─────────────────────────────────
 ミクロコスモス総合版2004年5月31日「五月おしまいの御挨拶」
─────────────────────────────────
             発行 ミクロコスモス出版
          
  ──────────────
    五月おしまいの御挨拶
  ──────────────

 五月も終わります。五月の始めには、樹の若葉は小さく、柔らかく、みずみずしく、赤ちゃんの手のようでした。クヌギの若葉も銀色に光っていました。

それらも、一月のうちに成長し、みな一人前の緑になっています。一点の傷も無かった若葉も、元気に這い出した虫達の成長のための食料となって、虫食い穴のない葉を見つけるのが困難になってしまいました。

山では、樹木の花が次々と咲いては散り、実を太らせていっています。ズキが山の緑に白を主張していたのも一週間ほど、少し可憐なヤマボウシが星のように白を点在させています。

山の樹木の移り変わりを、ひとつ逃さず追いかけてみたい。そんな想いで、日々をおくろうとすると、人間はちょっと無理して、こまめに毎日動き回らなくてはなりません。

人間のライフサイクルの速度からすれば、植物達の速度はめまぐるしいものです。

五月が終わると、野山の動植物は一番の成長期に入ります。葉は、虫や風と戦いながら、最大限の光合成をして、幹をもっとも太らせます。

ある思想史の本を読んだら、こんな記述がありました。

「熱帯であるインドでは、目まぐるしく生物が死に、そして次々と生まれていく。その生命の循環の速さが人々に輪廻の思想をいだかせた。
 大地と空しかない砂漠の地の厳しさが、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教のような一神教を育てた。」

人間のライフサイクルと、取る囲む動植物のサイクルとのずれが、人に特別の観念をいだかせるのでしょうか。

季節による変化がもっとも凝縮される特殊な気候帯に日本は位置します。生死の速さと、人間の生命速度のずれが宗教的観念を生むとしたら、日本の四季の移り変わりは、どんな思想観念を生んだのでしょうか。

論じるのは難しそうですが、四季に人間の生死を配列する事が文芸の中心課題になる国は、そう多くはないのは確かです。

そして日本人の勤勉さと、共存して持ち合わせるのんびりした依存性は、どうも外来の思想の影響ではなく、四季のリズムのテンポから来ている気もします。

木の実の育つ速さに合わせれば、勤勉にならざるをえない。同時に、四季の移り変わりの速度に身をまかせてしまえば、実りが約束される。世界の中で、もっとも多様に思想の混在を許す風土なのでしょうか。

さて、風土論の考察はまた別の機会にしましょう。5月を過ぎると、生物の成長速度が格段に速くなります。生物の成長曲線の対数期に入るのです。梅雨はまだのようで、しばらくは風のさわやかな日もありそうです。

 6月は一度も祭日はなく、学校では、試験も行事もなく、ひたすら勉強でしょうか。生物界も人間界も、たゆまず成長に力を注げと言うことなのでしょうか。木々の勢いに負けないように、人の営みも成長の対数期にできればと思います。

休みの少ない時期で、風雨や病原菌も元気な季節となります。木々の生命力の速度に見習って、人も少しだけ生命の速度を上げて活動してみる事にしましょう。

【編集長より】

いつもの、月に一度の編集長による「意図不明瞭」な文章の練習です。まあ、「季節の御挨拶」ですので、読み流してください。

要するに、頑張って掃除しないと、部屋中カビだらけになつたり、食中毒になったりするって事です・・・・
 ────────────────────────
      今日はここまで ではまた。
 ────────────────────────
【お知らせ】

○ 6月の購読継続希望は本日中です。総合版読者で、まだの方はよろしくお願いします。

○ 今号は、「総合版読者」と「次回要求読者」と「時々読者」のすべてに配信しています。

○ 購読継続希望をいただいた方には、一括して確認メールと共に「ミクロコスモスのご案内」をお送りする予定です。

【編集部より】配信記録

4・5月で、総合版読者(だいたい日刊)に配信した記事のリストです。ちょっと休みが多くて、「原則日刊の名前に偽りがあるぞ。」と言われそうなのです。お許しください。なんとか頑張ります。照合して、記事が届いていないようでしたら、御連絡ください。

総合版 4月1日 今日の詩「三色の春の」
総合版 4月2日 今日の歌「花になる」
総合版 4 月3 日 思想の部品「唯」
総合版 4月4日 名句鑑賞「月下美人」
総合版 4月6日 思想の部品【言語ゲーム
総合版 4月5日 へちがら「定食 」
総合版 4月7日 へちがら「丼」
総合版 4月8日 御近所情報「夜桜」
講義録 4月10日 生物「減数分裂」
総合版 4月13日 今日の詩「大切な人は」
総合版 4月14日 今日の詩「ここに」
総合版 4月15日 エッセイ「無をためる」
総合版 4月17日 今日の一曲「フォーレ バイオリンソナタ」
総合版 4月18日「雨の日に洗濯物」
総合版 4月21日 短編「夢見人」
総合版 4月22日 短編「意味のない小説」
総合版 4月23日「都会の美学」
総合版 4月24日 短編「共同幻想」
総合版 4月26日「金子みすゞ1」


総合版 5月5日  なと氏古典「春暁」
総合版 5月7日  へちがら「明日のパン」
研究版 5月9日 「知識単位学1」
研究版 5月10日「知識単位学2」
総合版 5月11日 音楽紹介「月の光」
研究版 5月12日 「憲法学2」
総合版 5月15日 「ゴミ男」
研究版 5月16日 「知識単位学3」
総合版 5月17日 「読み手・書き手・話し手」
総合版 5月19日 詩と写真「一夜城跡」
総合版 5月21日 短編「十年蕎麦」
総合版 5月24日 一曲「茉莉花」
総合版 5月25日 「幸福とは」
総合版 5月26日 「はずしとはぶき」
研究版 5月27日 「知識単位学4回」
総合版 5月28日 文章「ひとつのこと」
総合版 5月30日 「書棚で考えた事 1」
総合版 5月31日 「五月おしまいの御挨拶」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ミクロコスモス出版  ミクロコスモス編集部
   編集長  森谷 昭一   

★ 編集部宛メール   micos@desk.email.ne.jp