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ミクロコスモス総合版2003年3月13日ふとした疑問「なぜ花は美しいか」
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                 発行 ミクロコスモス編集部

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     ふとした疑問 「なぜ花は美しいか」
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 Q「なぜ花は美しいのか?」と聞かれたらどう答えますか。

と言うことで、1月26日号で考えてくださいとお願いしました。数人の方から、作品と意見を頂きました。今回はそれを紹介しつつ、さらに「なぜ花は美しいのか」考えてみます。

最初の作品です。

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  お花はあなたの友達よ
  こえなき声をつたえます
  香りに変えて届けます

  お花はあなたの身代わりよ
  あめ風たえて踊ります
  つめたい雪には眠ります

  お花はあなたのお手本よ
  いつもけなげに仰ぎます
  天のとう様ありがとうと
  根っこのかあ様うれしそう

  そしてあなたに語るのです
  もっと笑顔でいなさいと

        作  箒木

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頂いたままの形で掲載させていただきました。切断面の響きの同人が、「ひびき」をつくってくれました。「ひびき」と言うのは、同じような意味をもった詩を、形を変えて作り合うもので、鑑賞にくわえて互いに技術を磨き合うためにおこなう、句会みたいな「詩会」と言ったものです。

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【ひびき】

  花はわが友
  その心を彼方に伝う
  香りにのせて

  花はわが身代わり
  雨、風たえて咲きほこり
  雪には眠る
 
  花はわが手本
  つねに天なる父を仰ぎ
  母なる大地に安らぐ

  そして、いつも我に告げる
  よろこびのうちに生きよと

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少し文語的な形式でずか、ほぽ似たような意味だと思います。花に「託して」生きる事をうたうと言う正統的な手法によるものです。どのような哲学的背景をもって作られたのでしょうか。
「思想」と「絵」と「音」と「生命(個別の実存・具体性)」がそろっふた詩が名作だと言われます。少し思想にかたむいて、具体的な花とみずみずしさが、現れたら説得力が増すのではないでしょうか。何が具体的な現実の花の姿が盛り込まれると、訴えに強さが出ます。

次の作品は、ちょとシニカルです。でも「ひねり」はあるけど、同様の思想かもしれません。 
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   バラ

  ぼくはバラを見ると
  きれいに折りたたみたくなる
  むぁぅん、むぁぅん〜としていて
  どんどん、花びらを落としてしまって
  なんだか、まとまらない

  ぼくは、バラに きおつけ〜 をさせて
  野菊のようにきちんとさせたい
  まあ、それは、きっと無理な事なんだろう

  バラはそんな性分なのだが
  実をつけると、とっても
  きちんと、丸く、硬くなるのは
  なんとか誉めてやりたい

        S/Y
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「むぁぅん、むぁぅん〜としていて」と言うオノマトペが、まだ様子を正確に伝えていないと思いますが、バラの花のあまり自然でない、造花的な雰囲気が出てはいます。

バラは、プードルとか、チワワとか、出目金のような高度に人工栽培された園芸品種です。それを自然と思いこんで愛でている姿への批判を、遠回しに表現されています。

でも、そんなバラでも最後にはちゃんと自然物としての実をつけて、けっして人間のために咲いているのではない事を、頌えてる気持ちが良く伝わります。

 花に自然を託す事は常套的な語り口ですが、より大きな「大自然」へ、詩人は目を開いていかなくてはならないのです。


さて、詩ではなく、短い「意見」もいただきました。
 
       
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花が美しいのではなくて、「花が咲くこと」が美しいのだと思います。芽生えの時の子葉とか、若芽なんかだつて美しいものです。

顕微鏡とかで見たら、根毛が伸びていく様子や、周囲の土の中だってなかなかのドラマがあって、決して美しくないとは言わせません。そして枯れていく事だって、萎びる花だって時には美しい。

泥の中から咲くから美しいというと、安っぽい言い方だけど、花を咲かせる宇宙全体の営みの中で、花の位置が美しいのだと思います。

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良い方向性に気づかれたと思います。仏教思想の根本課題・・「部分から全体を見るのではなく、全体から部分を見る」と言う見方の、きっかけをつかみかかっている気がします。その事を、もっと具体的な事例を引いたり、詩や、名言などの引用をされると、良い論説になるとおもいます。作品の形にされる事を期待します。

【編集部より】

ふとした疑問から始まったのですが、いろいろ意見が寄せられたので、なんとなく詩作道場、論説道場になりそうです。今後も作品が寄せられるようでしたら、○○道場みたいな形にしてみたいと考えました。どうぞ、「花の美しさ」をテーマに、なにやら詩、句、歌、エッセイ、論説などをお寄せください。


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      今日はここまで ではまた。
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【編集長のがらくた箱】

 夜中に蕎麦を茹でようとしたら、「つゆの素」がない事に気づいた。「仕方がない」ので、お湯をわかして、鰹節パックを茹で、味醂と、醤油を適当に混ぜて、「代用品」を作った。そして蕎麦を食べたら、とても美味しかった。少しして気がついた・・・・

「これって代用でなく、「正統」じゃん。・・・」

本末転倒と言う言葉が、浮かんだ。いつまでも腐らない、「つゆの素」は、きっと好ましくないに違いない。「正統」に戻ろうかと考えた。

みなさん、「そばつゆ」は、どうしています?

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ミクロコスモス出版  ミクロコスモス編集部
   編集長  森谷 昭一  

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