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ミクロコスモス研究学園2002年12月25日考える論理「第2講」
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                発行 ミクロコスモス編集部

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  ミクロコスモス研究学園講座 教養系基礎 「考える論理」 第2講
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 考える論理の第2講です。前回は主に強制二分法を解説しましたが、より複雑 な論理パターンを学びます。今回より、演習がありますので、および添削希望者は提出してください。

さて、今回紹介する論理パターンは価値付けに関するものです。

【強制価値付け法】

 強制価値付け法は、無理やり物事に価値をつけて、順番に並べてしまう「論 理パターン」です。その順序付けは独断と偏見によります。

[定式] 何と言ってもまず、○○○ は △△△、次に続くのは ××× 、 その次は □□□
    ・・・以下同様・・・

[例文1] 何はなくとも 酒の肴は 桃屋のラッキョウ 次に続くは 桜屋の 塩辛 そのまた次が 小池屋の チーかま


[例文2]
 なんてったって 車のナンバーは 品川、次が 横浜 そのまた次が  湘南、せいぜい 川崎、位まで・・練馬なんて大根じゃない、相模なんて、 相撲と読むのよ、浦和だなんだは目が腐る。・・・(ある山手線内に住むお嬢 様の発現)

[例文3] 人間にとって一番大切な徳は、一に誠実、二が勤勉、
三が忍耐・・・

 強制価値付け法を装飾するために、階級にあてはめる例があります。日本の 「○○番付」なんてのもそうです。

[例文4] 日本の温泉番付

    東        西
 
  草津温泉  横綱  城崎温泉
  箱根温泉  大関  湯布院温泉
  白骨温泉  関脇  別府温泉
  登別温泉  小結  道後温泉
  野沢温泉  前頭  有馬温泉

             ニフティ 温泉フォーラムより
  
【二元二次かけあわせ法】(2×2マトリックス法)(二行二列法)

「二元二次かけあわせ法」は 2×2で物事を考えます。ふたつの強制二分法 をかけあわせるのです。 この講座の最初にあげた例が、「二元二次かけあわ せ法」です。

[ 図1 ]
      ┌───┬───┐      
 小さい時 │大人 │若者 │ 
 ─────┼───┼───┤
 良いやつ │ ×  │ ○ │ 
 ─────┼───┼───┤      
 悪いやつ │ ○ │ ×  │ 
 ─────┴───┴───┘ 

詳しく説明すると、このように、2行2列の表を作って考える所までが、「二 元二次かけあわせ法」です。

[例文5]

人間には大人と若者がいる。そして良いやつと悪いやつがいる。だから、人間 には良い大人と、良い若者と、悪い大人と、悪い若者を考える事ができる。
 
[ 図2 ]
      ┌───┬───┐      
      │大人 │若者 │ 
 ─────┼───┼───┤
 良いやつ │   │   │ 
 ─────┼───┼───┤      
 悪いやつ │   │   │ 
 ─────┴───┴───┘ 

ここに○とか×を入れるのは「存在スクリーニング法」が組み合わされています。


【存在スクリーニング法】

{ 定式 ]  ○○には××があるが、△△には××があるか。

[例文6] 人間が風邪ひくなら、ミミズも風邪ひくのかしら?

[ 図3 ]  
      ┌──────┬──────┐      
   │人間      │ ミミズ   │ 
 ─────┼──────┼──────┤
風邪    │ ○      │ ?   │ 
 ─────┴──────┴──────┘      

[例文7]無理だ。ワニの腕立て。

[ 図4 ]  
      ┌──────┬──────┐      
    │人間     │ ワニ    │ 
 ─────┼──────┼──────┤
腕立て   │ ○     │ ×  │ 
 ─────┴──────┴──────┘      

【組み合わせ項捜索法】

   ○○の××を△△と言い、□□の××を※※と言う。

存在スクリーニング法は、存在の有無を考えるだけでしたか、「組み合わせ項 捜索法」は、組み合わせ思考の結果にあてはまるものを捜索して対応させま す。捜索してもない場合には、新たに命名します。

[例文8] 日本語には敬語があるが、英語で敬語にあたるものは婉曲表現だろう。

[ 図5 ]
      ┌──────┬──────┐      
    │日本語   │ 英語   │ 
 ─────┼──────┼──────┤
※    │ 敬語   │ 婉曲表現 │ 
 ─────┴──────┴──────┘      
※にあたる上位概念はないようです。


[例文9] 人の心を歌と呼び、天の心を悟りと呼ぶ 

 [ 図6 ]
      ┌──────┬──────┐      
   │ 人    │ 天    │ 
 ─────┼──────┼──────┤
心    │ 歌     │ 悟り   │ 
 ─────┴──────┴──────┘      

【二元二次法に存在スクリーニングを組み合わせる】

二元二次法に存在スクリーニングを組み合わせたのが、最初にとりあげた思考 パターンです。

             → 考え直し→
      ┌───┬───┐      ┌───┬───┐
 小さい時 │大人 │若者 │ 今度で  │ 大人│若者 │
 ─────┼───┼───┤ ─────┼───┼───┤
 良いやつ │ × │ ○ │ 良いやつ │ ○ │ ○ │
 ─────┼───┼───┤ ─────┼───┼───┤
 悪いやつ │ ○ │ ×  │ 悪いやつ │ ○ │ ○ │
 ─────┴───┴───┘ ─────┴───┴───┘

[例文10]  天は必然で動くが、地上は偶然で動く。

 [ 図7 ]

      ┌───┬───┐      
      │必然 │偶然 │ 
 ─────┼───┼───┤
 天国   │ ○ │ ×  │ 
 ─────┼───┼───┤      
 地上   │  × │ ○ │ 
 ─────┴───┴───┘ 



【二元二次法に組み合わせ項捜索法を組み合わせる】

[例文11]
 
太陽は自然の光だ。人工の光は・・電灯だ。光と言えば、闇だな。自然の闇な ら・・洞窟だ。人工の闇ったら・・ああ、暗室だ。

[ 図8 ]
      ┌───┬───┐      
      │光  │闇  │ 
 ─────┼───┼───┤
 自然   │太陽 │洞窟 │ 
 ─────┼───┼───┤      
 人工   │電灯 │暗室 │ 
 ─────┴───┴───┘
 
[例文12]

未来を確定する事を詐欺と言い、未来を不確定のままにするのを希望と言う。 過去が確定されれば苦しみとなり、過去を不確定にしておくのを思い出と言 う。

[ 図9 ]
      ┌─────┬─────┐      
      │確定   │不確定  │ 
 ─────┼─────┼─────┤
 未来   │詐欺   │希望   │ 
 ─────┼─────┼─────┤      
 過去   │苦しみ  │思い出   │ 
 ─────┴─────┴─────┘ 


【二元二乗法】

二元二次法で同じ対立項どうしを組み合わせると「二乗法」になります。主に 自然科学で用いられます。

[ 図10 ]
         ┌──────────┬──────────┐      
         │優性遺伝子 A   │劣性遺伝子 a   │ 
 ────────┼──────────┼──────────┤
 優性遺伝子 A │AA 優性ホモ個体 │ Aa ヘテロ個体 │ 
 ────────┼──────────┼──────────┤
 劣性遺伝子 a │Aa  ヘテロ個体 │ aa 劣性ホモ個体│ 
 ────────┴──────────┴──────────┘ 

[例文13]

 政治に対する反応として四つの類型的なタイプの人間が考えられる。政治に対 する知識の有無と、社会に対する感情的な動機から考える。社会に対する温か い愛情や改革へ動機があり、そして実際の知識もあるのが理想的な政治家であ り、動機があっても知識能力がなければ、義憤型として改革は叫ぶが、何もで きないタイプとなる。知識能力だけで、動機がなければ、情報屋タイプとして 学者や新聞屋のようなタイプとなる。どちらもないものをアノミックと言い、無為な生活をしたりしている。


[ 図11 ]   
    
         ┌──────────┬────────┐
         │知識能力有り    │知識能力無し  │ 
 ────────┼──────────┼────────┤
 感情的な動機あり│理想の政治家    │ 義憤型    │ 
 ────────┼──────────┼────────┤
 感情的な動機なし│情報屋タイプ    │ アノミック  │ 
 ────────┴──────────┴────────┘ 

上の表を次のように書き替える事もできます。この場合【2項存在有無スクリ ーニング法】となります。

[ 図12 ]   
         ┌────┬───┐      
         │知識  │動機 │ 
 ────────┼────┼───┤
 理想の政治家  │ ○  │○  │ 
 ────────┼────┼───┤      
 情報屋タイプ  │ ○  │ ×  │ 
 ────────┴────┴───┘ 
 義憤型     │ ×   │○  │ 
 ────────┼────┼───┤      
 アノミック   │ ×   │ ×  │ 
 ────────┴────┴───┘ 

この方法を応用すると、新概念を容易に生み出す事ができます。

[ 図13 ]
         ┌────┬───┐      
         │ 金  │ひま │ 
 ────────┼────┼───┤
 悠々自適状態  │ ○  │○  │ 
 ────────┼────┼───┤      
 働き蜂タイプ  │ ○  │ ×  │ 
 ────────┴────┴───┘ 
 貧乏暇なし   │ ×   │○  │ 
 ────────┼────┼───┤      
 奴隷的状態   │ ×   │ ×  │ 
 ────────┴────┴───┘
 
─────────────演習────────────────

第2講から演習があります。単位修得を希望する人は、演習を提出してくださ い。下の演習をコピーして、追加記入の上、編集部を通じて提出してくださ い。添削指導します。

演習1 【強制価値付け法】で何か作ってください。

 何はなくても、(     )は(    )次に(    )

演習2 なんでも良いので、下の表に書き込み、○○番付を作ってください。

    東        西
 
        横綱  
        大関  
        関脇  
        小結  
        前頭  

演習3 【存在スクリーニング法】による表です。空欄を考えて埋めてください。

      ┌──────┬──────┐      
     │ 人    │ 神    │ 
 ─────┼──────┼──────┤
音     │      │       │ 
 ─────┴──────┴──────┘      

 
      ┌──────┬──────┐      
   │ 永遠   │ 瞬間   │ 
 ─────┼──────┼──────┤
美    │       │       │ 
 ─────┴──────┴──────┘      

演習4 【2項存在有無スクリーニング法】を適応した次の表の空欄を埋めて ください。

         ┌────┬───┐      
         │ 夢  │能力 │ 
 ────────┼────┼───┤
         │ ○  │○  │ 
 ────────┼────┼───┤      
         │ ○  │×  │ 
 ────────┴────┴───┘ 
         │ ×  │○  │ 
 ────────┼────┼───┤      
         │ ×   │×  │ 
 ────────┴────┴───┘ 

演習5 【2項存在有無スクリーニング法】で何か考えてください。作文もする事。

         ┌────┬───┐      
         │    │   │ 
 ────────┼────┼───┤
         │ ○  │○  │ 
 ────────┼────┼───┤      
         │ ○  │×  │ 
 ────────┴────┴───┘
│ ×  │ ○ │ 
 ────────┼────┼───┤      
         │ ×  │×  │ 
 ────────┴────┴───┘ 
   作文



演習6 二元二次法に組み合わせ項捜索法を組み合わせた表です。空欄を埋め てください。

         ┌──────────┬──────────┐
        │創造        │破壊        │ 
 ────────┼──────────┼──────────┤
 狂気      │          │          │ 
 ────────┼──────────┼──────────┤
       │  正常      │           │           ────────┴──────────┴──────────┘ 

演習7 二元二次法に組み合わせ項捜索法を組み合わせて、何か考えてくださ い。表の下に作文をする事。

         ┌──────────┬──────────┐      
         │          │          │ 
 ────────┼──────────┼──────────┤
         │          │          │ 
 ────────┼──────────┼──────────┤      
         │          │          │ 
 ────────┴──────────┴──────────┘ 

作文






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      今日はここまで   良く復習してください。 
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【編集長の小失敗】

このところ、ただひたすら読書と原稿書きなので、世間の事が分からなくなっ ている。月曜日に、銀行にいったら閉まってていた。「天皇誕生日」なんても のだとは知らなかった。なんだか、町の様子がどことなく違っていたのは、そ のせいか? 

そう言えば、海で暮らす自衛隊の艦船では、週に一度カレーライスの日がある んだそうだ。そうしないと曜日を忘れてしまうそうだ。

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ミクロコスモス出版  ミクロコスモス編集部
   編集長  森谷 昭一   

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