────────────────────────────────
  ミクロコスモス総合版2004年6月24日「6月の森の花」
───────────────────────────────
   発行 ミクロコスモス出版             
─────────────────     
  森林ガイド 森谷の森案内     
      6月の森の花   
─────────────────  

 森谷編集長のもうひとつの顔を紹介いたします。編集長はただいま森林インストラクターをめざして勉強中です。資格試験があって、なかなか面倒なのだけど、4科目中2科目しか受かっていなので、まだ森林ガイドです。
この世界では、ガイド → インストラクター → コーディネーターとだんだん経験を積む事になってます。森の案内をしたり、森の手入れのボランティア活動の手伝いをしたり、子供達にネーチャーゲームやら木のクラフトなど教えたりする仕事です。
 編集長は農学部出身のくせに、植物名が不得意で、ただいま山で勉強中です。  このシリーズは、近くの山をうろついて、みつけた森の花を順次御紹介します。
 また日本の森の現状についてもお知らせできたらと思います。


 6月の森は、緑一色です。そして、ぽつほつと白い花が目立ちます。緑を背景に白い花がさくと、良く目立ちます。花は目立たなければ、存在価値がないのです。昆虫にみつけてもらって花粉を運んでもらうためです。花粉の運び屋さんを「ポリネーター」と言います。6月の森では、白がポリネーターに目立つようです。


 まずは、これ。

   

【ヤマボウシ】です。学名 Comus kusa 山法師 総萼片を僧兵の頭巾にみたてたのが語源との説があります。ミズキ科です。箱根はヤマボウシの日本一の名所です。遠くからも目立つので、まとまった本数が咲くと見事です。白く見えるのは、花びらではなく、総萼片で、花はとても小さいものです。白い部分は波弁ではないので、なかなか丈夫で、風で飛んだりしません。9月頃に赤い実がなります。学名の kusa は、箱根では昔この木を クサ と呼んでいたので、こういう名がつけられました。  ハナミズキは同属ですが、アメリカ原産で、アメリカヤマボウシとも言います。


次は、林床の多年草です。

   

【ユキノシタ】です。少し暗い林床にきりっと花を咲かしている姿は、白い鳥が群れて飛んでいくようにも見えます。葉を天ぷらにすると美味しいです。


ヤマボウシと同じく箱根には多い木です。
   

【ニシキウツギ】  Weigela . decora  二色空木 スイカズラ科タニウツギ属です。はじめ白い花ですが、だんだんと赤に変化していきます。似た花に「ハコネウツギ」がありますが、箱根にはあまりありません。見分けは微妙ですが、花先が急に開いて無毛なのがハコネウツギ、花がやや広がりわずかに毛があるのがニシキウツギです。


さて、次のような葉が白くなっているのは何だとおもいますか。
   

【マタタビ】 です。例の猫がひっくりかえる木天蓼です。マタタビ科、マタタビ属、マタタビです。Actindia. polygama  つる性で、6月に花をつけます。開花と同時に、葉が白くなります。雌雄別株。実を塩漬けにしたり、果実酒にしたりします。つるで、かごをあんだりします。

白くなった葉の拡大です。 
    

花が小さいので、こうして葉を白くして目立って、虫を呼び寄せるのでしょうか。おかげで、人間にも容易にみつける事ができます。


さて、次の実は何の実でしょう。分かりますか。

   

【オニグルミ】 です。いわゆるクルミです。割って食べる固い実の形でなっていると思う人がいますが、あれは梅干しの種と同じで、堅果の部分です。花床が肥大して堅果をつつみます。河原に良く生育しています。オニグルミは緑の皮付きのまま落下するので、石でたたいて堅果を取り出します。多くの市販のクルミはテウチグルミです。こちらは、花床の部分がひとりでに裂果して、簡単に割る事ができます。


さて、もうひとつ実のなるやつです。
   

【ヤマグワ】 です。クワ科、クワ属。Morus bombycis です。食べられるクワには マグワ、ヤマグワ、ハチジョウグワ、ケグワ等があります。蚕のために栽培されるのはマグワですが、山に自生しているのはヤマグワです。小さな実ですが、ヤマグワの方が美味しいです。 一度に成熟しないので、採集が大変ですが、山にいくといっぱいあります。ジャムを作るほど採集するには骨が折れますが、家の近くにある人は挑戦してみてください。色素が強いのでカッパでも着て摘まないと、服が染まってしまいます。

    

ヤマグワの実です。生物学でカエルの発生とか勉強した時に、桑実胚とかいうのをならいましたね。これが桑実です。確かにカエルの発生初期とそっくりです。

     

桑の葉は変異が大きいので、有名です。切れ込みのない卵形のものから、3裂するもの5裂するものまで、色々です。材はきめ細かく加工しやすいので、家具や器具などに良く使われます。


さて本日は以上です。だんだんと山の知識を勉強しつつ、お知らせします。山歩きの好きな方、植物、動物、土、地形などの知識を増やすと、より楽しくなりますよ。

 ────────────────────────     
  今日はここまで ではまた。  
────────────────────────

【お知らせ】 今月は購読継続確認とベスト選出を月末に行いますので、よろしく。また後ほどお知らせします。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   ミクロコスモス出版   
   ミクロコスモス編集部    編集長  森谷 昭一