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   メイルマガジン 「ミクロコスモス」  総合版
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                     2002/7/31
                   ミクロコスモス編集部
                                                    
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      7月お終いの御挨拶    編集長
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 編集部が小田原本町に越してきて三ヶ月たちました。住んでみて、ここは由緒ある場所だと分かりました。北原白秋が小田原での最初の数ヶ月を過ごした「養生館」の跡地が今の「本町四丁目九番地三号」ですが、編集部は四丁目九番地十号です。今は、湘南バイパスに分断され、荒れてしまっていますが昔は美しい砂浜があり、養生としての海水浴が行われていたのでしょう。

また扉をあけた目の前の道が、旧東海道との事です。古地図を確かめてはいないのですが。立派な松の木は残ってはいます。ここを少し進むと、じきに箱根への登り口になったのでしょう。この道を参勤交代の列が通ったのでしょうか。

横浜港の運河近辺で育ち、田圃の中とか、新造成地のような場所に住んで、身近に歴史の片鱗もなかった所に育った身にとって、今の土地は格段に由緒ある土地です。教科書に載っているような人物達の暮らした土地を自転車で走り回る日々です。

小田原の町も、他の多くの町と同じように、歴史的な建造物そのものが多く残されている訳ではありません。後になって、役所や関係者が、記念碑をたてたり、看板をつくったりしたものばかりです。でも土地の精霊でもいるのでしょうか。その場に立てば、やはり、他とは違う、特別な場所だと感じます。

 ここに来て、ゆっくり勉強し、文章を書くことが出来るようになりました。狭い所ですし、のどかなばかりではないのですが、やはり何か違います。

 人に物事を考えさせる土地、人を詩人にさせる土地、人を歌わせる土地、そういう土地がある事は確かです。そこに暮らして、土地の水や食物を体にし、毎日の風に吹かれて、何かが体にしみ込むと、何かが変わります。

御幸が浜は昔とは変わってしまったようですが、相模湾の波の様子は、大きく変わってはいないでしょう。今でも、日没に赤く染まった空が海と一体化した光と風に包み込まれる 風景は美しいものです。

土地に染みついているのは、人が生きた歴史、人生の息づかいの残余でしょう。そんなものは、放射線検知器に計測されるようなものではありません。でも人間は死んでも、その土地に何かを残していく。強く生きた人間ほど確かにそこに何かを残していく。そんな事を感じます。

 小田原城の山の下に古ぼけた市の図書館があります。動物園の象の檻の山の下なので、動物のにおいに包まれた図書館です。その図書館の一室でおこなわれた、小田原ゆかりの詩人達を顕彰する詩人達の集まりを聴講しました。

 井上靖のお嬢さんや本でしか出会えない詩人や研究者の風貌をうかがう事もできました。図書館の閉架の書庫から良い作家もみつけられました。いつか紹介した「木村孝」もそのひとりです。作家や作品と出逢うだけなら、書物でもインターネットでもできます。しかし、土地というものの介在なしに、この作家達に出逢う事はなかったでしょう。

 土地を介在にした出会いの際限のない繰り返しが、土地に精霊を感じさせる、何かを形成しているのでしょう。

人から人へ知識は瞬時には伝わわりません。でも、その文体、息づかい、世界を切り取る大きさ、世界をみる瞳の広さ、それらは一瞬にして伝わると言いいます。きっと、土地や風を介在して、そういうものを伝えられる事で、文章を書かせてくれる土地、考えさせてくれる土地というものが、成立するのでしょう。

 ミクロコスモス誌は、デジタル信号上の殺風景な土地ですが、作品や知識との良い出会いの場となり、その息づかい、瞳の広さをお伝えして、風景を感じさせるひとつの土地になるように、今後とも努力していくつもりです。

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   執筆者一同および編集部よりのご挨拶
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 多くの読者にベストを選出して頂きました。有り難うございました。結果ですが、票がばらけて、あまり集中しませんでした。まんべんなく興味をもっていだだいたようです。

 執筆者があまり理解される事を期待せず、「遠い未来の誰か」にでも語りかけるつもりで、書いた記事に、ご感想を多く頂けた事は、とても幸せな事でした。

少し多かったのが「お笑い系」記事の評判が良くて、リクエストもいろいろ頂きました。これは考えても出来ないので、出逢った笑える出来事は、頑張って拾っていこうと、執筆者一同奇妙な覚悟をしました。

無料の出版社ですが、執筆者、編集者に対する最大の対価は、「厳しい批判」と「具体的感想」です。ぜひ、時間の許す限り、ご批判、ご意見を頂けるようお願いいたします。

もう少し、公の場で多くの人に公開したらどうか、との意見もありましたが、まだ企画も安定していません。しばらくは、少数の読者とともに切磋琢磨させていただき、より確かな記事を完成させていきたいと考えています。

日刊になって間もないので、しばらくは新しい企画を立ち上げる事が多いとは思いますが、今後は立ち上げた企画を、継続して迅速にお届けする事に力をいれるようにいたします。

本誌は「総合誌」です。偏らない知識、広い視野、しっかりした論理と体系性をめざして努力していきたいと考えています。

   今後ともよろしくお願いいたします。    

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     きょうは、ここまで。          
          ではまた。
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【お知らせ】

 台風が来なければ、編集長は八月の最初の方で、取材旅行に出かける予定です。 そのためしばらく休刊させて頂く予定です。出かける前にご連絡しますが、ご用の方は数日中に頂けるようにお願いします。

 購読継続のメールの書き加えていただいた近況に、体調をくずされてるいるとの読者がとても多いようで驚きました。編集長ひとり元気で申し訳ないのですが、ぐうたら寝てばかりいるので、不調なのか元気なのか区別がつかないだけだと言われそうですが・・ 夏は無理せず、のんびりお過ごしください。
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    ミクロコスモスロス出版局 
     メイルマガジン編集部
      編集長  森谷 昭一 

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