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    メイルマガジン 「ミクロコスモス」  総合版
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                     2002/7/29
                発行 ミクロコスモス編集部                    
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   単位の話 3
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 部屋の模様替えで、家具を移動する事になりました。「この隙間に、隣の部屋の棚を入れようと思うけど、果たして入るだろうか。」・・さて、ものさしがない。そんな時どうします。よく使うの手はは、手のひらを伸ばして「親指と中指の距離で3つ分・・・」とか体で測ることです。

 昔の人も、こうして測ったのでしょう。これが「尺」の起源です。だいたい、この「尺」という漢字も、手を広げて測っている形の甲骨文字から変形してきたものです。

 いざという時に、人間の体を物差しにして、測定するのは古今東西、普遍的な人の発想のようです。様々な仕事場で、仕事人達は、自分の体を単位にして測定をしています。

 「そんな細かく測る必要のないもの」「ものさしなんか使ってられないもの」では今でも大活躍です。畑に苗を植える時、団子を切って並べる時、机にお皿を並べる時・・・仕事人達は「慣れとカンだよ」とか言いますが、体を使った測定も含むようです。

 体を尺度にする場合、使いやすさから特定の部位がよく使われます。「背の高さ」を単位にしは、いちいち寝っ転がらないといけないので、古今東西あまり使った人はいないようです。代わりに用いられるのが、腕を一杯に伸ばした長さです。丁度身長と同じになります。1間(けん)がそうです。西洋では1ファゾムと言います。約180センチです。

 「尋」(ひろ)も同じ単位です。釣り船でのアジ釣りでは、今でも釣り竿でなく手で釣り糸を操ります。誰かが「底から3尋でアジがあたった。」と言うと、みんな手を一杯に広げて、三回ほど糸をたぐしあげます。

この半分、つまり体の中心から手の先までを1ヤードといいます。ヤードは本来「腰回り」ウエストの長さです。ウェストは身長の半分なんですね。このまた半分をキューピッドと言います。「ひじ」から手の先までの長さです。

 細かい場合には、指の太さを使います。中指の幅が1デジットです。約2センチ。デジタルカメラとか、デジタル時計の「デジタル」は、これが語源です。親指の幅ちちょっと太くて約2.5センチ。これが1インチです。17インチテレビ画面の対角線を指で測ってみてください。17回分になるはずです。

 日本では「寸」(すん)がこれにあたります。「一寸法師」は「指の幅人間」のはずですが、おわんを漕ぐには小さすぎると思うのですが。

 指4本をならべた長さも、測定には便利です。丸まりますから、棒をつかんで測ったりできます。これを1バルムといいます。約8センチです。日本では「束」(つか)、中国では「握」(あく)と言います。

 地面の長さを測るには、足の長さを単位にすると便利です。1フートと言います。複数にしてフィートです。1フィートというのはちょいと間違いという事ななります。約30センチです。

 人間の体を単位にするのは、便利で合理的です。特に建築や服飾関係など、人を入れたり包んだりするものは、体を単位にすれば便利この上ありません。今でも畳からドアから、家の間取りまで、規格の基礎は間と尺です。

メートルで表示されてはいますが、材木の幅や長さは約90センチの倍数や等分割の長さが規格になっているものが多いのです。

 建築界で「モジュール」という概念が提唱された事があります。人間の体を基準にして建物を造ろうとの考えですが、日本や中国では古来から、この路線でした。なんだか、最近の家電製品などでも、家具でも適当な大きさで作るみたいです。棚にものを並べても、部屋に家具を並べても、なんかぴったりしないで、隙間ができます。だから「美しく」ないのです。

 日本の最近の都市は、どうもちくはぐで美しくないとか言われます。単位にも原因があるのではないでしょうか。ひとつひとつは普通のものでも、同じ大きさに作り、数多く並べるだけで美しく見える時があります。街の区切りから、弁当箱まで、人間を基礎にした単位系が、きちんと使われると、便利で美しくなると思うのですが。


 【急に編集長の割り込み】

 へへ、うちでは独自の規格による「夜逃げ家具」を作って統一を図っていますぞ。編集長はいつも借家だし、引っ越しと模様替えが大好なので、大きな家具は禁物です。そして、引っ越しの時に段ボールなんかいらないよう、総ての家具が「箱」でできています。昔のミカン箱(知らないか?)みたいな粗末な箱をいっぱい自家製造して、これにやらCDやら書類やら入れているのです。

 普段は積み重ねられていて、本棚のようですが、いざとなるとすぐに箱になって、中身ごと運搬できます。借金取りから夜逃げする時に便利この上ないので、「夜逃げ家具」と呼んでいますが、本当はモジュール思想、「生活の中の単位」という深〜い考えによるのです。(本当はこじつけ)

 段ボール生活みたいだなという人もいますが、材料は9ミリのベニヤです。色々な大きさの箱はあるのですが、「40センチ」という基本の長さが MIS (森谷工業規格)で定められているので、どんな箱もばっちり積み重ねる事ができます。1間(90センチ)の半分より短くしてあるので、押入なんかにもはまります。肩幅に近いので、運ぶのに楽ちんです。

色も白か黒と決まっているので、積み重ねるとピアノの鍵盤のようになります。・・・・ええ、・・と長くなりそうなので、別に「編集長のベニヤ箱生活」みたいな記事そのうち出す事にでもしましょう。・・・で割り込みはここまで、失礼しました。  編集長


 もどります。

 さて、人間の体を単位にするのは便利ではあるのですが、色々問題もあります。まず、人の大きさは、まちまちですし、大人と子供、男性女性でも違います。民族が異なると、平均も違います。と言うわけで、人の体をもとにした単位系は、時代や地方によってばらばらでした。国や民族を越えて、通商をするようになると、困る事が多かったのです。

 そこで、ある時は「王様」の体を基準にしたりしました。文字通り、偉い人の「我がまま」な単位になったのです。それを基準にやがて金属や石でできた、統一した「ものさし」が作られるようになったのです。ただ、王様が異なる地域は単位が異なります。これは、今でも続いています。インチやフィートは「王様単位系」です。

 人を基準にした単位系に対抗して作られたのが「地球を基準にする」単位系です。いわゆる「メートル法」です。人間という一生物でなく、地球に住む全存在が共有できる「地球」とか「天体」とか「自然現象」を基礎にして、単位を定めるという思想です。そもそも科学者というのは、そう言う発想をもつ思想家です。科学者達は国際会議をどんどん開いて、メートル法の拡大と、人間基準系単位の絶滅を図って日夜努力を続けています。

 現場では、「地球単位系」と「王様単位系」の戦いは、いまだに続いています。どうしてモニターやテレビの大きさだけ「インチ」なの?変だよ。・・ 「dpi」なんて解像度の単位はやめちまえ・・・・ふたつの単位の闘争の歴史と現状は、また別の機会にでも詳しくいたしましよう。

では、人基準系単位のまとめです。

 手の長さ = 足の長さ =  尺 = フット = 30センチ 

 身長=手を伸ばした長さ= ファゾム = 尋 = 間 =180センチ

 指の幅 = デジット = 2センチ = 4分の1バルム

 親指の幅 = インチ = 寸 =12分の1フィート =2.5センチ

 手の幅 = バルム = 束 = 握 = 4デジット = 8センチ

 腰回り = 体の中心から手の先 = ヤード = 90センチ 

 1ヤード = 3フィート = 36インチ =2キューピッド 

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     きょうは、ここまで。 
          ではまた。
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【編集長のご近所情報】

 小田原ちょうちん祭りは終わりました。二日間とも提灯踊りがあるのかと思ったら、二日目は「御輿行列」だけです。「観光客がわんさか」みたいなお祭りではなく、まあ関係者は楽しいかなといった感じです。片づけも速くて、次の日の昼にはすべてきれいに片づきいていました。色つきのお堀の照明も撤去されて、すっきり日常に戻りました。日本のどこかに本当のお祭りって、残っているのでしょうか。

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      ミクロコスモスロス出版局 
        メイルマガジン編集部
          編集長  森谷 昭一 
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