──────────────────────────────
    ミクロコスモス総合版2003年4月1日4月はじめの言葉と歌
 ──────────────────────────────
 ───────────
  春には春の花が咲き 
 ───────────

とても好きな言葉があります。


  春には春の花が咲き  秋には秋の花が咲き


ふと気がつくと、この言葉を口に繰り返している時があります。

この言葉だけ取り出せば、


  白は白 黄は黄のままに 野の小菊 

     とりかえられぬ 尊さを咲く


の歌のように実存の美しさを頌える意味にもとれます。

また、禅の言葉の「日々好日」(毎日が素晴らしい日、それが苦しみの日だとしても)と、 捉える事もできます。

そんな難しい意味でもなく、

  春には春の花が咲いて、のんびりお弁当を食べ て、
    秋には秋の花が咲いて、お団子を食べて・・・

と、力を抜いて受けとめて も、素敵な言葉です。

でも、この言葉、本当はまったく違う意味なのです。もとさだまさしの「桜 散る」の一節です。一部引用させていただきます。

    
      桜散る

  言い訳はしないでいいよ わかっているから
  愛しすぎる事は多分 愛さないと同じ
  いつでも君だけを みつめて生きて来た

  春には春の 秋には秋の
  それぞれの花が咲く様に

   いつか知らず知らず 君と僕の時計
   二つの針が時をたがえて
   季節が変わる様に 恋が逝く

  【中略】著作権存続作品ですので、各自CDを買われて、
    歌詞カード等を参照してください
 

   桜散る 桜散る もう君が見えないほど

               さだ まさし

そう、恋人との春の別れの言葉なのです。

春には、春の、秋には、秋の、花のように、時を違えたふたりが、異なる季節 になっていく・・・

そう言う意味なのでしょう。言葉を解釈するというのは怖いものです。

この曲を聴くと、何か映画のシーンを割りつけたくなります。

カット1  桜並木の端で、二人が最後の言 葉を交わし、
カット2  男は立ち止まる
カット3  女性が桜吹雪の中を歩いてく、
カット4  一度だけ、振り 向いて手をふる、
カット5  そして桜の花の遠くに消えていく・・・・・
カット6  残るのは真っ 白な桜の雲のようにつづく広い風景だけ。

最後に上空方向に引いて、スパンして、エンディングタイトルが出てきます。

どうも、安物映画の作りかたですが・・・「安物ドラマ」つて、どこでも繰り返 される出来事を描きます。でも、それゆえの真実を描いているかも知れません。

こうして、別れた二人なら、きっとしっかりした、道を歩き、いつか「君が愛 した人を、僕も愛せる日」が来る」はずです。それは桜が、人の想い、人の情 念を、吸い取り浄化してくれるからかも知れません。

「桜の木の下には死体が埋まっている」と言ったのは誰でしたか。春の美 と、そこに埋められた「死と再生のフォークロア」が、人の情念を浄化して、 美しい思い出に変換させてくれるからに違いありません。

春の花の命の息吹に、ふと寂しさや、悲しみをも感じるのはそれ故でしょうか。静かに咲く夜桜は、それを強く漂わせます。

  めぐり逢う時は 花びらの中 
  ほかの誰よりも きれいだったよ
  別れいく時も 花びらの中 
  君は最后まで やさしかつた

            つゆのあとさき より
             さだ まさし

花は、人を出逢わせ、人を美しく別れされてくれます。
花は、だから美しい。そう思うと、春の花にはいつも涙がこぼれます。
花で別れた二人なら、きっと新しい世界で、新たなる出会いを繰り返して、た くましく生きていく事でしょう。

春の花の中をふたりで歩けるのは、幸せな事なんでしょうね。・・

春の花は、閉ざされた冬の心から、明るい大空へ送り出してくれるやさしい心 そのものを咲いているのです。
 ────────────────────
    今日はここまで ではまた。
 ────────────────────
【編集長より】
・・どうも昨日の記事から、歯が浮くような調子で申し訳ありませんでした。メールマガジンの方は、ちっとも新たなる出会いになりませんが、いつもどうり、だらだらと続き ます。読者のみなさんには、相変わらずよろしくお願いします。

           編集長 森谷 昭一
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ミクロコスモス出版  ミクロコスモス編集部
   編集長  森谷 昭一   

★ 編集部宛メール  公式メール 執筆者・編集部員に
           内容のみ転送の場合あり。
   micos@desk.email.ne.jp