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ミクロコスモス総合版2002年9月21日ふとした思い「比熱」
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発行 ミクロコスモス編集部
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ふとした思い 比熱
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9月、秋の冷たさは突然やって来ます。先日、真鶴の手前の海に素もぐりに行って来ました。空気は冷たくなりましたが、海の中は夏のままです。海は心地よく温かく、体が冷える事はありません。魚もにぎやかに泳いでいました。
空気に比べて、水の温度変化はゆっくりです。水は、熱を貯え、ゆっくり放出します。この程度を比熱と言いますが、空気は4.2J/g・K、空気は1.0J/g・K、熱い内に打てと言われる鉄は0.43J/g・Kです。比熱は水が最大なのです。 水は熱しにくく、冷えにくいのです。水というのんびり屋のおかげで、気まぐれな大気の温度変化がやわらげられます。砂漠では一日に40度以上の温度差を繰り返します。しかし、海の近くの土地が暮らしやすいのは、海水が熱を貯えてくれるからです。
やがて、ゆっくりですが、海も冷えていきます。空では風が温度を運ぶように、海にも大小の海流があり、秋へと風景を変えていきます。水が透き通る11月頃、海の中は一番美しい世界となります。
創造的な人間は、時に熱しやすく、そしてさめやすいものです。夢に輝く瞳が一夜にして、暗黒の淵に沈みこむ心は、気まぐれな空のようです。日常を大切にする種類の人間は新奇なものに熱せられるには時間がかかりますが、変えてはならないものを海のように温めている存在です。海と空はお互いの温度を渡し合いながら、美しい季節を醸し出していきます。時に温めて、時に冷やして。
大気が行き交い、海流が廻る対流圏の外に、高層大気や深海の広大な世界が広がります。そこは、変わらざる世界です。深層海流は表層海流を導き、表層海流もやがて深層海流へと繋がる。変わりやすいものと、変わらないものの深遠な交流により、世界はより豊かになっていきます。
温冷交錯する日々に、ゆつくり近づく大きな変化を感じとる暮らしをしたいものです。秋は、心の情熱を変わらないものにあずけ、そして受け取るにも最適な日々です。
もりたに あきかず
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今日はここまで ではまた。
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【 編集長より】「編集長のふとした思い」原稿用紙2枚、800字のエッセイなんだか、作文なんだか。嘘八百ではありませんので、お読みください。
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ミクロコスモス出版 ミクロコスモス編集部
編集長 森谷 昭一
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