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ミクロコスモス総合版2004年4月15日エッセイ「無をためる」
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無をためる
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コレクションが盛んである。グリコのおまけから、数億円の名画まで、収集は人を熱中させ、時には狂気にいざなう。
人のコレクションの性癖は、遺伝子にでも刻まれているのだろうか。ヒトは蟻やリスのようにエサを貯蔵する本能はないはずだが。
何ものかを手に入れて、自分の住処に貯蔵する行動は、時に麻薬的な効果で、人に中毒症状を与える。百円ショップの日用品から、ぬいぐるみ、書物、ブランド品、美食経験、旅行体験、宝石、金、学歴、優勝歴、想い出・・・まで。つかまると、安寧な生活はのぞめない。
コレクション本能につからまず、安寧な生活を送るにはどうしたら良いか、私は深く考えた。なんとか、ならぬか・・本能を逆手にとる手は・・・?
ふと気が付いても私は、最近「無」のコレクションを始めた。別に「無」と書かれた禅のグッズなどを収集するわけではない。
ふと、シュークリームを買い食べたくなったとする。・・ぐっとこらえて、買わない。すると、買わなかったと言う「無」が収集される。
ふと、海外旅行のパンフに魅力を感じたとする。・・行かない。そうすると、私の「無のスクラップブック」には、行かなかった海外旅行が収集される。
ふと、素敵な人が現れ恋に落ちそうになったとする。ここでも「無のコレクション」を開始して、ぐっと抑える。そして、無のスクラップブックには、仮想のロマンスの物語を書き加えておく・・・
こうして、私の「無のスクラップブック」には、莫大な、欲望と気まぐれと夢物語のコレクションが蓄積されていく。費用はまったくかからない。
働くのも欲望のうちであるから、無のコレクションにためには、最低限しか働かない。
「それって、だだのやせ我慢でない?」「惰情っと言うんでない ?」
とか思われそうだが、違う。何もしないのではなく、しない事を積極的に収集しているので、見えない財産は増えていく。
「倹約っていうんでない ?」
とか言われるが、そうも言えなくない。考えてみれば、古の倹約家達は「無のコレクター」だったのだ。
禅僧が座禅を組んだりしてやっている事は、「無」のコレクションなのだろうか。・・・どうも壮大な誤解をしている気もするが、1%程度は当たっているだろう。
究極の無のコレクターとは、どういう人間か。何も所有せず、何もしないだけ、コレクションは完成に近づいて行く訳だから、最低限のボロをまとった路上生活者のようになるのか。それでも、無のコレクションが増大する事は、本人にとっては多分幸せな事なのだろう。
「心の貧しきものは、幸いである。」・・・
と教会の掲示板とかに書かれているが、きっとキリストも「無のコレクター」だったに違いない。・・さらに壮大な誤解の気もするが。・・・
異常な収集への情熱は、人を狂気にさそうと書いた。だから、「無のコレクション」もほどほどにする必要がある。まあ、体をこわさない程度には、最低限の仕事をして、食べて、衣服も手に入れるのも安寧な生活だろう。
この駄文を思いついた一瞬、書かずに、「無のコレクション」に投げ込もうかと思ったが、ほどほどにして、ミクロコスモスの編集長に渡す事にした。
多少でも、賛同される方は、是非この一瞬から、「無のコレクター」の一人になってもらいたい。ほどほどで良いから。
k/y
【編集長より】
ほどほど・・・? 本日の著者は編集長より、お金持ちで、家の池には5匹、鯉がいます。
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今日はここまで ではまた。
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【お知らせ】
本日はなし。
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ミクロコスモス出版 ミクロコスモス編集部
編集長 森谷 昭一
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