ですから、随分と手間のかかる、ゆっくりした作業にも見えます。しかし、やってみると、案外と速く進むのに驚かれかもしれません。ひとつひとつやっていくと、数のあるものでも、意外と速いのです。そして、目立て職人達は、そのひとつひとつに集中しますから、時間のたつのは速いものです。

 そんな時間感覚を徳三は言い表したのかも知れません。また、目立てをした鋸で、大工が木を加工して、家が出来ていく。そして、そして家の建て替えまでの年数によって、家の設計方針が決まる。それにあわせて人の生活に決まる。・・・とすれば、今の世の中の速度は、「電気丸鋸の速度」でしょう。それからすれば、目立ての測度は、少しゆつくりしたペースです。

 世の中のすべての所で、じっくり良い仕事をする速度を守ったとしたら、世の中はどの程度の速度で進む事になるのでしょう。進みは減速するでしょうか。

職人達が、手間賃の単価に合わせたやっつけ仕事は決してしないで、「じっくり」と丁寧な仕事をする事を守ったらどうでしょうか。学校の先生達が、次の授業の勉強や準備が心ゆくまで出来ない限り、授業をしないとしたら、生徒が授業を受ける機会が減ってしまうでしょうか。

庖丁人達が、じっくりと料理するのをまっていたら、みんな腹ぺこになってしまうでしょうか。 無駄がなくなり、かえって世の中の進みが、速くなる気もするんですが、どうでしょうか。

さて、このインタビューの答えはいろいろあるようです。

 お茶碗、洗う速さ位かな。
 かぼちゃが育つ速さかな。
 鉛筆もって、本を書き写す速さかな。
 
あなたは、どんな答えをしますか。ちょうど良い速さは、どの位って訊かれて。

 朝、寝たいだけ寝て、起きたらゆっくり新聞読んで、お茶のんで、お昼を食べて、三時をして、合間に少し、仕事でもする速さ・・・って、どうでしょう・・「構造改革」の対象でしょうか。

自家用高速ジェット機を乗り回して世界を駆けめぐった往年の大指揮者カラヤンの演奏は、どうも速かったですね。

古代人の使った石斧と、今の鉄の斧とで、木を切る速さをくらべたら、二倍と三倍の間位の差だったそうです。案外と、石斧は速いんですね。まあ、チェーンソーは、10倍以上は違うけど。

墨をすって、筆で恋文書いて、来月のデートの約束して・・・なんて恋の速度だと、別れるのもゆっくりかも。

  人には人にみあった速さがある。世には平安を維持する速度がある。

誰の言葉だったか、忘れました。。

【編集長の割り込み】

 編集長の好きな速度は、キオスクのおばさんが釣り銭くれる速さ、それから、駅蕎麦が出てくる速さ、それから、貝割れ大根が育つ速さ・・です。えっ、「それは、せっかちだ。」ですって、歩いて箱根の山を越える速さも好きですよ。もらった手紙に、3年してから返事をしたり、のんびりしてますよ・・。           
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      今日はここまで ではまた。
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  ミクロコスモス編集部
   編集長  森谷 昭一  

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