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   ミクロコスモス総合版2002年11月2日 11月の詩
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              発行 ミクロコスモス編集部

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     11月の詩と音楽
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【11月への賛歌】

 11月です。11月はミクロコスモスの月です。メールマガジン・ミクロコスモ スの創刊、いちもんめ学園の統合完了、ミクロコスモス大学の創立、切断面の 響きの創刊・・みな11月でした。

11月は一番透き通った美しい月です。あらる最高のものが、11月から始まりま す。無垢という言葉が適切なんでしょうか。飾りのない月、しずまりかえる季 節が11月です。ミクロコスモスへの入り口が11月のどこかにみつかるのです。

 ミクロコスモスの登場人物達も、みな11月にとびだしてきました。ゲンさん も、おこじょのああさんも、きみこな山の仲間達も、美しい魂の持ち主達の誕 生日です。

本日は、ミクロコスモス11月の最初の号ですので、11月への賛歌をお届けします。

【山の湿原にミクロコスモスは生まれました】

 ミクロコスモスのふるさとは山の中の小さな湿原です。そこはほんとにしず かです。11月、山へ続く木々は葉を落とし、枝だけが空に向かっています。ま だ、あたたかな雪に守られるまで「いのち達」は、今しばらく空の高みにさら されます。

風景は単色手前の薄い木々の幹の色。ここには、命の物語も、神の物語も、愛 の物語もありません。風の音もやんで、まるで原初の風景です。ここに小さな 入り口をみつけて、ミクロコスモスは生まれました。


     11月の樹木

   4Bの鉛筆で描かれた枝だけの樹木

   あたたかな雪はまだこれから

   真実は花や緑に隠されず

   広さへと静まりかえる木の節

   いのちもひっそりと休み

   物語も遠くに、風も空気になる

   光も色彩もひかえめだ

   どんな飾りもありえない


【入り口】

 この、静かで飾りのない11月の山の湿原にミクロコスモスへの入り口があり ます。目印も案内も何もありません。静かに自ら探求する心のある人だけが、 探し出す事ができる小さな入り口です。


    11月の入り口


  11月の山で探してごらん

  地図も目印もなにもない

  案内も誰もいない

  ここには、だあれもいない

  心をとぎすまして

  ひとりで歩けば、どこかに

  あらゆるものへ入り口が

  美しい魂をさがしている
 

 美しいもの、本当の事、確かな事、は向こうからやってきません。天から下 りてくるわけでなく、心に沸き上がるものでもなく、涙とともに悟るものでも ありません。数千年続ける静かな対話の末に、ゆっくりと確かになっていきま す。

 大声で繰り返したり、虚飾の言葉の量しか証明の手段がないものや、儀礼や 信じる事を手段とするしか、形を保てないものは、11月の空気の静けさのかな たに消え去るのみです。11月の静けさをくぐり抜けてて、形を保ち続けられる ものが真実と呼ばれるものです。


【 音楽に 】


     遠音の響きに


   ここには、だれもいません

   緑や虫達もどんな命も、ひかえめに休みにはいります

   ここには神も哲学もありません

   真実とか、無とか、小賢しいものも生まれていません

   みんな静かに、心が澄んでいき

   きこえてくるのは、自分だけ

   それもやがて、うっすらとしてきて

   やがて聞こえるのは遠音の響き

   風にもにて原初の音楽

   物語も、言葉も、神も、真実も、その後です

   それら音楽に誘われてはずかしそうに

   私達の前にそつと現れます

   こうして千年ごとの遠きものとの対話が始まります


【 11月の音楽 入門に 】

 ミクロコスモスは音楽を大切にします。美しいものの始まりには、かならず 音楽があったはずです。11月の湿原に聞こえる音楽は音のない音楽です。音楽 への追求の末、聞こえる音楽のとだえた音楽です。

でも、それじゃ、ちょっと寂しいので、今日は11月にぴったりの音楽を用意し ました。永遠の音楽への入門のための入門です。

 ラベルの「なき王女のためのパバーヌ」です。オーケストラのもの、ピアノ 版などがあり、それぞれに名演がありますが、今日は無名の新人のフルート演 奏でお届けします。透明な音とはこういうものだ。そんな想いをいだかせる名 演奏です。11月の枝だけの湿原のひんやりした空気とともに、お聞きくださ い。

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   今日はここまで  ではまた。
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【編集長より】11月はミクロコスモスにとっていろいろと記念日なんですが、 特にお祝いとかかありませんので、全部がそんなものだと思ってください。
 あっ編集長の誕生日は3月ですからね。天国から落とされたのは11月ですけど。
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ミクロコスモス出版  ミクロコスモス編集部
   編集長  森谷 昭一