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ミクロコスモス総合版2004年3月1日 3月の始めの音楽
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       発行 ミクロコスモス編集部  
                            

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     3月の始めの音楽と詩
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                  編集長

「一番好きな作曲家は?」そう。訊かれたらなんと答えますか。森谷編集長は、

「一番は内緒だけど、二番目はディーリアス。」

と答えます。一番が内緒なのは、またの話にして、編集長は「ディーリアス」の音楽がとても好きです。いつもぼうっとしている編集長と気があう音楽なんです。

ディーリアスは、イギリスの近代の作曲家。知る人のみ知ると言った作曲家で、一般に良く知られる存在ではありません。でも、知名度の低い分、ディーリアスを愛する人の愛好度は高く深い・・・そのような作曲家なのです。

 略歴を紹介しましょう。1862イギリス生まれ、 1934没。 ちょうどドビッシーと同じ年の生まれです。両親はドイツ人。ディーリアス自身は22歳の時からアメリカのフロリダ、ドイツのライプツィヒ、パリなどを転々としました。

その間、黒人奴隷たちのスピリチュアル(黒人霊歌)、グリーグやムンクら北欧の芸術家たち、ミュンシャやゴージャンらといった画家、ワーグナーやドビュッシーなどの音楽・・・多用な文化範囲から、さまざまな影響を受けました。

それゆえ、特定の音楽的な系譜につながる音楽家ではなく、「高き独立峰」とでも言うべき作家です。

ディーリアスは、ベートーベンが嫌いだったと言います。その理由は、彼の曲を聴けば、すぐに分かります。全く正反対の世界なのです。

 ディーリアスの音楽は、思想や理念ではなく、自然と感覚を歌っています。晩年にはイギリスの山中に暮らし、鳥の声を採譜をしたりして、自然に暮らし、自然を歌った曲を作り続けました。

ディーリアスの音楽は、精神を集中して面と向かい合うような音楽ではありません。必死で聞き続けようしても、どこまでも続く和声の流れに埋没してしまいます。

妙なほめ方ですが、「ゆっくり眠るのに最適な音楽」とも言えるかも知れません。一つの旋律を主題として、変奏し、たくみに構成されて、頂点に登り詰めるといった古典派的な音楽ではないのです。

どうぞ、うららかな春の日に、ぼっとしながら、環境音楽として流しておいてください。曲を覚えて、森の中で思い出すのも、良い聴き方です。


 ディーリァスの音楽は自然そのものです。彼の音楽は聴くのではなく、その中に鑑賞者が溶け込んでいくような音楽です。私たちは、森や野原に海岸に分け入って、その空気の中で遊び、時々聞こえてくる鳥や、花の歌う旋律を聴きます。彼の作品は、そんな音楽なのです。

長大な音楽の多いディーリアスですが、短くて旋律がはっきりして、聞きやすいのが、今日、紹介する「春一番にカッコーの声を聞いて」です。

まさに、春一番にカッコーの声を聞いてと言う音楽です。分かりやすくて、他に何もありません。クラリネットとフルートで、ちゃんとカッコーがなきます。バイオリンのメロディーと和声は、まさに森の風と空気です。

 編集長は、春になると、無性にこの曲が聞きたくなります。そして、春の訪れをいわう気持ちになるのです。そして、春には春の風と鳥の歌にふれる事が出来れば、生きている目的が達せられたような気がするのです。


  春一番に郭公の歌を聴く

  森にみあった声でなき、響きは森を満たす

  鳥の声と森と私と、すべてがひとつになる

  風景の音楽に包まれて、人生が祝福される

  風のかなでる森の和声に

  ふと郭公が旋律を歌う

  愛すべき森のオーケストラ、世界は美しい

  このままで良い、もう何もいらない

  いま、世界は完成して、ここにある

  春、このひとときに

                 も/あ


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      今日はここまで ではまた。
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【編集長の一言】

  編集長が二番目に好きな作曲家の、一番好きな曲を、春一番に紹介します。是非何度もお聴きください。この季節でないと味わえない曲です。本当は、良い音響装置で、最高の音質でたっぷりと聞いてもらいたいのですが、とりあえず見本品という事です。ディーリアスの他の曲も、また順次ご紹介します。

 編集長の好きな作曲家は、二番目がディーリアスで、三番目が武満徹で、その次がラベルで、次がバレストリーナで、次がバルトーク、・・・てな感じで、マイナーな作家が多いのですが。そんな訳で曲集めも大変なんです。

 好きな曲を繰り返し聴くと、その心象風景が心に広がる。そして、その風景に出会える土地を探して、旅にに出る・・そんな事はありませんか。編集長は、そのような心象風景となる曲をいくつかもっています。そして、それを求めて旅にでるのですが、なかなかみつかりません。

みなさん、どんな作曲家の音楽が好きですか。よかったらご紹介ください。

 この曲も、そんな曲のひとつです。春のカッコーの森・・・イギリスにしかないような気もしますが、近くの山でもみつかりそうな気も・・・・

心の風景を探して、旅にでるのも、また楽しいものです。

  森谷


【お知らせ】

 今月は、二月に引き続き、全員の方に継続してお届けさせていただきます。停止を希望される方は編集部まで御連絡ください。

今年度は、どうも仕事が忙しくて、あまり配信回数を多く出来ませんでした。

四月から、こちらの仕事を本業にして、もっと活動したいと考えていますので、お楽しみに。

3月は、色々人生の変わり目になる事の多い季節です。みなさんも、何かそのような事がありましたら、どうぞお知らせください。
                    編集長
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ミクロコスモス出版  ミクロコスモス編集部
   編集長  森谷 昭一  

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