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ミクロコスモス総合版2003年8月10日今日の詩「尾根の山小屋にて」
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今日の詩 尾根の山小屋にて
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尾根の山小屋にて
ランプがつくる机の上の大きな世界
こんな小宇宙に今存在して
風がふと静まると、永遠の静寂
星が動いていく
確かに私は宇宙を旅していく
神がいるのも、いない事も
どちらも確かな事だと、分かる
ふと私の鼓動が伝わる
そして、ゆっくりみえてくる遠く
それは彼方でもなく、ここでもない
さとる事も、さとらぬ事もここでは遠い
暗黒であるのも、光に包まれるのも
それより遠い確かなもののひとかけら
ランプの油は、まだある
インクも紙も豊かに残されている
それを感謝しよう
S.ライヒ
訳 解説者
【解説】
ライヒは、19世紀の末に、どんな学派からも孤立して思索をめぐらした哲学 者。無神論者として、狭隘な人たちから攻撃されもしましたが、神に一番近か った無神論者とも評されています。著作は断片的で、難解で、解釈の困難な思 想家ですが、世界の宗教や思想に深い理解があった事はうかがわれます。
高山の尾根伝いにある、山小屋で質素な生活のうちに生涯を過ごしたと言いま す。単なる隠者とは違い、森林を守る仕事は、村人と共に汗を流して続けたそ うです。
夜の静寂の中で、星の動きとともに、自分が地球という球体の岩石とともに、 永遠の中を旅していく事を感じて、そして、さらに遠くにある確実なものを見 る事のできた喜びをライヒは、ランプの光に託して表現しています。
自然の中で、静けさを見つめた思索家達は、みなこのような、何か遠くにある 確実なものを、身近にしているようです。それをみれば、神学論争や、学問的 な派閥の論争、そしてあらゆる論議というものが、無用で、粗末なものに思え るようになるのでしょう。
最近、このような無名だった世紀末の思想家達の発掘が盛んになって来ていま す。対立と亀裂と分裂の混迷の時代にあって、それらを乗り越える、より高く て深いものを、人々がやっきになって求めている表れなのでしょう。
別に山小屋で星を見たからといって、誰もがライヒの見た「遠くて、近くて確 実なもの」を感じる事はできないでしょうが、一時でも、そんな環境で心を研 ぎ澄ましてみるのも良いかも知れません。
S/T
【編集長のおまけ】
う〜ん。永遠をみるなんて、僕には分からない事だけど、地球が動いている 事を実感するだけなら、僕でもできます。
光のない山のてっぺんに上って、夏の一晩、じっと夜空をみつづけてみてくだ さい。空気が澄みきっている時だど、「星の出」「星の入り」がみえます。つ まり、山の稜線とか、水平線とかから、星がちらちら、昇ってきたり、反対側 では沈んで隠れていくのがみえます。
地球を背にして・・つまり寝っころがってって事・・両方を見回していると、 案外なスピードで星が稜線の後ろに隠れていきます。そんなのをしばらくじっ と背中で感じていると、ふとした瞬間に位相反転みたいな事がおきて、地球が 動いている事が実感できます。
本当です。かなりの現実的な感覚です。ほら、星の王子様に出てくるような感 じで、案外と地球って小さいもんだと、分かります。
夏の旅行のテーマにお勧めですが、少し天体観測の経験を積んだり、虫やら、 動物やらにやられないように、しかも岩の稜線がみえる所を探さないといけな いので、なかなか難しいかもしれません。お勧めの場所もあるけど、内緒です ・・・。
あっ、でも、ランプやらスタンドの照明ひとつで、字を書いたり本を読ん だりすると雰囲気はいいけど、眼が悪くなるから、ほどほどにした方がいいで すよ。
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今日はここまで ではまた。
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【お知らせ】
ただいま使用中のシステムですが、マックのG4にOSX10.26 メーラーはユード ラの最新版です。テキストエンコーディングやら、まだ設定がいい加減なん で、各方面にご迷惑をおかけしているようです。しばらく、いじり回していま すので、安定するまでご容赦のほどを。リニューアルしたシステムのご紹介 は、後ほどゆっくりと・・・本体から、モニター、スキャナーまで、全部入れ 替え(古いの捨ててなないので追加)しました。だから、お金がなくて、どこ にもいけない・・・
【ちょっと、へちがら】
今度の台風は、なにげなく、あっけなく通り過ぎていって、あまり面白くあり ませんでした。ちょっと、雷が迫力ありましたが、もっと劇的な激しい「嵐」 って感じの台風を鑑賞してみたいですね。(天変地異の好きな編集長より)
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ミクロコスモス出版 ミクロコスモス編集部
編集長 森谷 昭一
★ 編集部宛メール micos@desk.email.ne.jp
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