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ミクロコスモス総合版2003年2月4日二月の詩「おこじょのああさんより」 ─────────────────────────────────
              発行 ミクロコスモス編集部

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    二月の詩  
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   おこじょのああさんより

 【おこじょのああさん 序 】

  おこじょの冬毛は雪の白。
  しっぽのさきだけ、栗音色。
  おこじょのああさん、しっぽで分かる。
  真っ白、野原に栗音色。
  ああさん雪から、やってくる。

 【おこじょのああさん「雪の原の樹」】
 

  冬の雪晴れの夜。
  天には星しかなく、
  風のない雪野原は氷って、なめらか。

  山小屋の外で、おこじょのああさんの声がした。
  扉をあけると、ああさんは、

  「峰の野原にあの樹を見にいこう」

  そう言う意味の身振りをした。
  用意をして、僕はああさんの後をついていく。


  きびしく冷たい雪の峰を歩いていった。
  冬の星座の光だけが、ほんの少しの暖かさ。
  他には冷たさと、白いものしか、ここにはない。
 
  危ない雪の峰を歩いていく。
  おこじょのああさん、平気で先にすすんでく。
  後をついていくぼくはと言えば
  寒さのために、命が天にもっていかれそう。

  そうして、ほとんど体の感じかなくなりそうになった時
  その樹のところに、ぼくらはついた。
  樹は、かさかさ氷で結晶してる。
  その樹は、夜空にかすかに光ってた。
  まるで温度のない光が届く。


    だた、その光をみました。
    考える事はできませんでした
    なにもかも消えていきました
    たったひとつの事だけが残りました
    命とひきかえに、たったひとつも
    消してもらおうと思いました。



  その時です。
  ああさんは、きゅっきゅっと声を出して
  さあ帰ろう、今なら命はなくならない
  そういう合図をおくった。

  からだを引きずり、雪の峰を下りたんだ。
  山小屋についた時、ぼくには
  たった一つの事と、命だけが残つた。

  いつもの通り、薪がちょろちょろ燃えて
  少しずつ体があたたまる。
  たったひとつの事が、だんだん体に広がった。
  そうして、僕は物語を書き始めたんだ。


    ああさんは、もう山にかえったようです。
    きっと星の雪野原をかけまわっているでしょう。

【作者より】

 おこじょのああさんは、山の自然で繰り広げられる、「ぽく」と野生の小動物「おこじょの ああさん」の長編物語です。これは、編集長本人「しんたに あきかず」の作 品です。のろのろしていて、ちっともできません。なんとか冬のうちに、最初 だけでも発表しなければ、物語がかすれてしまいそうです。

そこで、二月の最初の号に、「露払い」のつもりで、「予告編」をお届けしま す。二月の真ん中までには、なんとか一部でも掲載したいのですが。どうして、冬のうちか? とにかく、寒くて冷たい物語なんです。

 
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 二月の曲「カイとグルダ」
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 おこじょのああさんとは無関係ですが、二月の曲を紹介します。二月にちな み、冷たい音楽をさがしました。冬の寒さには、北欧音楽が一番似合います ね。本当は北欧の音楽をたくさんご紹介したいのですが。
選んだのは、フィンランドの作曲家、Jukka Linkola の「カイとゲルダ」です。

あのアンデルセンの「雪の女王」で、変わらぬ愛ゆえに氷をとかすカイとゲル ダです。同名の映画のための映画音楽です。

 雪の女王はソビエトの名作アニメや、近年の映画など多くの形で作品化されて ますね。多分、宮崎アニメの「千と千尋の神隠し」も基底にこの物語があるん でしょうね。感動物語です。愛は温かいかもしれないけど、情景は実に冷たい 物語です。まだ、読んでない方は是非お読みください。短いです。


【おことわりとお詫び】二月いっぱい、発行がとびとびになります。

 毎日ミクロコスモスを発行すると、どうしても長編の記事や物語に手が回ら なくなります。そこで、二月は長編に精力を注ぐ事にしました。そのため、発 行がとびとびになります。二月いっぱいは、数日に一回になる事をお許しくだ さい。全体としての、掲載量は変わらないようにします。読者の皆様も、どう ぞゆっくりお読みください。

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      今日はここまで ではまた。
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【お知らせ】

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ミクロコスモス出版  ミクロコスモス編集部
   編集長  森谷 昭一