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 ミクロコスモス総合版2004年4月24日短編「共同幻想」
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              発行 ミクロコスモス出版
                    
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    短編 「共同幻想」
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「みんな、いろいろ夢をみるようだが、最近、俺はあまりみないな。」

彼は、もやもやした頭で思った。彼は確かにあまり夢をみない。いや、寝ている時に何かを想う事はあった。それは、夢というより現実に近かった。寒くてふとんがはがれている夢とか、タンスが倒れてくる夢とか、猫が顔をなめている夢とか、身近な現実の夢ばかりだった

そんな夢ばかりだから、みると起きて、ふとんをかけなおしたり、猫をはらいのけたりしなくてはならなかった。夢というより、すぐ先の出来事の予知といった方が良いものばかりだ。石ころの夢の後には、かならず石につまづいた。

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「おいおい、来たぜ。あの新人類。夢人間ってやつが。やつらは、半分寝たままで生きているらしい。目は半分も開いていないで、音も聞こえてるんだかどうだか。」

「ええ、じゃあ、やつらはどうやって生きていけるんだ。感覚がなくちゃ、歩く事もできないぞ。でも、あいつらちゃんと歩いているし、買い物だってしている。」

「夢の予知能力で生きているのさ。彼らの体は、半分夢で出来ていて、もやもや広がっている。そのもやが夢の範囲って事らしい。」

確かに、夢人間をみると体がはっきりせずぼやけている。もやもやした煙みたいな中につつまれている。時々、体がうすく分身して数人にも見える時もある。

「やつらはどうやって人と話すんだ。言葉がなくちゃ買い物もできないぞ。」

「ふたりで、同じ夢をみて会話をするらしい。あの煙の中にはいると普通の人間も夢をみてしまう。すべてが夢なら、言葉はいらないって事か。ああ、気をつけろ。あれは、感染するらしいから。」

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確かに、感染は広がっていき、街にはもやもやした煙にとりまかれた人間が増えていった。

「俺は、夢人間にはならないぞ。寝る時は寝る、起きる時はきちんと起きる。これが俺のやりかただ。」

そう言いながらも、街をあるけば、夢人間の煙と「裾すれあう」事もさけられなくなってきた。ある時、何かの拍子で夢人間の煙に正面から突入したしまった。その時は、特になんともなかった。だが、不安におもってると、急に眠くなってきた。

「眠っちゃいかんぞ。夢にさらわれる。」

そう思つて眠気と戦ったが、つい、うとうとして、寝ているんだか起きているんだか分からない状態になってきた。そして、自分の手をみて驚いた。なにか少しぼやけて、薄れ始めてきたのだった。

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夢人間は、国中に感染していき、やがてすべての人の体が煙りのようにぼやけてしまった。どれが誰の体だか分からないほどだった。そして夢の煙は国中を被つて、霞雲のようにひろがっていった。

夢に巻き込まれないで済んだ学者がこの夢の雲に名前をつけた。

「共同幻想」

と言う名前だ。やがて、その言葉も薄れ、世界に広がる誰が誰とも分からない夢の煙の中で、「人々」は争いもなく幸せに生きていった。


【謝辞と言うかお詫び】

 吉本降明 先生。申し訳ありません。あなたの意図を誤解しているわけではありません
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【講評】

 ちと難解なんでない。哲学にこりすぎている。落ちの分かる人って、本読んでいる一部の人しかいないと思う。一部の内輪受けの話は、良くないと思うんだけど。

「すべては夢の中。夢の中でみな幸せに暮らしましたとさ。」

という、古典的な物語の伝統だけど。量子力学の不確定性理論あたりの浅薄な知識の利用して、・・・・もっとちやんと勉強してね。集合無意識とか言いたいんだろうけど、意図はいいけど、描写力不足。切れ味不足。場面切り替えに失敗してる。まあいいか。外れ作品なので、点数はつけない。
             編集長


【今日のBGM】

 あまり本日の作品と関係ないのですが、気分直しに読み終わった後にお聴きください。夢の中のような、不思議な曲を探してみました。

  Rense Espere Trivium (excerpt) 
     フィンランドの曲です。
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    今日はここまで ではまた。
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【お詫び】

 メールマガジンの件名の付け方が統一されてなくて、名前で並べ替えができないぞ。
との御意見をいただきました。申し訳ありません。分類がきちんと分かるように名前をつけると長くなりすぎて、これもクレームをいただきそうですし、少し工夫して統一するようにします。 

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ミクロコスモス出版  ミクロコスモス編集部
   編集長  森谷 昭一   

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