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  ミクロコスモス総合版2003年1月17日今日の語源「甚」
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        発行 ミクロコスモス編集部
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      今日の語源「甚」
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久しぶりに、語源シリーズを再開します。強は「強調」に関するものです。


【 ドコンジョウ ドマンカナ 】

 トデカイ、ドチクショウ、ドギタナイ など「ド」がつくと、強調の意味が あるらしい事は分かるが、語源は何だろう。実は漢字でこれらを書けば 甚根 性 甚真ん中 甚大きい 甚汚い と書く。

 イト (甚)が ト・ド に省略されて、「ド」が「甚だ」を表している。

甚肝 (ドギモ)  甚偉い (ドエライ) 

甚強い (ドギツイ) 甚性骨 (ドショウボネ)

など、多くの単語の接頭辞になっている。ののしる言葉に多く

 甚阿呆 ドアホ  甚喋り ドシャベリ 甚奴 ドチャッコ

 甚狸 ドタヌキ 甚厚かましい ドアツカマシイ

 甚腹黒い ドベラコイ  甚卑しい ドイヤシイ  甚猾い ドスコイ ※

など、数多くある。


【どん底】

 「ドン」も「ド」と同じく、強調の意味をもつ。

 甚も(イトモ) → トモ → ドモ → ドン

ドンゾコ (甚も底)  ドンケツ(甚も尻) ドンヅマリ(甚も詰まり)


【千早振る】

落語でも有名な「千早振る」ですが、これは

  千早振る 神代もきかず 竜田川
        からくれないに 水くくるとは

という万葉集の意味に関するもの。大家さんを困らせた「千早振る」の意味だ が、神のかかる枕詞。この語源だが、

  甚だ早し イトハヤシ → イチハヤシ(逸早し)に転音 これが 「振 る舞」うにかかり

  イチハヤブル (逸早し振る) となり、チハヤフル(千早振る)に転音した。

非常に早く行動する意味で、神にかかった。さらにもう一度、「甚」イトモ  がついて、

 イタモチハヤフル(甚も千早振る) から転音して →タマチハフ(霊幸 ふ)となった。

 たまつはふ神をもわれをば打捨ててこそ 万葉集


【出鱈目】

 鱈の目とは何の関係もない。 無責任な行動を示す意味の言葉

 甚たく濫りなるめり イタクミダリナルメリ → 縮約により タダラメ  → デタラメ

となった。


【手軽】

 「手」が付く言葉はいろいろある。

手強い、手狭、手詰まり、手懐ける、手慣れる、手緩い、手始め、手抜かり、 手酷い・・

などあるが、「手」とは関係ない。どれも強調の意味「甚だ イト」をつけて 縮約されたもの

 イト・コワイ → テゴワイ 手強い

 イト・セマイ → テゼマイ 手狭い

 イト・ツマル → テヅマル 手詰まる

 イト・懐ける → テナヅケル 手懐ける

 ・・・以下同様


どれも、大変に強い、とても狭い、とても懐ける、とても慣れる、とても緩 い、・・などの意味から生じたものと思われる。

このように強調の意味の「甚」(イト)は、数多くの派生語を生み出している ようだ。現代の「超」と考え逢わせると、「強調」する事は、新語を新概念・ 新語をうむ基盤と思えるが?


【編集長の疑問?】
 相撲の力士が「どすこ〜い、どすこ〜い。」って言ってますけど、語源はな んでしょうね?

 甚猾 (どすこい) なんでしょうか。

 つまり、相手の技に「ずる〜い。」とか言ってるのが癖になった??
 ウェブで調べた範囲では、

    ドスの聞いた声 → ドス声
とか、
   どすんと、来い。


とか、どうも怪しい説しかありませんでした。今度調べてください。
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      今日はここまで ではまた。
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【編集部より】少し間があきましたが、語源シリーズを再開します。

【御近所情報】というか【昔話】
 近くの「ビーバートザン」に行ってきました。そしたら、昔懐かしい「ダルマ ストーブ」が五万八千円で売られていました。

ほら、昔の小学校で石炭くべたやつ。値段を知らなかったけど、なんだか安い ような、高いような、しかし、まだ生産してるんですね。あれにパンをひっつ けて焼くと、模様がついて美味しいんです。あれって、色々と思い出のある品 だな〜。

 編集長は悪戯だったから、あのストーブでさんざん遊びました。良く燃えて いる、ダルマストーブに、急に大量の石炭を投げ込みます。

すると炎が消えて、白い「石炭ガス」がもくもく煙突から、さらに二階にも通 ずる「煙通し」内に充満します。頃合いをみはからって、マッチをダルマの口 に放り込むと、

 「どっかーん・・・☆★※・・」

校舎に響く大音響。 先生も、多くの生徒も、自然の事故と思い、驚いていま したが、実は・・
編集長とその仲間の計画的○○・・みんな理科系に進んだようです。

雪の山中に山小屋にこもって、ダルマストーブ炊いて、一冬過ごしたいな。・・

あっ、ダルマストーブの上に熱湯をおいておくのは極めて危険です。爆発してふきとびます。・・はい。
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ミクロコスモス出版  ミクロコスモス編集部
   編集長  森谷 昭一   
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