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ミクロコスモス総合版2003年3月18日なと氏古典「禅問答3」
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              発行 ミクロコスモス編集部
                            
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  なとさん・よもぎちゃん・編集長の古典解釈講座
    禅問答3 「日々是好日」
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【なとさん】

さて前回出した宿題は、これでした。

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ある師が、弟子に言った。

  「過去の事はもう問わない。これからの15日間の日々の中で、何が一番大切 な事か。句にして持ってこい。」

 しかし、15日たっても、だれも一句も作る事ができなかった。そこで師は自 分で一句作って弟子に見せた。
  ・・・
さあて、どんな句を作ったでしょうか?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

さて、答えたけど、

  「毎日が良い日」

と言う答えが正解なんだ。原典では

  「日々是好日」

となっている。(にちにちこれこうにち) と読まれる。出典は碧厳録第六巻。
よく「名言カレンダー」なんかにして、壁にぶる下げてあるので良く見かけるだろう。


【編集長】

 どこかの予備校の標語になっている

   日々是決戦 

も、これまねしたのかな。しかし、なんか「はずし」をして、ずるいな〜。

【よもぎちゃん】

「アイスクリームと、ケーキと、プリンがあるけど、どれが良い。」の答え に、「全部欲しい」って答えるみたいで欲張りねえ。

【なとさん】

・・・ちょっと違うと思うけど、でも

   「ご馳走と胃薬とどちらが良い」

と聞かれて

  「両方」

と答えるなら、少し近いかな。良いものだけを選ぶのでなく、原因と結果の両方を包み込むものへの言及がある。こう答えれば、生きる事そのものを選び取る事になるのだ。

【編集長】

 依他起性 もののつながりを見る見方というやつかな。美味しく食べられる日 もあれば、お腹が痛い日もある。どちらも、それなりに人生だと・・・組み合 わせて、ワンセット。

【なとさん】

 それ、大間違い。・・で、なくて 円成実性。 美味しいものばかり食べる からお腹がいたくなる・・でなくて、人間が生きている事実があって、食べる 時があって、お腹が痛いときがあって、だからまた食べる事もできる。

【よもぎちゃん】

ああ、わかった。あれね。

  お花は、いつがきれいなの? 
  芽が出たとき? 葉っぱ? 
  蕾? 咲いた時? 散る時? 
  枯れる時?
  みいんなきれいなの。
  芽がでて、育って、咲いて、
  実をつけて、枯れていくから、
  きれいなの。

ってやつね。花は、花だけじゃきれいじゃないわ。地面の虫や、微生物に育て られて、嵐や炎天下を乗り切って、ふと咲いて、またち散っていくから、きれ いなんだわ。育ててると、毎日花は咲いている。

【なとさん】

さすが、土壌が専門のよもぎちゃんだね。人生をふと振り返ったりすると、 時々こんな気になる時があるだろう。

「小さい頃の思い出や、食べ物なくて困った事や、好きな人と過ごした事や、 大冒険してわくわくした事や、あらゆる楽しい事、苦しい事が、走馬燈のよう に思い出されて、「ああ、どれも、思えば良い日だった。・・・」
 
そんな、ふうに人生全体、世界全体を見渡すような事が出来れば、苦しい事と 楽しい事が一緒になった、「良い日」というものが見えてくる。 そういう事 なのだ。・・

【編集長】

はあ、さすが、歳ですね。なとさんも色々あったんだ。

【なとさん】

思えば、この歳になって、お前らみたいにな、出来の悪いやつらに、古典を解 説しているのも、めぐりあわせ。砂漠に種をまいている気がしないでもない が。

【編集長】
 
きわめて、優秀な人物に、出会えたと言う、意味ですね。・・・・


【なとさん】

  ・・・・・・・

【よもぎちゃん】

あっ、こういうのも思い出した。

  きょうはなんにち
  きょうは毎日だよ
  かわいいひと
  きょうは一生だよ
  いとしい人
  ぼくらは愛し合って生きる
  ぼくらは生きて愛し合う
  ぼくらは知らない 生きるってなんだろう
  ぼくらは知らない 日にちってなんだろう
  ぼくらは知らない 愛ってなんだろう
        
プレヴィール の作よ。
      
【編集長】

 これ、シャンソンで聴くと良いよね。今度、「今日の一曲」にしよっ。

【なとさん】

そうだね。プレヴィール がどんな考えで、こう詠んだか知らないけど、世界 全体を見ている時には、日にちに分けること、生命と死の差異、愛・・そんな 言葉はどうでも良いものに見えるのだろうね。

そう受け取ればすごい詩という事になるかな。しかし、日々是好日 は、さら に深い意味があるようにも思えるんだが。

さて次回までの宿題だ。

南泉 因趙州門 如何是道 泉伝 平常心是道 州伝 還可趣向否 泉伝 疑 向即乖 州伝 不疑 争知是道 泉伝 道不属知 不属不知 知是妄覚 不知 是無記 若真達不擬之道 猶如太虚 廊然洞豁 豈可強是非也   
州於言下頓悟

【編集長+よもぎ】

へっ。原文じゃん、・・??せめて書き下し文とか・・

【なとさん】

優秀な人物の二人なのだろう。辞書ひいて調べなさい。

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      今日はここまで ではまた。
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【お知らせ】本日なし。

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ミクロコスモス出版  ミクロコスモス編集部
   編集長  森谷 昭一   

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