─────────────────────────────────
ミクロコスモス総合版2002年10月16日今日の曲「クライスラー」
─────────────────────────────────
発行 ミクロコスモス編集部
──────────────────────────
今日の一曲 ロンドンデリーエアー
──────────────────────────
ちょっぴり寒くなりましたね。部屋で過ごすのが楽しい季節です。夕べの部屋で、紅茶でも飲みながら聴いて欲しい一曲をお届けします。
ロンドンデリーエアー クライスラー 編曲・演奏
「世界で一番美しいメロディーは?」ときかれて、この曲を答える人が多いそうです。そう答える人は、きっと家族や、近しいひとへの愛に生きる人かもしれません。そう、やさしさと郷愁をたたえた名旋律中の名旋律です。
今日は歌でなく、演奏でお届けします。クライスラーの演奏です。編曲もクライスラー自身です。古今東西、これほどやさしい音のバイオリンがあったでしょうか。
LPレコードの針を通して聞こえてくるのは、「ふくよか」、「気品」、「ぬくもり」、「高貴な人間性」・・そんな言葉がぴったりの音楽です。
何よりもクライスラーの音楽には、ウィーンの古き良き響きが香ります。1882年ウィーンに生まれ、ウィーン音楽院で学び、12歳でパリ音楽院へ、15歳までに神童として音楽技術の基礎は確立していました。
その後、音楽ではなく医学を学び、幅広い教養を身につけた事が、彼の音楽の幅広い人間味を育てたのでしょう。世界中が彼の舞台でした。1962年ニューヨークで没。
クライスラーは作曲家として、美しい小品を数多く残しています。ウィーン奇想曲、愛の喜び、愛の悲しみ、美しきロスマリン・・・どれをとっても、心あたたまる名曲です。
こんな逸話が残っています。自作の曲の他にも、大作曲家からの編曲も多いクライスラー。自作の曲を、過去の作曲家の作品の編曲であるとして発表、誰にも疑われないままずっと演奏しつづけていたそうです。
民謡の器楽への編曲の多くは、メロディーの後に様々なきらびやかな変奏がつくのが常ですが、クライスラーは、単純にメロディーだけをバイオリンに歌わせます。二番の繰り返しでは、単純にオクターブ上で旋律を繰り返すだけです。それが名旋律への礼儀・・尊敬なのだと、クライスラーは知っていたのでしょうか。
「器楽は、人間の声を目指して音楽性が刻まれていき、声楽は楽器を目標にして技巧を磨いていく。」と言われます。楽器で「歌うこと」は、器楽演奏家達の永遠の目標なのです。
その目標に一番近くまで到達したのがクライスラーでしょう。クライスラーの「ロンディーノ」「ユーモレスク」などを聴いてみてください。どんな歌手の歌より「歌」を感じ取る事ができます。まだ、彼の「歌うこと」を越えられた器楽演奏家は、まだいないと私は思っています。
クライスラーの名曲・名演奏は数限りなく、レコード丸ごとご紹介したいのですが、是非
「一家に一枚 クライスラー」
を備えられて、夕べの一時、家族で耳を傾けてください。
CDM7647012 KrieislerOriginalcompostions&Arangements
TOCE+8827クライスラー ロンドンデリーの歌 ヴァイオリン小品集(第2集)
歌詞についても、ご紹介したいのですが、歌とともにに別の機会に譲ります。
【編集長の割り込み】
編集長も、クライスラーのレコードとCDをもっています。レコードは「ドーナツ盤」と呼ばれるもので、大切な宝物みたいな扱いです。秋の夕べ、皮装の古い本に囲まれ、紅茶を飲んでいられたら最高に幸せです。LPでかけた、クライスラーを聴きながら。う〜ん。最高なのですが・・・。
─────────────────────────
今日はここまで ではまた。
─────────────────────────
【お詫び+編集長の一言】
すいません。また一日お休みしてしまいました。原因はテレビです。編集長の所は、昔から基本的にテレビはつけたりしないのですが、コンピューターの画面で、見ようと思えばみられます。
昨日は、めったに見ないテレビを見てしまいました。そしたら、もうお終いです。テレビをみたら、文章というものは書けません。文章を生み出すリズムが破壊され、思考が分断され、一行も書くことが出来なくなります。創作にとって、テレビと新聞は敵です。「頭がとけちゃう」・・・です。昨日は編集長の担当だったのです。
図書館や古書店の奥で、古ぼけた古典や、古レコードに囲まれて、そこから持ち帰った資料やノートとともに、静かに夜を過ごさない限り、文章というものは書けないものです。・・人は知りません。とにかく小生はそうなんです。これからも、少しでも良い記事をめざして、テレビと新聞と駄本を遠ざけるように努力いたまします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ミクロコスモス出版 ミクロコスモス編集部
編集長 森谷 昭一
|