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     メイルマガジン 「ミクロコスモス」  総合版
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                 2002/8/23     
                  ミクロコスモス編集部                              
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     今月の名曲    新日本紀行
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  夏の終にふさわしい、なんとも日本的な音楽をご紹介します。昭和57年まで、NHに「新日本紀行」という番組がありました。地方の人々の暮らしぶりを紹介した、実にNHKらしい番組でした。

私はなんといっても、この主題歌が好きです。少し有名すぎて、戯画化されがちな程です。各地の人の生き様を紹介して、引きの風景描写とともに、最後にこの音楽が流れてきます。いつも決まり切った終わり方なのですが、これが実に良かったのです。どんな人生も、日本の大地と風と光の中に包まれている・・・というような事を語り口です。

 富田勲は シンセサイザーで有名ですが、放送関係の名曲を大量生産している作曲家でもあります。ジャングル大帝、リボンの騎士などのアニメ主題歌、徳川家康・新平家物語・勝海舟などの大河ドラマの主題歌、青い地球は誰のもの・国境のない伝記・蒼き狼の伝説などのドキュメンタリーの音楽、みな富田勲の作曲です。日本人の大部分の人は、富田勲の曲を知らないうちに耳にしているのではないでしょうか。

 彼の編曲の特徴は、分厚いストリングスの響きです。そして旋律は、実に日本的なものです。歴史の流れや、豊かな大地の営み・・そういうもの描き出しながら、バックに流れる音楽としては最高の響きです。

 「NHK風」という番組の作り方があります。好まない人もいますが、NHKスペシャルの科学番組やドキュメンタリーのタッチは、NHK独特のものです。テーマを定めて、いくつかの細部を描写して、最後にひとつにうたいあげていくといった大時代的な正統派構成です。こんな日本のオーソドックスを支え、歌い上げているのが富田勲なの音楽です。

 アルバム「富田勲の音楽」を聞くと、これも富田勲か、これも富田勲かと驚かされるはずです。NHKと育って来た世代には懐かしさの宝庫、若い世代には不思議世界が詰め込まれた、お勧めの一枚です。

 なかでも一番この「新日本紀行」が、田園を歌い上げています。私はローカル線にのって、車窓から地方の風景をみていると、この音楽がうかんでくるのです。白の入道雲と青い空と緑の水田の映像と共に。

 夏の終わりに旅をすると、どこまでも続く水田と緑の山々が広がります。多くは碁盤目の座標のような区切りではなく、城の石垣のような形の区切りに樹木で囲まれた家が散在します。美しい日本の風景です。

 これを日本の自然と勘違いする人がいますが、高度な技に支えられた人工風景です。この風景のために、数知れない人々が生涯を捧げて来ました。また今も努力を続けている庭園のような美なのです。

 夏の終わりにこの風景に接すると、今年も食べ物に困る事はないのだと、ほっとした気持ちになります。遠景の森林も大部分が植林と、不断の手入れが続けられた姿なのです。人間の技術というものも、年月を重ねて自然と区別がつかなくなる時、やっと完成するものなのです。

 夏の終わりに、どこまでも広がる田園風景を想いながら、この曲を聞いてください。

新日本紀行 富田勲の音楽より RCA BVCF−1525
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  きょうは、ここまで。ではまた。
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【お詫び】 急に東京、夜の探検をしてしまいましたので、二回ばかり通告なしに休ませて頂きました。申し訳ありません。
 品川天王洲からウォーターフロントから、最後は永田町あたりで夜が明けました。

 それから、また神保町の資料探しでしたが、どういうわけか中国の「笛子」(竹の笛なのですが、竹の皮を貼って共鳴させます)を購入してしまいました。そして、中国語で教則本を内山書店で買ってきたもので、中国語の読めない編集長は、漢字だけを拾って解読作業にあたっています。皮の貼り方が難しいのです。 編集長
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         ミクロコスモスロス出版局 
           メイルマガジン編集部
             編集長  森谷 昭一 
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