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ミクロコスモス総合版2003年1月5日技シリーズ「違う事を繰り返す」
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               発行 ミクロコスモス編集部

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    技シリーズ「違う事を繰り返す」
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    同じ事 を繰り返すんじゃないよ。

    違う事 を繰り返すんだ。

        
            ある フルートの先生 の言葉
   

「同じ事」なら繰り返せるけど、「違う事を繰り返す」ってどういう事だ。違 う事は繰り返せないではないか。

そう思われるでしょうが、でも確かに「違う事を 繰り返せ」と言っているのです。

これは、フルートの練習をしている弟子に音楽の先生が言った言葉です。

音楽のレッスンというと、音階練習をやたらにさせらます。色々な調のドレミ ファソラシドを何百回も繰り返します。絶大な効果はあるけど、初心者には退屈 なものです。

退屈なので、なんとなくだらだらと、音階を繰り返して練習している生徒に、 先生がかけた言葉が、この「違う事を繰り返せ」なのです。

同じ事を機械的に繰り返していても、実はちっとも能力は向上しないのです。 ゼロにいくら数字を掛けてもゼロのままですね。でも、0.000000001でも、前 と違っていれば、それは積み重ねれば、かけ算されて大きな量になっていきま す。

練習して向上するというのは、そういう事なのだと、先生は言おうとしたのでしょう。

だらだらした繰り返し練習から、ある時「違う事」を繰り返すという意味をつ かむと、練習が楽しくなります。音楽でもスポーツでも職人技でも、修練の必 要なものは、みなあてはまる真理です。

一日に4時間も5時間も練習するのに、ちっともうまくならない剣道選手がい ます。一方、一日に1時間の練習だけど、日々向上していく選手がいます。

練習の能率が違うとか、メソードが悪いとかの問題だけでなく、どうも「同じ 事を繰り返している」のと「違う事を繰り返している」違いがあるようです。

時間をかけて、ただ繰り返せば良いと思ってもだめなようです。ただの繰り返 しは、「足踏み」みたいに、ちっとも進みません。「違うことを繰り返す」と 言うのは、「方向性」をもって繰り返す事です。

なんだか、人生のいろいろな場面にも出てきそうな要領ですね。たった一回の 事を繰り返す・・

  日々違う愛で、誰かに何度も何度も恋をする・・

  毎日が、違う朝。毎回が違う出会い。・・・・

なんだか、教訓カレンダーにでもなりそうです。書いて壁にかけておいても良いでしょう。

さて、どんな宗教にも「祈り」があります。「祈る事」つまり「誓願」、「義 認」、「発願」、・・宗教によって呼び方は違いますが。そして、どこの宗教 でも同様に「それは生涯に一回で良いのか、それとも数が多い程良いのか?」 という論争があります。

答えは、「生涯に一度の祈りを繰り返す。」という「???」なものなのです が、難しい言い方してますが、要は「違う事を繰り返せ」って事のようです。

ここらから、「一即多」「多即一」やら「永遠が凝縮された縮限」やら「永遠 なる瞬間」とか、「微分・積分」、「整数論」・・なにやら難しげな理屈が、 飛びだしてくるのですが、まあ理論屋さんにまかせておきましょう。ま、我々 は現実の中でこれをつかんだ方が役にたつでしょう。

猛烈に繰り返しのある練習とか仕事とかの真っ最中に、ふと「違う事を繰り返 す」って思い出すと、きつと意味が体で理解できると思います。気が付くと、 すごく当たり前の事ですから。

  本当に、「現場」って哲学にあふれていますね。

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      今日はここまで ではまた。
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【編集長の御近所情報】

凄い風でしたね。近くの「御幸が浜」に自転車で行ったら、こがずに動きまし た。面白いので、止まって風に背を向けたら、動き始めてかなりのスピードに なりました。背中を風に押されて、「帆懸け自転車」です。ちょいと面白い遊 びです。でも「とっても、とっても、・・寒かった。」 そして、帰りが大変 でした。

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ミクロコスモス出版  ミクロコスモス編集部
   編集長  森谷 昭一   

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