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 ミクロコスモス総合版2002年10月4日講座メールと個人情報
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               発行 ミクロコスモス編集部

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    コンピューター講座 メール初心者のために
       ついでに人間関係論など
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 大部分の読者は良くお分かりの事なので、前半は読みとばしてください。最近、ネット社会に参入した初心者のためのメール利用の初歩知識です。後半に個人情報の扱いについて社会倫理学してます。

【電子メール入門】

 「メールと手紙はどう違うか。」
 「英語か日本語かの違いだけでしょ。」

いやいや、「ごはん」と「ライス」程度の違いはあるのです。

 基本的にメールは手紙の「もどき」なので、メールボックス、署名・・郵便に関係ある用語が使われます。ただ、電子メールにしかない機能や、あるいは名前が同じでも郵便の類推からは誤解してまう機能もあるのです。代表は To Cc Bcc ・・初心者には不明のこの用語、人間関係を破壊しなねない、危険物なのです。まず、TO これは簡単に言えば「宛先」なんですが、手紙の宛名とはちょいと違います。ここら辺を、今日は解説します。

 郵便には封筒と中の本文を書かれた便箋があります。封筒にあたるのが、パケット化と呼ばれる処理です。封筒には宛名と、送り手の住所氏名が書かれるますが、これが「インターネットヘッダー」と呼ばれるものです。普通には「インターネットヘッダー」は目にする事はないのですが、ちょつと操作するだけで見る事ができます。こんなのが、頭についているのです。

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(Received:byj.asahi-net.or.j0203:53:12+0900
(Received:bypolaris(awsmtp);2Oct200203:53:12+0900
(Return-Path:<mico(s@desk(.email.ne.jp>
(Received:from-net.or.jp(mx3.(asahi-ne(t.or.jp[202.2166])bychandl.ar.asah(8.11.6/3.7W)(withESMTfor<VJ6S-M,RY@.asahi-net.or.jp>;Wed,2Oct12+0900((JST)
(eceived:from[192.168.0.6](i21425(3.ppp.asahi-net.or.jp[61.125(.214.253])bymail.(asahi.-net.or..jp(Postfi(x)wit.hESMTPidC66B;t200203:53:10+0900
(Mime-Version:1.0
(X-Mailer:Eudora5.1.1-JForMacOS8.1-9.x
(Message-Id:<p05110.6]>
(Date:Wed,2Oct200203:54:10+0900
(To:ミクロコスモスデスク<mico(s@desk.email.ne.jp>
(From:編集部<mico.s,@d,esk.ema.il.ne.jp>
(Subject:ミクロコスモス総合版02年10月2日へちがら「スライス
(Content-Type:text/plain;ch(arset="iso-2022-jp";format="flowed"
(Content-Transfer-Enc(oding:7bit
(Deli.very-Agent:@(#)$I
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 問題がおきないようにカットして、変形してあります。本当はもっと長いものです。ここに送り手、受け手、発信、着信時間、題名、使用ソフト等の情報があります。郵便には「消印」が押されて、郵便局名、受付時間などが分かりますが、同じです。

 さらにメールでは途中通過した郵便局にあたる、プロバイダー名、受け取り私書箱にあたる「POPサーバー」の名前や通過時間なども記録されていきます。さらに、仕事先の会社のマシンを使ったり、転送したりする度に通過点で封筒に「はんこ」が押されて、ヘッダーが追加されていきます。

 ここら辺を知らないで、誰かの所に『お泊まり・・』とかして、そこのコンピューターをちょいと借りて友達にメールしたりして・・後で・色々ばれたりして悲喜劇がおきたりします。初心者はご注意のほど。まあ、ヘッダーをいつも監視している人は少ないでしょうけど。メールを送れば、相手が保存している限り、この記録は残ります。

 このヘッダーに書かれるのが、宛名が To です。Eアドレスと送信者がメールソフトに設定した「名前」の両方記載されます。宛名だから、自分の所に来たら、かならず To の後は自分のアドレスだと思うと違う場合があります。ミクロコスモスよりのこのメールは To が編集部 とかになってませんか。ちょいと仕組みがあるのです。


【 To Cc Bcc 】

 初心者に分かりにくいのが Cc と Bcc です。こいつが、いろいろ悲喜劇のもとです。メールの新規作成をすると、To 宛先 の下に Cc と Bcc とかあって何だとおもっている人もいるでしょう。これは、同じ 内容の 手紙を 同時に 複数の人に出すことの出来る機能です。

 Cc は carboncopy の略です。最近あまり使われませんが、カーボン紙というのがありますね。便箋の下にはさんで、強く字を書くと、下の紙に写るというやつです。これで何枚も同じ手紙が作れますが、力を入れるので、手が腫れ上がるというやつです。これと同じ機能をメールにそなえたものです。数人で、旅行の打ち合わせをして、集合場所などを全員に知らせたい時など、まったく同じものが送れるので便利です。

 では、Bcc はと言うと、BlancCarbonCopy の略ですが、見えないカーボン複写 といった訳になるのでしょうか。これも同じく、同内容の本文を複数の人に送る場合に用います。ただ、Cc と違う点は 送信先に同時に送った他の送信相手の名前が表示されないという事です。表示されないだけでなく、相手に送られるヘッダーにも書き込まれません。

 ここまで、聞いて初めて、「えっ Cc って送った相手の名前がでるの?・・」とか言う人がいますが、名前は頭にずらっと並びます。

 昔、この事を知らないひとりの女性社員が、退職の挨拶を Ccで、他の社員に送りました。そこには、ずらっと数十人の名前が頭に並んでいました。そして良くみると社員全員ではなく、数人の社員が抜けています。彼女は、いじめの輩には挨拶を送信しなかったのです。

 もらった人達は「おお、あいつらだな、彼女をいじめてたのは・・」とか話が広がりました。後で、その女性に「仕返しして、出ていったの?」とか訊いたら、「ええっ・・・Cc って、名前がでちゃうの〜・・知らなかった〜」でした。知らないというのは怖いです。

 もともと Cc は、職場のプロジェクトチームのような仲間が、頻繁に仕事の打ち合わせをする場合等に使うものです。「鉄骨の構造設計終了しました・・」みたいな内容を、関係者に的確に伝える、その時に誰にその事を連絡済みかが、大切な情報になる場面があるからです。

 しかし、これは使い方を間違えると、人間関係を壊します。Aさん主宰の、旅行親睦会みたいな仲間があったとします。 Bさん、Cさん、D、E、F、G と何人かの会員がいます。みんなが仲がいいかと言うと、主宰の Aさんの事は、みんなが信頼していますが、Dさん、Eさん、Fさんはお互いに、旅行の会の時以外の私的なつき合いはしたくないし、メールアドレスも知られたくないと思っています。

 こんな時に、Aさんが Cc を使ってしまったら、全員のアドレスが公開されてしまう事になります。数人のお仲間旅行団には Cc は便利ですが、ちょっと複雑な ソシオグラム(人間関係図) をもつ集団では、微妙な問題を引き起こします。

 携帯使いの若者達の間では、ここら辺はある種のゲームとなっています。「○○先輩のアドレス教えてくれたら、お昼おごる〜」とか時にアドレスが、取引商品になったりします。人間関係は、複雑な三角関係、四角関係、n角関係の複合体です。

個人情報をめぐり、色々な犯罪事件が続出する時代です。相手の個人情報・・住所、生年月日、アドレス、電話番号 などの秘密を保持する事に関しては、極めて慎重な態度が必要です。

 さて、一人の人が多数の人に一斉に、同報メールを受信者間で互いにアドレスが知られないように、送るにはどうしたら良いでしょうか。それには、 To に自分を指定して、その他の受信者を Bcc として送信すれば良いのです。そうすると、受信者は To の所と 発信者を示す from のアドレスが同じであるメールを受ける事になります。

 このような事を、もっと大量に一斉に行うには、ML メーリングリスト と呼ばれる プロバイダーを利用するシステムがあります。

 さて、メールにはこの他「転送」「返信」「回送」「再送信」などの機能があります。受け取った、メールを、別の封筒にいれて、そのまま郵送するみたいな事ですが、違いが分かりますか。また、「Cc で来た、メールに 返信すると誰にメールがいくの?」「Cc 転送するとどうなるの?」「返信を転送するとどうなる?」・・・様々な場合が生じます。

 これらの中には、統一されているものもあるし、メーラー(Outlookとかメールを扱うソフトです)の設定で変わるものもあります。そして、その設定が、小さなチェツクボタン一つで変わるので、間違えれば大変です。

 さらに、メーラーによっては、アドレス帳にグループを作り、グループ全員への送信も簡単に出来るものもあります。このような仕組みで、ボタンひとつ、ちょっと間違えると大量の個人情報流出事件がおきたりするのです。会社でメールを使ったり、各種団体でボランティアしてるなんて人、大事件をおこさないように、良く勉強しておきましょう。・・・


【秘密保持と個人情報】

 しかし、個人の秘密を守ることは、新しいようで古くからの大問題です。教会の神父さんが信者の告白の秘密を守るとか、医師、法律家、教師等の専門職に秘密保持義務があるとか、私信の秘密とか、個人の秘密が守られるように社会は制度を積み上げてきたのです。

 ふたりの知り合いがいる時、その間の秘密の取り扱いをどうするかは、高度な心理問題を解いていく必要があることが多いのです。親子と面接する教師とかカウンセラーは、両者からの情報を、どう開示するかしないか、極めて微妙な立場となることがあります。断絶のある所に、適切な情報提供の橋渡しをする事により関係が修復される時もありますし、反対に破壊してしまう事もあります。三者の距離より、さまざまな要因を考慮できる能力がないと、大失敗をする事があるのです。

さらに夫婦や家族の問題に対応するカウンセラーや、法律関係、行政関係、宗教関係者など、きわめて高度な判断をする場面が出できます。微妙な人間関係の機知や心理的力学を把握しないといけないのです。

 電話番号やメールアドレスなどの個人情報の提供は、基本的に本人の許可を得るのが基本原理です。私 がいて、今は互いに連絡のつかない 太郎さん と 花子さんがいて、太郎 さんが 花子 さんのアドレスを知りたがっています。その場合、私 はどんな行動をしたら良いでしょうか。

 すぐに太郎さんに私から教えてしまうのは論外として、 花子さんに、太郎さんのアドレスを教えて連絡をとるようにする方法をとる事があります。この場合は太郎さんの個人情報をもったまま、花子さんの選択を待つ事になります。また、花子さんに太郎さんに花子さんのアドレスを教えてよいか訊ねてから、太郎から連絡をとってもらう事もできます。

 また、両者にグループの中で、アドレス公開をして良いか了承をとって、後は各成員の自由な交流にまかせるという方法もあります。どれでも最終的に同じじゃないかと思う人は、人間関係を取り扱う資格はありません。「微妙な違い」などではなく、「決定的な違い」です。

 つまりだれが、相手の情報を持ち、その後の選択決定権が誰にあるかの状態が決定的に違っています。友人関係でも難しい問題でしょうし、これが臓器移植の提供者と受託者とコーディネーターの関係とか、離婚夫婦と子供と法律家とかだったら、決定的な違いとなる事は理解できるでしょう。

 企業の経営者とか、ボランティア団体の指導者とか、宗教団体の指導者とか、行政担当者とか、ここら辺の秘密保持の論理を正しく運用しないと、意図せずに個人の権利を破壊してしまう事があるのです。日常では、ここら辺の機知を心得ている人でも、メールとかインターネットの世界では、仕組みを知らずに訳の分からない事をしてしまう場合があるようです。

 個人の秘密というのは、なぜそれほど留意しなければならないのでしょうか。それは、まずは、犯罪や心の機敏を知らない人から個人の領域を守るためです。そして、秘密というのは、個人を「育てる」ものなのです。いじめや「引きこもり」や「登校拒否」の子供の秘密領域を守る事は、心を育てるために必須です。

 しかし、個人において秘密は守られるべきものですが、組織や社会においての秘密は、腐敗と犯罪の温床となります。秘密の領域は、難しい社会の問題です。コンピューター講座が、社会倫理学講座になってしまいましたが、科学の技術的な知識と、倫理問題は常に直結しているのです。良く理解して、メールを使いこなしてください。

                 森谷 昭一

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   今日はここまで   ではまた。
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【編集長より】

 実はミクロコスモスは自己宛BCCの方法で、今の所配信してます。ただ、いくつかのグループに分けたり、いろいろ複雑なのですが。メーリングリストで配信しても良いのですが、ミクロコスモスは、いくつか版があったり、メールの形式やら、添付をするしないとか、読者により異なり、一斉にできないので、今の所こんな原始的な方法をとってます。

 大量の個人情報が集まる処理作業は、指さし呼称でもして確認していかないと、本当に危現場なのです。

 ミクロコスモスは基本的に読者の個人情報は、今は編集長のみが扱っています。とにかく誰がミクロコスモスを読んでいるかは編集長以外に分からないようになってます。

「ミクロコスモスなんて読んでるの・・・少し変じゃないの〜」とか不当な取り扱いを受けないようにするためです・(なんて事はないと思いますが)
図書館員が、利用者の誰がどんな本を読んだか、絶対に秘密を守るのと同じです。

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ミクロコスモス出版  ミクロコスモス編集部
   編集長  森谷 昭一  

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