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 ミクロコスモス放送局2002年12月2日ジムノペティ「樹の光」
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                発行 ミクロコスモス編集部

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      ジムノペテイにのせて 雪野原の樹の光
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☆ ミクロコスモス放送局のDJ番組「ミクロコスモス」の「ジムノペテイにのせて」というコーナーがあります。サティの曲をバックに短いお話や詩を読みます。 テーマは「心を越えて」

 本日は原稿をお届けしますから、曲とともに自ら朗読してみてください。

 (はイントロの曲がフェードアウトしていきます。)

12月は寒いですね。日が短かく北の国では長い夜が続きます。さて、この季節クリスマスツリーにロウソクを点したり、街路樹に電球をつけて、はしゃいでいますが、起源を知っていますか。今日はクリスマスツリーの由来をお教えしましよう。それは、こんな言い伝えがあるからです。

 ( ここからジムノペティ一番が始まります。朗読が終わるまで繰り返してください。)

 山上はすっかり雪がつもり木々は、氷に包まれます。毎日毎晩白い吹雪と風はやみません。でも、時々奇跡のように、真夜中に空が晴れわたり、星が姿をみせます。深く深く真黒の空に凍てつく星が輝き、光は雪に届きそうです。風もおさまり、ただ一時の静寂の世界。

山頂近くに樹々の途絶えた雪野原があります。その真ん中に、細い枝だけの高い木がたっています。凍りついて結晶のようになっています。そんな、星の雪野原の深い夜、その枝に灯りが点るのです。一冬に数回あるかないかです。光の数はそれほど多くはありません。

金星を氷の先に点したようだとも言い、またシリウスを何倍も明るくしたようにまぶしい光だとも言います。不思議な事に冬毛の小さな小動物達が、樹の回りに集まって光を見ているそうです。

決まった場所の特定の木ではありません。吹雪にとざされ、あまりに冷たく、どんな人間も近づけない所です。でも、この光を見た人間が数人だけいるそうです。こんな言い伝えがあります。

どこまでも澄んだ心、汚れない魂をもった若者がいました。愛する人が死の病となり、薬を取りに、死を覚悟して吹雪きの山を越えようとしました。山頂近くで吹雪に見舞われ、雪穴で夜を迎えましたが、冷たさは増すばかりです。

死を覚悟した瞬間、愛する人の事を祈ると、急に吹雪がやみ、星空が広がりました。そして樹に高貴な光が点るのを見たのだそうです。小さな動物達が集まってきました。

そして、彼は一匹の小さな動物に案内されて、山を無事に越える事ができたのだそうです。他の動物達は、山頂の方に登って行ったそうです。それは、伝説となり、汚れない魂の持ち主だけの見る事のできる雪の原の樹の光として伝えられました。それが、クリスマスツリーの由来なんだそうです。

 こんな言い伝えです。この光は罪をもった人間には見る事が出来ないそうです。ただ罪ある人でも、どうしても見たかったら、一度だけチャンスがあるそうです。それは、死後一度だけ、神様に訊かれるのだそうです。

「あの雪野原の樹の光を見たいか。」

と、まだ行方の決まらぬ魂に訊ねるのです。

「はい」

と答えると、冬まで待たされ、他の死者達と共に冷たい雪の道をたどり、雪野原の樹の側に連れて行かれます。そして、樹の側で神様が

「罪よ清められよ」

と言うと、罪は光となって樹に灯るそうです。こうして、小さな動物達に連れられて、罪の清められた魂は天国にいくんだそうです。

「いいえ」

と答えた人は、きっと地獄にでもいくんでしょうか。言い伝えはありません。

そう、雪野原の樹の光は死んだ者の罪を焼き尽くす光なんです。その光の数は罪ある死者の数と同じです。そして、雪山の小動物達は神様のお使いなんだそうです。

(ここで、ジムノペティはお終い。)

みなさん、雪野原の樹の光を見たいと思いますか。・・・・

・・・・冷たい冬の物語です。樹に電線巻き付けてる、あの罪深い町のイルミネーションみかけたら、この話しを思い出してください。

(この後、明るい曲になって次のコーナーです。)

              スクリプト  杉木 かずお 
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   今日はここまで ではまた。
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【編集長より】本当はDJ番組なんで、朗読するんですが、そのうち作成します。このシリーズは色々続きます。夜静かに、ゆっくり曲を聴きながら、自分で読んでください。
☆ 曲を添付しました。何度も使いますのでとって置いてください。

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ミクロコスモス出版  ミクロコスモス編集部
   編集長  森谷 昭一  

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