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メイルマガジン「ミクロコスモス」 総合版
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2002/7/25
ミクロコスモス編集部
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シリーズ 光の世界 1
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【このシリーズの趣旨】
光は価値あるものの例えとなるようです。「神の光」「光の生活」」光をみいだす」・・・光と書くだけでなにか実体の光を越えた素晴らしいものを表現しているようです。でも、みなさんは物理的な実在物としての「光」を知っているでしょうか。
そもそも「光」って何でできている?
光って重さはあるの ?
レーザー光線、って、いつたいどんな光なの ?
光ってどんな種類があるの?
これから、こんな事を勉強してみましょう。難解な宗教や哲学の究極の「奥義」も、物理学を正しく勉強すると「手に取るように分かる」と言います。いわゆる「文系人間」と自称している人も、是非おつき合いください。
このシリーズは現代物理学が描き出す、究極の世界を紹介する事が最終目標です。相対論、量子力学、素粒子論・・・クウォーク、大統一理論、ブラックホール、ひも理論、膜理論・・・こんな所までたどりつければ良いのですが。
総合誌としての読者層の広さと、メイルマガジンという制限のため、「数式はなし」「図もまったくなし」という事にしました。そして出来たら「科学詩研究会」の活動も加わってもらつて、時々ですが、「物理詩」も取り入れる事にしました。言葉だけで、理解してもらえる物理学の試みです。
○ 光って何 ?
「風は何でできてるの。」
と子供に聞かれたとします。
「 空気だよ。空気が動くと風になる。」
すると
「そう、じゃあ空気は何で出来てるの。」
と聞いてくるでしょう。それに答えて
「空気は酸素と窒素とそれから色々な分子からできている。分子は、とっても小さな粒だよ。」
また、別の子は
「音は何で出来てるの。」
聞いてくるので
「 音はね、空気の粒が揺れているんだよ。粒の動きが、どんどん伝わるんだ。」
こんなふうにやりとりするでしょう。さて、こんな事を聞かれたら大変です。
「光って何? 何でできてるの? 重さはあるの?」
ちょっと手強い質問です。何と答えても、決定的に正しい事を言えないのです。でもあえて、誤解を恐れずに答える事にしましょう。
「光は波だよ。だから重さはない。物じやないんだ。」
そう、・・光は「波動」なのです。
海の波と同じように、波動なのです。波動つて不思議なものです。「向こうから波が来た〜。」と言っても、何か物体がやって来る訳ではありません。
何百メートル先から波が押し寄せてきても、そこの海水そのものがやって来るわけではありません。水は動きません。波にポールを浮かしておくと、同じ所で上下しているだけです。詳しくは円を描いて回転してるだけです。
ハワイで地震があれば、津波が日本までやって来る事があります、でもハワイの海水が日本に届く訳ではありません。「ものは移動しないで、動きが伝わってくる」のが波動というものです。
音は空気の波動です。「音波」と言います。地震は大地の波動です。地震波といいます。いわゆる「波」は海水の波動です。そして、「光」も波動のひとつなのです。
「光は波? じゃあ何が動いているの? 音は空気の波でしょ。じゃあ光を伝えてるのは何?」
また別の子が聞いてきます。
「夜に星がみえるのは、何もない宇宙を光りが伝わるからでしょ。何もないのに伝わるのはどうして?」
難題なので、ちょっとはぐらかして
「う〜ん。光は電気の力と磁石の力が交互に動いているんだ。電気と磁力の波だから電磁波つまり電波だね。」
以下、こんなやりとりが続くでしょう
「電波って、ラジオとかテレビの電波と同じ?」
「そう同じ、電波も真空中を伝わるだろう。月と地球で交信出来ただろう。」
「どうして電波も何もない所を伝わるんだろう?」
こんな事を疑問に思う子供は、きっと天才なのでしょう。みなさんも子供になったつもりで疑問を積み重ねると、物事を良く理解出来ます。
さて、何もない所を伝わるものが身近にあるのですが、分かりますか。それは、磁石の力「磁力」です。磁石の力は何もない所を伝わります。もうひとつ、電気の力「電気力」です。どちらも真空中を伝わります。
磁石の力と電気の力は仲良しです。磁力と電気力は「交互作用」があるのです。
電気をコイルに流すと、磁力をうみます。電磁石です。磁石を電線の近くで動かすと電気が流れます。これを利用したのが発電器です。電気が磁力を生み、磁力が電気を生む事を「電磁誘導」といいます。
電気を流した電線の回りには、垂直方向に磁力線が出来ます。逆に磁界を動かすと、電気が流れます。電界は磁界を生み、磁界は電界を生むのです。さて、この事を聞いて、こんな質問をしてくる子供がいたら鋭いですね。
「電気が、磁気を生む。 そして、磁気は電気を生む。・・・これって、どんどん繰り返さないの?」
実は、これは繰り返すのです。電界かできると、垂直方向に磁界ができます。するとまた垂直方向に電界ができます。そして、また電界ができ・・・・これが永遠に続くのです。
電気を変化させる → 電界が変化する → 磁界が変化する → 電界が変化する → 磁界が変化する ・・・・・
この繰り返しが「電磁波」つまり電波なのです。電磁波が出来るためには電気か磁気を「変化」させてやる必要があります。電気を入れたり切ったりするか、磁石を降り動かせば良いのです。電気を切ったりいれたりする度に、電波が出る事になります。
雷でラジオに雑音が入るのは、電気の変化により電波がでているからです。切ったりいれたりする回数を「周波数」といいます。一秒間に一回だと、1Hzと書いて、1ヘルツと言います。1000ヘルツが 1kHz 1000kHZが 1MHzです。NHKラジオが950kHz FM何々が80MHzとか書いてありますね。
さて電波は波だと言いましたが、その波の長さはどの位でしようか。音の周波数はラの音で440Hz、波長は75?程です。波が伝わる速さを周波数で割ると波長が計算されます。
電波の波長は、だいたいアンテナの長さ程度です。中波ラジオだと数百メートル、船の無線で数十メートル、テレビで1メートル程度、携帯電話はご存じのとおり数?です。波長がどんどん短くなってミリ、マイクロなんて短い電波もあります。電子レンジはここら辺の電波です。「電子レンジ」とは言いますが、本当は「電波レンジ」なのです。
1ミリ程度になると、もう電波とは言いません。赤外線というのです。
さらに短くなって0.75マイクロメートルになると、それを「光」と言います。目に見えるので「可視光線」と言います。可視光線よりもっと短くなると、紫外線、さらに短くなるとX線、最後に放射線であるガンマ線になります。
つまり、ラジオの電波も電子レンジの電波も、赤外線、可視光線、紫外線、X線、ガンマ線、・・すべて「電磁波」です。波長が違うだけで、存在形式としてはみな同じものなのです。
良く「目に見えるものしか信じられない。」と言いますが、電磁波の中で目に見える範囲は、ごく僅かなものです。人間は電波を感じる事はできません。でも、光という電磁波は受信できるのです。目は光という電磁波を受信する装置なのです。
光、赤外線、電波、X線・・これらは独立して発見され、別のものと思われていましたが、やがて総て電磁波というものに「統一」されて理解されました。
さらに、それも電磁誘導、電気と磁気の相互作用として理解されたのです。物理学は「統一」する理論を求める旅なのです。
そして、すべて「波」としての性質をもっています。すべてを「波」として「統一的」に捉えるのも物理の考え方です。もっともここら辺は、先にいったら否定する事になりますが。
ではまとめです。
★ 光は波である。だから光は重さがなく、何もない所を伝わる。
★ 光は電磁波の一種である。電界と磁界が振動して伝わるものである。
★ 電磁波の波長により、電波、赤外線、可視光線、紫外線、X線、
ガンマ線となる。
★ 物理学は、多様な現象を「統一的」に説明しようとする学問である。
では、今日はここまで。スイカでも食べて頭と体を冷やしてください。
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きょうは、ここまで。
ではまた。
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【編集長のご近所情報】
小田原は、7月27・28日(土・日)と「ちょうちん祭り」です。お城の公園の入り口にはでっかな「小田原ちょうちん」が、先日からたっています。お堀の照明に色をつけて、なにやら怪しい雰囲気になってます。
子供達の描いた「絵ちょうちん」が沢山、ぼのぼのと光っています。絵の題材は・・・「ジブリ」に占領されているようです。日本中のお祭りで、ネブタだ、山車だとかに描かれるのは「千尋」だったりするのでしょう。
蛍光灯でなく、白熱電球だと、蝋燭に近くて、暗い〜雰囲気でよろしいのです。日本中で、お盆に先祖を迎えるのは「ジブリ」の登場人物でしょうか。似合ってない事はないけど。
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ミクロコスモスロス出版局
メイルマガジン編集部
編集長 森谷 昭一
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