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  ミクロコスモス総合版2002年9月30日季節の挨拶「境界線」
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           発行 ミクロコスモス編集部
  
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    9月のお終いの季節の挨拶
        境界線の美しさ      編集長
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 9月もおしまいです。日本では春と夏はゆっくりとやって来ますが、秋と冬は突然やってきます。

  ある朝、体の冷たさに目覚めると秋の空だった。
  私も色々と用意しなければと思った。

という短詩がありますが、そんな9月の一日もありました。9月は、暑さ、寒さ、雨と乾きが目まぐるしく変わり、体がついていけなかった人も多い事とおもいます。9月は暑さと冷たさの境界線の往復でした。

 ブロッコリーやほうれん草などを茹でる時に、料理初心者は、水のうちから野菜をいれて、汚い色にしてしまいます。熱湯に放り込めば美味しい色に仕上がります。

 色素が変色する温度と、細胞が凝固する温度の差分によるのでしょうか。植物の色は、急な温度変化で鮮やかな色を示します。野菜を茹でるのとは原理が違うでしょうが、紅葉も温度差が大きいほど、鮮やかな色を示します。夏が厳しく暑く、寒さが急激にやってくる年は、見事な紅葉がみられます。今年はどうでしょうか。

 今頃、東北の高山を紅葉前線が進んでいるはずです。紅葉前線は、暑さ寒さの境界線にそって進みます。東北の高山の紅葉は「え、これがこの世なの・・」と息が止まるほどの美しさです。

 美しさは、大きなものが切り替わる時にみせる一瞬の出来事です。夕焼けは昼と夜の境界です。海と陸の境界である海岸線は生き物があふれる美しい地帯です。地球全体からみれば、海岸線も「夕焼け地帯」も、狭い幅のリボンのようにみえます。紅葉前線も、ベルトのように北から南へ進んでいきます。

 大きなものがぶつかり合う境界線は、同時に激しい変化と多様性をみせる帯でもあります。「寒冷前線」「温暖前線」は暖かな空気と冷たい空気のぶつかる境界線です。そこに雨が降り、激しい気象現象がおこります。大きな物のぶつかる境界線は、激動と混乱の地帯ですが、同時に美の帯でもあるのです。


 どうも、人間は変化は苦手なようです。きりっと朝起きられれば、次の仕事に頭を切り換えられぱ、すぐに眠れたら、けじめがつれられれば、と思いつつ「ぬるま湯」に風邪をひくまでつかるのが人間のようです。本当は大きなものがぶつかり、切り替わる時代なのかも知れませんが、ぬるま湯につかって眠りこけている私達かも知れません。


 秋雨前線が過ぎると、もうすく安定した秋晴れの青空がやってきます。そして、次の紅葉前線という境界線がやってくるまでの少しの間、冷たさの訪れに身を引き締めた植物達は命の引継を用意するために、実をつけ、人間に美味を提供してくれます。境界線の美しさを味わいつつ、私達も「用意」をしたいものです。
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    今日はここまで   ではまた。
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【編集長より】
月に一度の編集長の「文章の練習」です。ちっともうまくならないな〜 
めざせ「天声人語」・・ 来月もよろしく。
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   編集長  森谷 昭一   

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